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世界を救う映画「わたしを離さないで」 [サスペンス]

わたしを離さないで
私を話さないでIMG_3266.jpg
カズオイシグロの代表作と知って見ることにした。

観終わった後、とても恐ろしい映画だと感じた。


映画の中で、臓器提供のために生まれ育った人間が18歳になると、その寄宿舎(=臓器提供の倫理を実践する場)を出て、自らの臓器提供の申請をする、そしてその申し出を待つことが仕事になる。幼いころからそうのように教育されるので彼らは疑問を持たない。こういう仕組みを平然と受け入れる社会も不自然だがそのような子供を教育することも不自然だ。
なぜなら、自分自身の幸福を追い求めることは許されなく、ただただ臓器提供者の声に応えることが、自分の生の全てとなる。

しかし、100歩、200歩譲って、このような社会があったとしたらどうだろう。怖いことだが、そのようにしたら、人間の本当の「生」を理解できるのではないだろうかと、一瞬思う。

キャシーは言う、「私たちと私たちが救った人々に違いはあるか?」「だれもが生は終了する。人は生きることを理解することなく命は尽きる」

ここに出てくる臓器提供者(クローン)は人間の「生」を理解して死んでいくというのだろうか? もしかしたら、可能かもしれない。あなたはどう思いますか?
「私を離さないで」というのはクローンのため息か、叫びか?

以下はウィキペディアより。

監督:マーク・ロマネク
脚本:アレックス・ガーランド
原作:カズオ・イシグロ
製作:アンドリュー・マクドナルド
   アロン・ライヒ
指揮:アレックス・ガーランド
   カズオ・イシグロ
   テッサ・ロス
出演:キャリー・マリガン
   アンドリュー・ガーフィールド
   キーラ・ナイトレイ
音楽:レイチェル・ポートマン
撮影:アダム・キンメル
編集:バーニー・ピリング
製作:DNAフィルムズ
   フィルム4
配給: 20世紀フォックス
   フォックス・サーチライト・ピクチャーズ
公開: 2010年9月3日



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面白い映画「ナイト・マネジャー」 [サスペンス]

ナイト・マネジャー
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この映画はスリルとサスペンスに満ちた飛び切りの現代版勧善懲悪の物語だ。
これまでのアクション物は色あせてしまいそうだ。

何がいいのか?

死の商人として武器弾薬を戦場の国に売る、いかにも実際ありそうな話だ。

そこで繰り広げられる莫大な富、スリリングな恋の炎、裏切り、そして悪の哲学。

対するは、かつてサリンで子供を失っていった母親の執念、諜報活動の戦士たち、悪と癒着している国家組織への反撃、これらをパインの恋の糸に操られて終末へと飛んでいく。

一つ見終わると、そのつぎは? そのつぎは? と最後まで引っ張られてしまう。そしていつか、パインの味方になっていた自分に気が付く。

今日はこの監督に振り回された一日でした。

次は映画.com速報より抜粋。

スパイ小説の大家ジョン・ル・カレの長編小説「ナイト・マネージャー」を、デンマーク出身の女性監督スサンネ・ビアのメガホンで現代の物語に翻案。ホテル支配人のジョナサン・パイン(ヒドルストン)が英諜報機関にリクルートされ、世界をまたにかける武器商人を追う。
(映画.com速報)

新しい大脱走「プリズン・ブレイク」 [サスペンス]

プリズン・ブレイク
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=== 荒涼としたNYの大気は、人間に真の知恵を授けてくれる ===
=== 今までもそうだった!!                ===

登場人物達はみな自分たちの家族を愛して守ろうとしている
それは、キリスト教のもとで神を信じて生きている。

その家族への愛が、図らずも実現できない状況に追い込まれて
それが、凶行に走りプリズンヘ来てしまう羽目になった。

事の起こりは、兄のえん罪を晴らすための行為から始まった。

やむを得ない状況からスタートし、やむを得ない状況にはまってしまい、やむを得ない状況から、やむを得ない方法で脱出しようとする。こうして物語は続いていく。

また、登場人物それぞれに、それぞれしかるべき状況がありそれを打開しようとして、6人が刑務所破りに参加していく。

えん罪の男が死刑が実行されようとするとき、こちらの見ている者は当人の死刑囚になってしまう、或いは当人と同じ心境になってしまうのが不思議だ。同化作用というのだろうか。

まだエピソード1の途中しか見ていないが、作者に物語を引き延ばそうとする行為が見え始めてきた。これは残念なことだ。この辺は作者の課題となるのでは。

まあ、総じて面白い。時間を忘れて見入ってしまうのは確かだ。
発想の奇抜さ、筋の展開、配役の巧みな演技、どれもこれも
日本の映画に取り入れてもらいたい。


ウィキペディアの説明は以下の通りである。
『プリズン・ブレイク』(Prison Break)は、アメリカのFOX製作で、世界各国で放映されているサスペンスドラマ(海外ドラマ)である。アメリカでの本放送は2005年8月29日に開始し以降シーズン4まで放送、さらに2009年5月24日に放送されたファイナル・ブレイクで完結した。

シーズン1
副大統領の弟を射殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けたリンカーン・バローズ。主人公マイケル・スコフィールドは兄リンカーンの無実を信じ、刑執行から救い出すために綿密な計画を備え、自身の体に刑務所の設計図を模したタトゥーをいれる。

銀行強盗を犯し、目論見通り実刑が確定したマイケルは、リンカーンが収容され、また自身が設計に携わった重警備のフォックスリバー刑務所への収監を希望。兄弟での脱獄を企てる。

配役:マイケル・スコフィールド=主演、兄を助ける弟
  (ウェントワース・ミラー)

   リンカーン・バローズ=えん罪で逮捕された兄
   (ドミニク・パーセル)

   サラ・タンクレディ=刑務所内の女医
  (サラ・ウェイン・キャリーズ)

   フェルナンド・スクレ=刑務所内で同室の相棒
  (アマウリー・ノラスコ)

制作:FOX
監督:ポール・シェアリング
出演:ウェントワース・ミラー
音声:サラウンド



心の詩に乗った風景、DVD映画「人間の証明」 [サスペンス]

映画「人間の証明」

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昭和の時代、森村誠一の書いた推理小説に「人間の証明」なるものがある。これが映画化されている。

日本とアメリカニューヨークを飛び回った刑事(=松田優作)と戦後の混乱とアメリカ進駐軍兵士の関係、その間の母性的な心情を西条八十(さいじょうやそ)の詩に託して叙情詩的な日本人の感性をきれいに描いた「人間の証明」は当時、大変な好評を博し、戦後とバブル崩壊の間にあった元気な昭和時代を象徴する映画になった。
角川書店は大変な意気込みだった。テレビでこのCMを何回もみて、「あの麦わら帽子はどうしたでしょうね」と台詞まで覚えてしまった。

登場人物に有名な人たちがこれほどそろったのかと驚く。
今は亡き人、引退した人、まだ現役の人もいる。
とても懐かしく観せてもらった。

キリズミで投げた帽子が、とても優雅に、心の詩に乗った風景はいつまでもいつまでも人の心に残るだろう。


監督 :佐藤純彌
脚本 :松山善三
製作 :角川春樹
    吉田達
    サイモン・ツェー
出演者:岡田茉莉子
    松田優作
    ジョージ・ケネディ
音楽 :大野雄二
主題歌:ジョー山中
   「人間の証明のテーマ」
撮影 :姫田真佐久
編集 :鍋島惇
製作 :角川春樹事務所
配給 :東映
公開 :1977年10月8日


世界を救うDVD映画「イースタン・プロミス」(ロシアン・マフィアを垣間見る) [サスペンス]

イースタン・プロミス
CIMG7525.JPG CIMG7526.JPG 私の名前はタチアナ 父は故郷の炭鉱で 死んだけど、 死ぬ前から土に埋もれていた。 私たちは皆そうだ ロシアの地に埋もれてる だから私は故郷を出た ましな暮らしがしたくて。

以上の言葉で映画を締めくくる。


人類の歴史の中でロシア民族の
営々と培ってきた人々の生命を感じる

地球上の人、誰もが経験する
恋、愛、苦しみ、非情、悪、善、美、
映画の中にこれらを見て取れる。

舞台はロンドンだがロシア風な
スパイスを感じる。

ロシアン・マフィアを垣間見る。
それは目を覆いたくなる残虐性。

これも人間の歴史として
間違いなく事実だ。

タチアナは14歳でレイプされて殺された。
彼女の日記を通して事件が展開していく。

怒りというのは危険だ、
人に馬鹿な行動を起こさせる。
(これはイワンの言葉だが実に名言だ!)


