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恋は人生の花 DVD映画「香華」岡田茉莉子の魅力 [映画]

映画「香華」(こうげ)
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映画の中で岡田茉莉子が恋人のことを胸に抱き(=頭に思い)一目散に小走りに走る様は女優らしい一面であり、思いを躰全体で表現している、言葉はいらない、特に「香華」や「秋津温泉」では絶妙である。

仕事とは言え、実生活の家族、家庭のことは頭から消えて、配役になりきることは考えようによっては役者にとって過酷なものではないでしょうか? 身は一つであるのに配役ごとに、いくつもの人生を行うからです。

以前、岡田茉莉子のインタビュー映画の中で、岡田さんは「演じているときは他のことは頭にない」とのことでした。
配役を演じることナシに演じることができる俳優は理想ではありますが、多くの役柄は受け持てないでしょう、まあ、それでいいのかも知れない。監督の方はこの役だったら彼に、こちらの役だったら彼女にと振り分ければいいのだから。

前置きが長くなりましたが、本題に入ります。
香華(こうげ)とは辞書を引けば、仏前にそなえる香と花と説明されています。
映画の中でも朋子(=岡田茉莉子)が最後に庭に咲いた花の枝を2つ子供に折ってもらい、仏前に手向けました。
死んでからしか思う人は自分の中に納まらないと思えるようでした。

映画は彼女が物心つく頃から(明治末)始まって晩年(昭和39年)までの波乱の人生を描いたものです。
売り飛ばされるような形で花柳界に入り、芸子になるため芸を習い覚え、芸者の頂点まで上り詰め、若い軍人に恋をして、結婚を約束するが、彼女の親がかつて遊女であったことから破談となり、日陰の身で生きるのは金輪際いやだと、旅館の女将となって生きる。

かつての恋人、心に一人いた軍人に会うため百度参りをして巣鴨の拘置所に駆けつけたが、言葉も交わさず一目見ることしか許されなかった女の悲しみを追います。

「恋は人生の花、それ以外花はない」とは坂口安吾の言った言葉ですが、朋子の人生はこの「花」を求めた一生でした

この映画は岡田茉莉子の代表作としてもいいのではないでしょうか。
監督はさすがの、木下恵介です。


スタッフ
• 監督・製作・脚本:木下惠介
• 製作:白井昌夫
• 原作:有吉佐和子
• 撮影:楠田浩之
• 音楽:木下忠司
• 美術監督:伊藤熹朔
• 照明:豊島良三
• 録音:大野久男
• 編集:杉原よ志
キャスト
• 朋子:岡田茉莉子
• 郁代:乙羽信子(東宝)
• つな:田中絹代
• 太郎丸:杉村春子
• 江崎:加藤剛
• 野沢:岡田英次
• 敬助:北村和夫
• 叶楼々主:柳永二郎
• 女将:市川翠扇
• 杉浦:菅原文太
• 呉服屋の番頭:桂小金治
• 神波伯爵:宇佐美淳也
• 大叔父:村上冬樹
• 宇治みさ子
• 北見治一
• 草野大悟
• 野村昭子
• 中村たつ
• 赤沢亜沙子
• 関口銀三
• 大滝:新克利
• 長山藍子
• 青山万里子
• 八郎:田中晋二→三木のり平(東宝)
• 村田:内藤武敏
• 安子:岩崎加根子
• 江崎の妻:奈良岡朋子
• 江崎の息子:田村正和,松川勉
• 万代峯子(東宝)
• 野々村潔
• 平松淑美
• 浜村純
• 稲葉義男
• 可知靖之
• 林家珍平

• 作成会社:松竹
• 公開:1964年

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