<タチアナの日記より>
明日は生きているかどうかわからない、
毎日ヘロインを注射される、
ここは窓がないから身を投げることもできない、
何もかも幻なの?

間違いなく私は妊娠している、
まだ目立たないけれど、レイプされた後、
薬を飲まされたが遅かった、
新しい命が産まれてくる。

でもまず、何か方法を探して
自分の命を断ちたい
産まれてくるこの子に
辛い思いはさせたくない。


<ニコライのこと>
父親は車の修理工だった。
15歳の時から父親を手伝って
役人の車の部品を横流ししていた。

シベリアの刑務所に入った。
その内2年間懲罰房に入った。
サンクトペテルブルクの刑務所では
12回独房に入った。
更正せず、通称「切り株」と言われた。

ロシアン・マフィアに入るため問われる、
「父親は政府に出入りしていた腰抜けの犬、
母親は売春婦、そうだな!」
ニコライはそうですと答える。

続けて言う、
俺には両親はいませんでした。
「法の泥棒」の掟だけが唯一の教えでした。
俺は15歳で死んだ。それ以来、
一切の感情は捨てて生きてきました。
(これがイワンだ。)


映画の最後に
赤ん坊が救われる。
まだ人の心が生きていた。



監督:デビッド・クローネンバーグ
脚本:スティーブン・ナイト
撮影:ピーター・サシツキー
音楽:ハワード・ショア

キャスト
ビゴ・モーテンセン
ナオミ・ワッツ
バンサン・カッセル
アーミン・ミューラー=スタール

公開:2008/06/14

郵便配達人の出てこない「郵便配達は二度ベルを鳴らす」とは? [サスペンス]

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郵便配達は二度ベルを鳴らす Ossessione (妄執)

『郵便配達は二度ベルを鳴らす』
イタリア語: Ossessione, 「妄執」は、1942年(昭和17年)製作のイタリ
ア映画、ルキノ・ヴィスコンティ監督の作品である。


現在テレビなどで放映されているサスペンスドラマのお手本のような作品であ
る。それが1942年イタリアで発表されている。もう、72年も昔の話だ。

      ---+---+---+---+---+---+---+---+---+---

トラックのフロントガラス越しに走っている道が見え、緩やかなカーブにさし
かかった。
左にドライブインらしき建物が見える。
運転手は近づいて車を止め、ドア越しに店主らしき男に声をかける。
「ガソリンを頼む! ブラガーナ! ブラガーナ!」
なじみ客らしい。
そこの店は食堂も酒場も兼ねていた。運転手とその助手は車を降りると、朝食をとろ
うと店に向かった、そしてふと荷台を見た。
「なんだこいつ?」
荷台に足を折り曲げて男が眠っていた。昨夜荷を積み込んでから夕飯を食いに
行ったからその間にもぐり込んだんだろう。浮浪者か?
この浮浪者らしき者がこの映画の主役である。


浮浪者は引きずり下ろされた、特にいさかいはなかった。そんな時代なのだ。
浮浪者はまだ目が良く覚めていなかったが、とぼとぼと店の中に入った。店の
テーブルをすり抜けてそのまま厨房に入っていった。そこには女がいて何やら
料理を作っていた。


二人は初対面にもかかわらず、会話を交わした。
飯はあるか?
  はあ?
食いもんだよ。
  今作っているから、テーブルで待っててよ。

そこへ店主が入ってくる。
男は車の整備工だという、店主はちょうど車が壊れているから直してくれない
かと依頼する、そして水道のポンプも直して欲しいと頼んで、その時来店した
神父と一緒に魚釣りに出かけてしまう。ずいぶんのんきな店主だ。

女は女房とはいっても店主とは20も年が離れていた、女は安らぎが欲しかっ
たのだ。家があって私を大事にしてくれる男。
ここの店主と結ばれたが、店主は女を家政婦がわりに扱った。
女は毎日がうんざりしていた。
年取った店主に体を触られるとぞっとした。しかし出て行くところはなかった、

しかし今日ここにたくましい体をした若い男が来た。
彼は私を理解してくれて、優しい。
彼女は彼に望みを託した。

このような事情の流れは普通に違和感もなく進んでいった。
止める杭はない。
男の名前はジーノ、女の名前はジョヴァンナ。
しばらく3人で店を切り盛りした。

店主は2人に嫌われていた、自分勝手で人の気持ちを考えない。
人を思うままにこき使う。こんな店主にうんざりしていた。
そして若い二人は手を取り合って家を出た。

ジョヴァンナは先が見えない生活をするわけに行かないと途中で
立ち止まり、考え込んでしまう。
二人は離ればなれになってしまった。

彼女は貧しさが怖かった。そのため夫も家も捨てられなかった。

ジーノは一人出歩いていく。
しかしジョヴァンナを忘れられなかった。
海に出れば潮風に吹かれてしがらみも忘れられる。
船に乗って海に出ろと人に言われる。
ジョヴァンナの思い断ちがたく、ジーノは遠くには行けない。かといって戻る
わけにも行かない。彼は知り合いの手伝いをしながら日を過ごす。

偶然にも、ジーノはジョヴァンナ、店主と再会した。とある町の祭りに出会っ
たのだ。ジーノとジョヴァンナはすぐに別れていた間のむなしさを暖め合っ
た。が、将来の見えないジーノにはついて行こうとしない。しかしジーノとは
別れたくなかった。

結局三人は連れ添って帰途についた。
店主曰く、金の稼ぎ方を教えてやる、そして金のため方も、
そうやって気楽に生きていけばいいのだと、ジーノをさとす。

店主は帰りの途中、近道だと言って山道に入った、道はくねくねしていて運転
には向かないが、早く家に帰れる。ジョヴァンナは一計を思いついた。

店主は酔っていた、気分が悪いと言って車から降りてしばらく休んだ。ジョヴ
ァンナは危ないからと言ってジーノに運転させた。
この先あと500メートルも行けば崖が見える、二人は決心した。


翌朝、トラックと店主は無残にも崖の下に転がっていた。
警察は二人の事情調書をとり、周りの状況を見て、飲酒運転による事故死、
不慮の事故と結果をだした。二人には咎めなしだった。

二人の企ては成功した。
邪魔者はいなくなって店と家は彼ら二人の所有となった。
(出かけてから5日が過ぎていた。)

暑いわね、何か飲む?
(二人は店のカウンターでリキュールを飲んで喉を潤した)
戻れてうれしくないの?
   想像してたのと違ったよ。
これが現実よ、店を開ければお客も来るし、気持ちも楽になるわ。
   店を開けるのか?
もちろんよ。
何が言いたいの?
   何も。
私は幸せよ、信じられないわ。
あなたと二人になれて本当にうれしい。
これを夢みていたんでしょ?
   そうだな、夢みていたよ。
あくせく働いて泣いていたのよ。
毎日ひとりぽっちで泣いていた。
もう戻りたくない。
   戻らなくていい。
   全て済んだんだ。
あなたに愛されている?
そうじゃなくちゃ全てが無駄になる。
   ここから逃げなきゃ。ジョヴァンナ!
なぜ?
   ここにはあいつの影がある。
   焼き付いているんだ。
   カウンターの後ろに立っているんだ。
   ジョヴァンナ、店を売って別なところへ行こう。
なぜ大声で何をそんなに騒ぎ立てるの?
外に聞こえるわ。

女は現実的で、ちゃんと現実に順応している、男はまだ現実を受け入れられな
くて戸惑っている。
これが男と女の違いだ。

ジョヴァンナは店を切り盛りしながらよく働いた。ジーノは酒を飲みほとんど
ぶらぶらして過ごした。
彼女はしばらく店を繁盛させたいと思っていたが、彼は店を売り
二人で新天地を求めようと考えていた、そしてことあるごとに意見は対立した。


ジーノの昔の友達が訪ねてきた、彼は放浪の生活をしながら祭りの場所に行っ
て売買しながら生計を立てていた。彼は最近のジーノの事情を知って、ジーノ
は腰抜けだと言った。ジーノはジョヴァンナから離れられない、放浪はやめた
と言った。二人はもの別れになった。

ジョヴァンナとジーノの間に意見の対立から、よく口争いをするようになった。
まして店主に保険金がある知ってなおさらだった。

殺人現場を目撃したという運転手が警察に出頭した。警察は店主殺しの殺人で
はないかとジーノを疑うようになった。それで刑事が彼をそれとなく見張るよ
うになった。ジーノもそれに気がついた。

ジョヴァンナは妊娠した。ジーノの態度はそれで一変した。
二人は互いに歩み寄った。子どもが二人の間を和やかにして、
二人に生きる勇気を与えた。


信じられないわ、こんな時が来るなんて。 赤ちゃんがいるのよ。 体は醜くなるけど、でもいいわ、誇らしいわ。 これが人生なのね、ジーノ?   そうだ、人間らしさだ。 あの家から離れて 今頃警察が捜索しているでしょうね 捕まったら一緒にいられないわ   大丈夫だ   全てうまくいく   子供がいる俺たちに不幸は起きないさ   心配するな全部任せろ! (ここが二人の人生で最初で最後の幸福な時間だった、男女二人がお互いを信 じ合い、未来に希望をもって一歩踏み出したのだ、しかし・・・・・・・・)

遅いトラックを追い越そうとして運転を誤りジーノ達は土手下に落ちてしまっ
た。二人の乗っていた車は川に落ち沈んだ、ジーノはジョヴァンナを車から助
け出した。が、彼女は、

ジェームズ・ケインの原文にはその時の描写は次のように記述されている。

I was talking to her and crying, and kissing her.
Those kisses never reached her. She was dead.

監督:ルキノ・ヴィスコンティ
脚本:ルキノ・ヴィスコンティ
マリオ・アリカータ
ジュゼッペ・デ・サンティス
ジャンニ・プッチーニ
原作:ジェームズ・M・ケイン
製作:カミッロ・パガーニ
出演者:マッシモ・ジロッティ
    クララ・カラマイ
音楽:ジュゼッペ・ロゼーティ
撮影:アルド・トンティ
   ドメニコ・スカーラ
編集:マリオ・セランドレイ
公開:イタリア: 1943年5月16日
   日本  : 1979年5月26日


これまで4度映画化されている。
1939年:ピェール・シュナール監督、
    フェルナン・グラベ、
    コリンヌ・リュシエール、
    ミッシェル・シモン
    「最後の曲がり角」と言うタイトルで映画化された。

1942年:ルキノ・ヴィスコンティ監督。
    出演はマッシモ・ジロッティとクララ・カラマイ。
    「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

1946年:テイ・ガーネット監督。
    ジョン・ガーフィールド、
    ラナ・ターナー主演。
    「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

1981年:ボブ・ラフェルソン監督。
    ジャック・ニコルソン、
    ジェシカ・ラング、
    マイケル・ラーナー
    「郵便配達は二度ベルを鳴らす」


読者としては読み落としたのだろうかと、何回か読み返しても郵便配達人はでてこない。
それは当然だ、この作品中に郵便配達は登場しない。この作品は13社から出版を断られ続け
て、14社目で採用が決まった際、出版社からタイトルはなんとつけるかと尋ね
られたケインは、「出版社からの返事の手紙を届ける郵便配達が2度ベルをなら
すので郵便配達だとわかる」ことを引き合いに出してこのタイトルに決めたと言
われる。私は、こんな俗気を脱してさっぱりとした、こだわりのない題名の付け方もあるのだと了解しました。


地球を救うDVD映画「デビッド・ゲイルの人生」 [サスペンス]

THE LIFE OF DAVID GALE
 デビッド・ゲイルの人生
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一本木のモモバラ.png
<信州中野バラ祭り>

2003年にアメリカ合衆国で作られた映画です。
今ネットで500円で購入できるDVD映画です。

映画の題名を「デビッド・ゲイルの人生」と
訳してもいいでしょうか。

ゲイルは自分の意思をこの世に残すために
あることを企て実行して死にました。
全てが計画的です。

哲学という人間の生死を研究する学問を修めた人の
最後の行動がこのことだったのかと思うと、
ゲイルの人生を垣間見たくなります。


始めに、この映画の主な登場人物を紹介します。

デビッド・ゲイル に扮する ケヴィン・スペイシー
ビッツィー     に扮する ケイト・ウィンスレット
コンスタンス   に扮する ローラ・リニー
ザック       に扮する ガブリエル・マン


簡単に登場人物を説明すると、
ゲイル   は 主役で元大学の哲学教授で死刑になります。
ビッツィー は 新聞記者でゲイルの手記を取材する役目で
        後半ゲイルに同情します。
コンスタンスは ゲイルと志を同じくする仲間です。
ザック   は よきビッツィーの助手です。


さて、本題に入ります。

あと4日で死刑を控えた男が、どんな風に生き、どんな風に人生の幕引きを行うのか
記録してもらいたいと、ビッツィーを名指しで刑務所に呼びます。

ゲイルは日頃大学で教鞭を執る傍ら、死刑廃止を強く世に訴える
活動家でもあります。

大学で学生を前に、こんなことを話しています。

自分の心の中を正直にじっくり見つめて、どんな夢を自分は描いている?
金満家? 孤島の人? 世界的な名声?

夢は非現実的でなければならない。それは得られたらたちまち興味が失せるからだ。

欲望を維持するには、永遠に自分の求める対象を手に入れてはならない、だって、必要なのはそれ自体ではなく夢みることだからだ。

パスカルは言っている、「人間が幸福なのは夢を見るときだ。」
身近な例で言えば、欲しいもののカタログを見ているときが幸せでしょう。

獲物は仕留めるより、追うのが楽しい。
願い事は実現したとたん、どうでもよくなるでしょう。

欲望に生きていては幸せになれない。

生活の中で、ちょっとしたときに見せる理性、ちょっとした誠意で人間性の価値が出る。

まあ、こんなことを話しています。


ゲイルはテレビ討論会で知事と「死刑廃止」について、激論を交わす。そして、有名人になる。

また、学生の落第させたという腹いせから、レイプ事件にはめられ訴えられたりもする。
それが元で妻子とは別居、離婚となる。

ゲイルと志をともにする女性コンスタンスと親交を重ね、
ひょんなことから彼女は余命幾ばくもない白血病だと知らされる。

コンスタンスはその事実をひた隠しにしていたが、
症状が出て病院でそれを知ったゲイルはショックを受ける。

ゲイルは、彼女が残りの人生を「死刑廃止」に全力を捧げていることに心を寄せ、また彼は家族を失ってしまったこともあり、次第にコンスタンスに接近し、一計を案じる。

これは、この映画を見ている方もだまされてしまうという企てで、手が込んでいる。最後のどんでん返しでそのことがわかるが、わかったときは後の祭りである。ビッツィーも悔し涙にくれる。

さて、その真相を聞きたくない人は、ここでこの画面を消してしまった方がいいでしょう。でも、聞きたい人は、つぎを読んでください。

コンスタンスは服毒自殺をします。そして、死んだ原因はゲイルにレイプされたからだと細工をします。それを証明する証拠も残します。そしてこの事件の一部始終を撮影したビデオも残します。

裁判所はレイプ事件を立証したとし、ゲイルを死刑にします。

死刑の終わった後、真相のビデオが公表されます。

ねらいは、世の中には犯人でない人が犯人にされる「えん罪」もあり得ることを
実証したかったのです。

そして、 「死刑廃止」を身をもって訴えたかったのです。

あなたは「死刑廃止」に賛成ですか? 反対ですか?




監督   :アラン・パーカー
脚本   :チャールズ・ランドルフ
製作   :ニコラス・ケイジ
      アラン・パーカー
製作総指揮:モリッツ・ボーマン
      ガイ・イースト
      ナイジェル・シンクレア
音楽   :アレックス・パーカー
撮影   :マイケル・セレシン
編集   :ジェリー・ハンブリング


地球を救うDVD映画「鑑定士と顔のない依頼人」 [サスペンス]

鑑定士と顔のない依頼人

  La migliore offerta
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最後のどんでん返しで、今まで見てきた映画ががっかりする人もいるだろうし、
「さもありなん」と思う御仁もいらっしゃるだろう。

がっかりする人は、ヴァージルにとっぷり感情移入されている人であり、
ヴァージルがかわいそうだと思う気持ちがある人であり、
人生に美しい満ち足りた幻想を壊したくないと思う人であり、
もう少しハピーエンドにしてもらいたかった。
考え方を切り替えれば、もしかして、これがハピーエンドかも?

世界の名だたる芸術家が愛した女性を手元に置くという、
きわめて贅沢な試みを長年味わって、そのような行為をいささか異常だとも思うが
現代の若者は、その老人の手からスルリとすべてを奪い取った。

でも、彼の愛した絵画の女性はすべて彼の頭の中にあるのだから、
実際になくなっても精神の支柱を揺るがすことではないだろう。
それは生涯をかけて集めた絵画が莫大な金額であったことは寂しい気がするが。

これらの結果は彼があまりに女性に対して美意識を強すぎるほど持っていたからだろうか?
それは彼が母親を早く失い、母親の愛情なしで今まで生きてきたからだろうか?


監督 : ジュゼッペ・トルナトーレ
脚本 : ジュゼッペ・トルナトーレ
製作 : Isabella Cocuzza
     Arturo Paglia
出演者: ジェフリー・ラッシュ
     ジム・スタージェス
     シルヴィア・フークス
  ドナルド・サザーランド

音楽 : エンニオ・モリコーネ
撮影   : ファビオ・ザマリオン
編集 : マッシモ・クアッリア
公開 :2013年
製作国 イタリア
役名 俳優:
ヴァージル・オールドマン/ ジェフリー・ラッシュ
ロバート/ ジム・スタージェス
クレア・イベットソン/ シルヴィア・フークス
ビリー・ホイッスラー/ ドナルド・サザーランド
フレッド/ フィリップ・ジャクソン
ランバート/ ダーモット・クロウリー
バーの女/ キルナ・スタメル
サラ/ リヤ・ケベデ



地球を救うDVD映画「大脱出」 [サスペンス]

大脱出
Escape Plan
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昔スティーブ・マックウィーンの大脱走という映画があったが、
あれはあれで面白かったが、今回はハイテク技術が巧妙に入ってくる。

シルベスター・スタローンとアーノルド・シュワルツネッガーという2大キャストの共演だ。

シルベスター・スタローンはレイ・ブレスリンという男を演じる。
(以後、レイと呼ぶ)

彼は脱獄に優れた才能を発揮し、自ら本を書いている。
「Compromising Correctional Institution Security」
訳してみれば、「セキュリティ構造物の矯正を約束する」とでもいうことか。
彼の著作は有名になり、これを元に監獄が作られているというところもある。

彼は民間のセキュリティ会社に勤めているが、
重犯罪刑務所の管理体制を調査し弱点を指摘してきた。
彼の仕事はこの7年間脱獄不可能といわれる全国の監獄を見事に脱獄してきた。
そしてとうとうアメリカの中央情報局にまで評価されるに至った。

そこに新しい仕事が舞い込んだ。報酬は500万ドル。
それは、危険な凶悪犯を拘束する方法を確立するため、ある試作中の監獄に
レイを投獄し、見事脱獄したら、そこを分析して更に強固な監獄をつくるという
話につながっていく。

ある日レイは拉致され、ある監獄に投獄される。その監獄がどこにあるか不明だ。
レイには脱獄するに必要な3つの条件があるという。
①施設の構造を十分観察する。
②看守の行動の把握
③協力者

レイは①②をクリアーした。
その結果、この監獄はタンカーのような船がそのまま改造されたもので、
要するに海に浮かぶ監獄である。これには驚きだ。
レイは船の位置を知るため、手製の六分儀を製作し、その結果、船は大西洋、
アフリカのモロッコ沖であることをつきとめる。


③は既に投獄されていたアーノルド・シュワルツネッガーである。
彼は監獄の内外に人脈が豊富で、先走って言ってしまえば、この仕事を
与えたCIA ジェシカ・マイヤーの父親でもある。


映画は派手な立ち回りの末、ハピー・エンドになるが、一番の見所は
監獄が船だったということである。

安全で住みやすい国をつくるために、各方面でいろんな人が
力を尽くしているというところだ。


監督:ミカエル・ハフストローム
脚本:マイルズ・チャップマン
ジェイソン・ケラー(英語版)
原案:マイルズ・チャップマン
製作:ロビー・ブレナー(英語版)
マーク・キャントン(英語版)
ランドール・エメット
レミントン・チェイス
ケヴィン・キング・テンプルトン

出演者:シルヴェスター・スタローン
アーノルド・シュワルツェネッガー
音楽:アレックス・ヘッフェス(英語版)
撮影:ブレンダン・ガルヴィン
編集:エリオット・グリーンバーグ
製作会社:Atmosphere Entertainment
      Emmett/Furla Films
製作国:アメリカ合衆国 2013年

地球を救うDVD映画「現金に体を張れ」 [サスペンス]

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 現金に体を張れ
 
 The Killing
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大観衆の見守る中、各馬一斉にスタートした。
数万人の観客の怒号は、競馬場をまるで生き物のようにする。7番レーンにいた馬は、見る見るうちに頭角を現し先頭に躍り出た。


その時一発の銃声が聞こえ、先頭馬が崩れ落ちた。


それは、射撃の名手ニッキの仕業だ。彼は競馬売上金強奪に雇われた一人で、この瞬間を狙っていたのだった。
他には、

馬券売場の現金係  :ジョージ
競馬場のバーテンダー:マイク
競馬場警備の警官  :ランディ
元レスラー     :コーラ
軍資金を出す    :マーヴィン

以上1+5=6名の仕業だ。

彼らは、役割分担が決められていて、分単位、秒単位で行動するよう計画され、実際その通り実行した。


首尾良く200万ドル手に入れたマーヴィンは空港で現金を入れたトランクを手荷物として、機内に入れることが出来なかった。仕方なく運搬車に積んだが、子犬をよけようと運転手がハンドルを切った際、トランクが運搬車から落ちてしまった。

落ちたトランクはふたが開き現金200万ドルは風に飛ばされ空高く舞い上がった。呆然とそれを見守っているマーヴィンに警官が近づいていった。


売上金強奪は見事に、あざやかに計画通り実行できたが、最後に子犬のハプニングにより水泡に帰してしまう。

この映画の終わり方も実にあざやかだった。
競馬のスピード感、スリリング感に乗じて、ストーリーの運びもスピード感、スリリング感が重複していて効果満点だ。


この映画の監督がキューブリックとは驚いた。彼は1926年ニューヨーク生まれだから29歳の時の作品だ。しかも1953年「恐怖と欲望」が処女作として認められているので、それから2年でこれほどの作品を作っている。あの「2001年宇宙の旅」や、「シャイニング」、それから、トムクルーズの出てくる「アイズワイドシャット」などを手がけているといえば皆さんも、ご記憶があるでしょう。

監督:スタンリー・キューブリック
製作:ジェームズ・B・ハリス
原作:ライオネル・ホワイト
脚本:スタンリー・キューブリック
台詞:ジム・トンプソン
撮影:ルシアン・バラード
音楽:ジェラルド・フリード

キャスト        :(役名)
スターリング・ヘイドン :(Johnny Clay)
コリーン・グレイ    :(Fay)
ヴィンス・エドワーズ  :(Val Cannon)
ジェイ・C・フリッペン :(Marvin Unger)
マリー・ウィンザー   :(Sherry Peatty)
テッド・デ・コルシア  :(Randy Kennan)
エライシャ・クック   :(George Peatty)
ジョセフ・ソーヤー   :(Mike O Relly)
ティム・カリー     :(Nicky Alane)

製作年: 1955 年の米国映画です。


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地球を救うDVD映画「張り込み」 [サスペンス]

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 張り込み
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松本清張の小説が松竹で映画化された。
事件は1958年だから今から56年前の話だ。

題名の通り刑事が事件を解決するために容疑者の「張り込み」をするわけだが、昭和32年の日本の風景がリアルに表現されている。


現在、舗装されてない道路を見るのはまれだが当時はでこぼこの道が普通だった。庶民の足は電車かバスであり、バスには女性の車掌、いわゆるバスガールがいてテキパキと仕事をするさまは見とれるほどだ。そして喫煙者は幅を利かせ、どこでもたばこは吸えるし、どこでも吸い殻はは捨てられた。また、父親が外で働いて家に帰ってくると、父親は尊敬される時代でもあった。戦争で負けてもまだ男は強かった時代があった。


警視庁捜査一課に勤務する巡査部長の下岡雄次と巡査の柚木隆雄(ゆきたかお)の二人が張り込みをする。江東区深川の三川屋質店に強盗が入り主人を拳銃で殺害した。犯人は2人組で主犯はすぐに捕まったが、もう一人は逃走した。犯人の石川久一(田村高広)は持病を持っていて、3年前の恋人、横川さだ子(高峰秀子)に接触するする可能性があるとして、2人の刑事は東京から九州の佐賀へとんだ。


今は飛行機で2時間足らずだが、当時は汽車で20時間以上かかったようだ。汽車がまたすばらしい。汽車ほど人間に勇気を与える機械はほかにあるだろうか。力ずよく走るさま、汽笛の体中をしびれさせるような音、人間の作った傑作だ。映画の中ではC57とあった。話がそれてしまった。


一日かけて目的地の横川さだ子の家のすぐ前に宿をとった。ここで一週間の予定で張り込みを行う。

「さあ、張り込みだ!」と柚木(ゆき)刑事は気合を入れる。二階の障子から24時間交代でずっと見張るのである。恋人の横川さだ子は、20歳も年上の後妻に入ったが、子供3人、夫から一日100円しかもらえない仕切られた主婦。夫は銀行員。

柚木刑事は、さだ子のあまりに生気のない、全く生き生きしたところがない女、毎日掃除、洗濯、ミシン、買い物と十年一日のように暮らしているさだ子に疑問を持った。何かある。

その何かは6日目に起こった。さだ子が家を出て昔の恋人の犯人、石井久一に会いに行ったのである。柚木刑事は見逃さなかった。どこまでもどこまでも追っていった。いつしか柚木はさだ子に同情するようになっていった。毎日見ていると情が移るのだろう。

二人は佐賀の温泉旅館で会った。さだ子は過去を清算して今度こそ石井と一緒に生きようと決心していた。石井の方は持病のためかそれほど積極的でなかった。


柚木刑事は追いつめた。仲間の応援をたのんで慎重に動いた。そして二人をあっけなく確保した。


さだ子の落胆は相当のものだった。結局さだ子は2時間の間、命を燃やして真剣になっただけだった。また、明日からケチな夫と子供たちの生活に戻っていく。明日からはあんな情熱が潜んでいようとは思われない平凡な姿でミシンを踏んでいくのだろう。


石井の方も犯人の手伝いをしただけで刑も軽い。
柚木刑事は石井にさとす。
「済んだことはしようがない、今日からやり直すのだ、やり直そうと思った時、新しい人生が始まる、きっと新しい人生が開けるよ、君も若いんだから」


黒塗りの汽車がホームに入ってきた。3人乗り込む。汽車は東京を目指して力ずよく発車していった。


この作品は、野村芳太郎監督のもとに制作された松竹映画で、昭和32年のリアルな、生きた人間の風景と、柚木刑事の「張り込み」という汽車のような刑事魂が見どころだろう。映画が終わった後、タイムスリップしたように感じた。

監督:野村芳太郎
脚本:橋本忍
製作:小倉武志(企画)
出演者:大木実
     宮口精二
音楽:黛敏郎
撮影:井上晴二
編集:浜村義康
公開:1958年

キャスト
大木実(柚木刑事)
宮口精二(下岡刑事)
高峰秀子(横川さだ子)
田村高広(石井キュウイチ)




地球を救うDVD映画「アザース」 [サスペンス]

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<2014年度信州なかのバラ祭り>
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 アザース

THE OTHERS
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私はこの映画を見終わって、体中何かしらぐったりしたものを感じました。そして、霊というのは人間の頭の中の産物だとしておいて欲しいと願いました、事実そうなのですから。


登場人物は母親(ニコール・キッドマン)とまだおさない娘(姉)息子(弟)、それから使用人3人が主です。場所はチャネル諸島、ジャージー島、時は1945年です。


地図を広げてみればチャネル諸島はフランスとイギリスの間にある島で、どちらかと言えばフランスに近い島々であり、その中にジャージー島があります。イギリス領です。

舞台は貴族の館という、豪奢な造りですが年代を感じさせる建物の中で繰り広げられる出来事です。
母親に扮しているニコール・キッドマン、彼女の喜怒哀楽の表情を見るだけでも、この映画は見る価値があるのではと思います。


最初から、母親の叫び、その目に、表情に指先に恐怖を表しながら、また再度絶叫です。普通の人の絶叫なら何も驚きはしませんし、むしろ滑稽ですが、これがニコール・キッドマンの手にかかるとこちらにも恐怖が伝わってきて、これから起こる幕開けが興味シンシンとなります。
叫び声の原因は彼女の夢の中の恐怖でしょう。
 

さて、次の登場は使用人に雇うミルズ(年配家政婦)、タルト(老人庭師)、リディア(若い家政婦)が入ってきました。彼らは即座に雇われました。以前ここで働いたことがあるというので。


この部屋ではカーテンを開けてはならないという決まりがあります。どの部屋も常に薄暗いのです。理由は子供2人は光アレルギーで、通常の太陽の光を浴びると、皮膚が炎症を起こし、腫れあがり、命を落としてしまうからです。母親はそれはそれは最新の注意を払っています。


母親は家庭教師の役割も果たし、毎日子供たちと聖書の読み合わせを行っていました。そして神を信じ子供たちにもロザリオをもたせ、お母さんがいない時、怖い目に遭ったらこのロザリオを握ってお祈りをしなさい、そうすれば神様は助けてくださると、さとすのでした。


ある日子供たちに、4つの冥界とは何? と問いただします。

子供は、永遠の罰を受ける地獄、煉獄、正しい人の天国、それからリンボと答えます。


リンボ、これはあまり聞き慣れない単語です。キリスト教の世界で、Limboとは地獄と天国の中間にあり、キリスト降誕以前の善人や洗礼を受けなかった幼児の霊魂が住む所と定義してあります。この映画はリンボを理解することが鍵なのです。


時々物音がするので、この建物の中に誰かいる。という疑いを持ちます。そして母親は昔のアルバムを発見します。そこには、子供、青年、老人達、いろんな人が写っていますが、それはどうしたことか、みんな眠っているようなのです。家政婦に聞いてみました。以前ここに住んでいたという年配の家政婦です。


彼女は答えました。これは死者集と言って、19世紀にはよく作られたもので、愛する人が亡くなった場合、このアルバムの中に魂が生き続けるように死者の写真を撮ってアルバムに収めておくと言うのです。喪失の悲しみは人に妙な行動をとらせるものです。


若い母親は勿論、「気味が悪いから捨てて!」と言います。
年配の家政婦は「はい、奥様」と言いつけに従います。言い忘れましたが、若い家政婦は口がきけません。ですから、始めから最後までしゃべりませんでした。


また、時々変な物音がします。母親は今度猟銃を持って、二階に上がっていきます。目には見えないけど確かに誰かいる!


ある日、起きてみると家中のカーテンが全て取られていました。母親は大変怒りました。子供が死んでしまうからです。そして即刻、使用人達を家から追い出しました。使用人がカーテンを取り除いたと思ったのでしょうか?事実はよくわかりません。


実は使用人3人とも写真があり、1898年、半世紀も前に結核で亡くなっていたのです

そして実は若い母親は恐怖のため2人の子供を殺し自分も死んでいたのです。物音がしていたのはこの家に越してきた、この世の家族、現実の家族だったのです。
何というどんでん返しでしょう。
最後に子供たちはこんな事を言っています。

This house is ours...
This house is ours..
No one can make us leave this house.

母親と子供たちは、天国にも地獄にも行かずここにずっといるということでしょうか。
誰も私達を立ち去らせることは出来ないと言っています。

最後に The Others の意味ですが,
語尾にSが付くとこんな意味になってしまうのですね。知りませんでした。知らない人はどうぞ辞書を引いてみてください。きっと忘れられなくなりますよ。答えは、死後の世界、あの世です。



監督     :アレハンドロ・アメナーバル
脚本     :アレハンドロ・アメナーバル
製作     :フェルナンド・ボバイラ
        ホセ・ルイス・クエルダ
        パーク・サンミン
製作総指揮:トム・クルーズ
        リック・シュウォーツ
        ポーラ・ワグナー
        ボブ・ワインスタイン
        ハーヴェイ・ワインスタイン
出演者   :ニコール・キッドマン
        フィオヌラ・フラナガン
        クリストファー・エクルストン
音楽     :アレハンドロ・アメナーバル
撮影     :ハビエル・アギーレサロベ
編集     :ナチョ・ルイス・カピヤス
製作会社  :クルーズ/ワグナー・プロダクションズ
公開は、 2001年 スペイン、フランス、米国の合作です。


地球を救うDVD映画「父、帰る」 [サスペンス]

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 父、帰る

 THE RETURN
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題名は「父、帰る」と、いかにも平凡ですが、内容は平凡ではありません。例えば、父親が寝ている姿などイエス・キリストに構図がよく似ています。これは何かの比喩なのでしょうか? また、作者が意図的にはっきりさせない内容も含まれています。

この映画は2003年ロシアで制作されました。新人の人が作ったらしく、映画の中にはナイフのような鋭さを感じます。今まで見た映画とは少々違った雰囲気を感じました。


最初の映像は子供たちが海辺にある高いヤグラから、海に飛び込むという、子供同士の度胸試しをやっていました。ヤグラの高さは10mくらいあったでしょうか。その数人の男の子の中にアンドレ(兄)とイワン(弟)がいました。実はこれが伏線です。


一番小さいイワンは恐怖のため飛び込めず震えていました。仲間達は先に飛び込んでしまい、早く飛び込めイワン、グズ、マヌケ等々罵声を浴びせられていました。
夕方遅くなったので母親が迎えにやってきます。イワンは結局飛び込めず、怖くて死ぬほどの思いだったと母親に泣きつきます。


12年間家を空けていた父親が帰ってきます。家には妻、祖母、子供たちアンドレ(兄)、イワン(弟)がいます。子供たちは赤ん坊の時か3歳くらいだったので、ほとんど記憶がありません。それでも写真を見たり母親から聞いたりして父親の存在を理解しようとします。

父親と子供2人とで2~3日旅行することになりました。
子供たちは魚釣りが好きだったので釣り竿やカメラなどもってうきうきでした。

行き先も教えてもらえず、車に乗り、海岸からボートに乗りある島に行きました。そこでテントを張り、魚釣りをやって遊びました。父親はその島である場所で穴を掘り何か埋めておいたものを掘り出しました。それは重い箱でした。中身は分かりません。

父親は子供たちと一緒に行動して父親らしくいろいろ教えました。それは、これから子供たちが生きていくために必要な事でした。約束とはどういうものか。意思決定はどういうものか。トラブルにであった際の対処はどうするか等々です。しかしそれは威圧的でした。それゆえ、ボタンの掛け違いという誤解が生じていきました。それもだんだん積み重なっていきました。

そして子供に手を上げたとき、子供たちは一気に爆発してしまいました。

「そんなにいやなら、殺せ!」
「兄貴に触ったら、殺すぞ!」
「こっちへ来るな!近寄るな!」
「お前なんか他人だ!」

と、イワンは叫びながら、その島にあった物見ヤグラに走って行きます。そして一心にヤグラに昇っていきます。父親は誤解を解きたくて追っていきます。


イワンが逃げる頃から、異様な音楽が流れてきます、そしてヤグラに昇るときも流れて、まるで地獄への道にはこのような音が流れているかのようです。このへんの効果は抜群ですね。さすがと言う外ない。


映画の出だしで、海に飛び降りる怖さから、自ら恥じていたイワンは、追いかけてくる父親に叫びます。


「僕にだってやれる!」
「なんだってやれるんだ!」
「こっちへくるな!」
「来ればここから飛び降りるぞ!」

そのヤグラは20m位の高さでしょうか。
イワンはてっぺんに上がって、下からのフタを閉めてしまいました。父親は、頼むから開けてくれと言いましたがイワンは開けません。

父親は、ヤグラの横からはい上がろうとしました。
そして、イワンは父親の顔を見た瞬間、とんでもないことが起きました。


あっという間に、父親は地上に、まっさかさまに、落ちてしまいました。手をかけた板が、腐っていたのでした。父親は死んでしまいました。

思いがけないことに子供たちは呆然としました。

父親は子供たちをとても愛していましたが、理解されず、誤解されたまま死んでしまったのです。子供たちも考えの行き違えはあったとしても憎んではいなかったはずです。

そもそも、なぜ父親は12年も家に帰らなかったのでしょうか? また島で掘り起こしたものは何だったのでしょうか? 父親も、船も海に沈んでしまいました。


この作者も何も明らかにしないまま終わってしまうので見ている方としては気になります。ここも自由に想像してくれということでしょうか?


私はこう思います。
この父親は、金塊の様なものを手に入れそれが為めに、12年の懲役になった。監獄から出てきた父親は隠した宝を島に取りに行って掘り起こした。

みなさんどうでしょうか?この考えは?



監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
脚本:ウラジーミル・モイセエンコ
   アレクサンドル・ノヴォトツキー
配役:
イワンに扮した  :イワン・ドブロヌラヴォフ
アンドレイに扮した:ウラジーミル・ガーリン
父に扮した    :コンスタンチン・ラヴロネンコ
母に扮した    :ナタリヤ・ヴドヴィナ


地球を救うDVD映画「見知らぬ乗客」 [サスペンス]

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 見知らぬ乗客

Strangers On A train
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この映画の中で、スワップ「交換する」という言葉がよく出てくる。
これがキーワードだ。スワップマーダー、すなわち交換殺人だ。


「世の中には殺したい人間が一人くらいはいるものだ。動機があるから捕まる、見知らぬ二人が偶然に会って、互いに相手の殺人を請け負って赤の他人を殺す。」と、遊び人のブルーノが列車の中で話し出す。


この映画が作られたのは今から63年も前だ。今でこそ交換殺人と言う単語は誰もが知っているが、63年前に交換殺人の方法を考えた原作者のパトリシア・ハイスミスはすごい。その後この種の殺人をテーマに作られたサスペンスはどれだけ作られただろうか?


この交換殺人を遊び人のブルーノはテニスプレイヤーのガイに冗談半分に話す。
ブルーノは、うとましかった父親を、ガイは離婚相手ミリアムを請け負う、という構図が出来上がる。


偶然列車の中で会った二人であるが、交換殺人の話はガイは全くの冗談で捕らえ、
ブルーノは本気で考えていた。二人の別れ際に、ブルーノはガイに同意を求める。


ブルーノ(遊び人)=「僕の考え気に入ってくれたかな?」
ガイ(テニス選手)=「もちろん、完璧なアイデアだ」


ガイのこの軽い受け答えが後でとんでもないことに発展してしまう。
ガイは冗談で話を合わせただけなのに、ブルーノは早速その話を実行してしまったのだ。


ある日、ミリアムが友達と夕方、遊園地へ遊びに行った時、後をつけ、すきを見て絞殺した。それをガイに報告に行くが、ガイはあまりに突飛なことであったため怒って追い返した。ガイは事の重大さに気が付いた。


ガイは上院議員の娘アンと親しく交際していたので、話がこじれてくるのを恐れた。しかしアンとの関係は互いに相思相愛の間柄で、アンも危険が及ぶことを心配していた。


夜9時30分のアリバイが実証されない限り警察はガイにまとわりつく。


また、ブルーノも交換殺人の約束を守らないガイを責めてきた。ブルーノはガイに拳銃と父の家の鍵を送ってきた。早くこれで父親を始末しろというのである。


ある夜、ガイはブルーノの父親に事の顛末を打ち明けようと出かけた。彼の家に着いて、鍵を使って父親の部屋までたどり着いた。実際そこにいたのはブルーノだった。ガイの真意を確かめたかったからだ。ガイが父親を殺す意思がないことを認めると、ブルーノは反撃に出た。「後悔するぞ!!」と、ガイをおどす。


ブルーノはガイのライターを殺害現場に落としておくことによって、ミリアム殺害の犯人をガイになすりつけようとした。


ブルーノはメトカフの遊園地に到着したが、誤ってライターを側溝に落としてしまう。大事な決め手となる証拠品だ。彼は焦って手を側溝に入れるが、届かない、また焦る。


ガイの方は丁度テニスの試合をしており、互いに接戦だった、しかし3セットで試合を勝利して、遊園地に行って自分のライターを取り戻さなければならない。でないと、犯人にされてしまう。


ヒッチコックの一流の手法がここに見られる。ライターを拾えないブルーノ、早く勝たないと時間が無いガイ、この2つのせめぎ合いを見せることによって、緊迫感を一層高めている。


ガイはすべてを恋人のアンに告白した。アンはガイを信じて事の決着を待つ。


遊園地にガイ、ブルーノ、刑事がそろう。ガイとブルーノは回転木馬のメリーゴーランド上で、とっくみあいの喧嘩になる。刑事は拳銃を抜き発砲した。それが、回転木馬の操作人に当たってしまった。


その時、操作棒が放置されてしまったせいか、回転木馬は異常な早さで回転し始めた。乗客、子供は叫び声をあげ、一瞬のうちに阿鼻叫喚の地獄に変わった。


ある勇敢な老人が回転木馬の下をくぐって操作棒にたどり着きそれを直そうとしたが、事もあろうか、回転木馬が、怒濤の勢いで回転し、ぶっ壊れてしまう。


回転は止まり、ガイは助かったが、ブルーノは木馬の下敷きになってしまった。みんなはブルーノに近寄った。ブルーノは最後までガイを犯人に仕立てようとした。が、ライターがブルーノの手から落ちるのを見て刑事は犯人はブルーノだと認めた。これで一件は落着する。


ガイはアンに電話をする、心配していたアンを安心させるためだ。このときのアンの笑顔はすばらしい。この映画の締めくくりに最高のポイントである。


このDVDは、字幕を英語にしてみると、意外にそれほど難しくない英単語で構成されている。最後の所などは、

Yes,operator,yes,
Of course, I'll be there!
Guy will be back tomorrow!
He wants me to bring him some clothes,

などと、中学生でも分かる英語だ。でもしゃべっている英語を聞いてもよくわからない。こういうもので勉強すれば英語ができるようになるでしょうか?


ガイ・ヘインズ   :ファーリー・グレンジャー
ブルーノ・アントニー: ロバート・ウォーカー
アン・モートン   : ルース・ローマン
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:レイモンド・チャンドラー
   チェンツイ・オルモンド
原作:パトリシア・ハイスミス

これは1951年の米国制作です。

地球を救うDVD映画「雨の午後の降霊祭」 [サスペンス]

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   雨の午後の降霊祭

 SEANCE ON A WET AFTERNOON
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まず降霊祭というものを理解しなければならない。

言葉の意味は、異界の霊が人間の世界に降りてくるとされる現象。また、霊媒師などが霊を呼び寄せること。
或いは、死者の霊魂を呼び寄せること。
というのが普通の解釈である。

霊の世界が通常的に信じられた時代も過去にあったが、
現在では信じる人は希薄である。


さて、話はイギリスのことである。
子供を切望していた母親が、不幸にも死産となってしまった。
母親は気が狂わんばかりの悲しみに沈んだ。


そのうちに彼女の心の中は子供は死んでしまったのだけど生きているという構図がつくられた。

子供の名前はアーサー、降霊祭で母親は彼に会うことが出来、彼の意思も理解できるとしていた。

夫は悲しむ妻を見てあからさまにそれを否定することは出来なかった。


妻の心の中は、どんどん増長して霊媒師なるものになり、近隣の悩める人々を救うために週一回、自宅で降霊祭を開くまでになった。


ろうそくの炎が垂直に昇る静かな部屋で4,5人がテーブルに座り互いの手をつないで輪を作り、邪心をすべて捨て心の中を開くのである。時にはそこに彼女が心を通わせた対象が現れるのである。


彼女自身、霊媒師としての自分を信じていたし、また霊媒師としてみんなから尊敬されたいとも思っていた。


あるとき、彼女は一計を企てた。夫に子供を誘拐させ、身代金を取り、数日家にかくまい、後に解放する、それによって霊媒師として、子供の様子をみんなに話し尊敬を集めるというもので、子供も身代金もあとで返すという事だった。


妻は綿密に計画を立てた。何度も練習し修正し最終的には完璧な華麗な誘拐だと自負していた。夫は戸惑いながらも妻の言うとおりに動いた。

夫は、計画通り巧みに誘拐を実行し、子供や警察、身代金相手と渡り合うが、心中恐ろしさの連続だった。
BGMの木琴の音は夫の心臓の鼓動だ。


妻は夫に話す。
「私の霊媒師としての能力は世間から軽視されてはならない。」
「私を愛している?」
「私の所しかあなた帰るところがないでしょう?」
「アーサーの存在は私だけが感じることが出来るの」
「私を愛している? あなた私が必要なんでしょう?」
「あなたが帰る場所は私の所しか無いの。」
「私に約束したよね、覚えている?」


夫は肯定するが「事態が手遅れになる前に妻を召したまえ」と神に祈る。
妻の言動は常軌を逸していると感じていた。


誘拐は成功した。身代金も奪った。
とうとう罪を犯してしまった。


降霊祭の日、誘拐された少女の母親が出席した。
妻は喜々として「彼女を救えるのは私だけよ。私の実力を証明するときが来たのよ」という。

夫は、私達は異常だ。いや異常どころではない。


アーサーの存在は実は少女が霊媒師とアーサーの間に入ることによって存在していた。
(霊媒師⇔少女⇔アーサー)
要するに、少女はアーサーと霊媒師の媒介だった。
あくまでも妻は死んだアーサーと常に一緒にいたかったのだ。だから、媒介としての少女を殺さねばならなかった。


続けて妻は夫に、
「ビリー、今すぐあの少女をさらってきて!
少女を殺すのよ、アーサーが待っているから。
ビリー彼女を殺して!
アーサーが心待ちにしているのよ! 早く!」

夫は大声で言う。
アーサーは死んだんだ!
この世にはいない! これは言わねばならん
私の話を聞け!
アーサーは死んだんだ!


最後に夫はとうとう自分の手に負えなくなった、
それで警察に妻を助けてもらいたかったのだ。


結果的には、警察の警視なる者が登場し、犯人はこの霊媒師だと予想を付け、巧みに霊媒師の心の中に入って行ったのである。
今すぐ、降霊祭を開いてくれと言う。


霊媒師は、降霊祭を開いた。
彼女は涙を流して心の高揚を見せ、真相を語った。
意識が戻ってから夫に聞くのである。

「私どうだった、ちゃんと行えた?」
「ああ、ちゃんとうまく出来たよ!」


夫は一見弱いように見えるが、実は一番強かった、ずっといつもいつも妻のそばにいて見守って愛していたんだとわかる。
振り返ってみればこれもラブストーリーだ。


監督  :ブライアン・フォーブス
共同製作:リチャード・アッテンボロー
原作  :マーク・マクシェーン
脚本  :ブライアン・フォーブス
撮影  :ジェリー・ターピン
音楽  :ジョン・バリー

出演:
霊媒師である妻マイラに扮する:キム・スタンレー
夫ビリーに扮する :リチャード・アッテンボロー

1974年初公開のイギリス映画です。



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地球を救うDVD映画「ミッドナイト・トレイン」 [サスペンス]

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  ミッドナイト・トレイン
  
    NIGHT TRAIN
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「これは人生最悪の出来事だ!!」

「箱の中を見た者は夜明け前に死ぬだろう」

現実に、その言葉通りになった。

日は昇って朝になった。

---*---*---*---*---*---*---*---

吹雪の真夜中、列車は爆走する。

事の起こりは、連結故障のため一時停止した列車に、お客が乗り込んできたところから始まる。

その客は大事そうに小箱を脇に抱えていた。

事件の起こる列車の中には、
1)酒に酔ったセールスマン、
2)女子医学生 
3)囲碁をしている日本人年配
4)囲碁をしている日本人若手
5)犬を連れた老婆
6)小箱を抱えた男
7)その友人と称する男、
8)年配の車掌
9)若い車掌
10)刑事
あと、機関士(運転手)がいるが、事件には関係ない。

この10人で事件が展開する。全員がこの箱を狙っているのだ!!


小脇に箱を抱え込んで乗車した男は、薬をウオッカで飲み、
みんなが気がついた時は死んでいた。なぜ死んだのか不明だ。

しかしその小箱の中には500万ドルと言われるダイヤ(?)が入っていた。
500万ドルに目がくらんだ残りの9人は、爆走する列車の中で次々と事件を引き起こす。

手始めに、セールスマン、医学生、車掌がグルとなり、小箱を抱えたまま死んだ男の後始末だ。
もうすぐ、列車は鉄橋にさしかかるが、死体をトランクに詰めて列車から川に捨てようとする。
死体はトランクに収まりきれない。さてどうするか?

清楚な女子医学生が豹変して事に当たる。
この映画の中で一番の見所は、豹変した女子医学生、リーリー・ソビエスキーだろう。
(彼女はニューヨーク生まれであるが、両親はポーランド出身のようだ)

次に、先に死んだ男の友人と称する男の登場。彼は箱の鍵(=指輪)を持っていて、
中身を知っているらしく、「箱の中を見た者は翌朝までに死ぬ」と謎めいたことを言う。

次に刑事、彼も刑事だと言っているが、怪しい、何でもやりそう。

囲碁をしている日本人2人。彼らも箱を追っていたようだ。

犬を連れた老婆、これは女装していた男、彼も以前から箱を追っていた。

みんなみんな犯人なのか?
箱の中身はいったい何なのか?
(真相を自分で想像して組み立てるのも面白い。すべて矛盾がないように話をつなげる。)

列車は事件におかまいなく(あたりまえだ)吹雪の真夜中を、ただただ爆走する。



女子医学生に扮する   :リーリー・ソビエスキー
セールスマンに扮するする:スティーヴ・ザーン、
車掌に扮する      :ダニー・グローヴァー
監督          :ブライアン・キング
2009年の制作。


地球を救うDVD映画「不安」 [サスペンス]

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<2014年度信州なかのバラ祭り>
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 不安
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イングリッド・バーグマンはどんな女優か知らない人はいるでしょうか?

また、この作品で、余す所無く人間の恐怖心、猜疑心、迫害、安心感をコンパクトにまとめた映画の監督、脚本家に脱帽です。

現在の映画作成では、フンダンに文明の機器とお金を使えるけれど、この時代にこれほど充実した作品が作れるのはどうしてでしょうか?


作品は、夫の捕虜生活、療養生活によって寂しさを感じた妻が、不貞な行為に走るという出だしだ。

彼女は製薬会社を経営していて、夫はそこで研究室に入り新薬の開発に精力を費やしている。
この新薬が伏線を張る。

彼女はしばしば、子供2人を育てている乳母の田舎へ夫と共に赴きゆったりと過ごす。

そして、スウェーデンの故郷を思い出す。遠く広がる森、泳いだ湖。無邪気に遊んだ昔は帰らないが、思い出は、生き生きと甦る。そして強いてその楽しみに浸った。それには理由がある。まるで毒がじわじわと体中に回るように、それは自分が破局に向かっている予感があったからだ。

ある日、兄妹がおもちゃの取り合いで喧嘩をする。父親である夫は、原因であった妹を叱る。

「誰でも一時的な感情に流されて過ちを犯す。だけれど過ちを認める勇気も必要だ。」と、まるで妻の浮気を知っていて、それをさとすかのように。

続けて言う、「悪いことをしたのに強情を張るのが一番いけない」と。

子供は自分の過ちを認めた。しかし夫は、
「逃げられないと分かって、初めて白状した、ああいう悪辣な強情さは許せない」と、兄と妹に部屋で謹慎を命じる。

妻は「愛する人の前で自分の罪を告白するのは辛いものだ、もしメードの前だったら、言いやすかったのに。」と、まるで自分の不貞行為の言い訳をするように言う。

数日後、あることが起きる。これは最終場面に向かう、起爆剤のようなものだ。ここは詳しく書かない方がいいだろう。

それがあって、すぐ妻は、
「私は恐ろしい事実を知って絶望のどん底に沈んだ。私は自分の犯した恥ずべき罪の重みに、またその上に夫の卑劣な行為(?)が重なった。私はいつの間にか自分の会社の前に来ていた」

会社で夫が開発していた新薬は、毒を毒で制すという危険な神経系統を麻痺させ、苦しまず、死に至らせるというものだった。

妻は死を覚悟した。夜中、会社から子供たちのいる乳母のところへ電話をかける。
「こちら202349ですが、ピンターヲールの307番へ繋いでください」と交換台に言う。

電話を頼んで、かかってくる前に妻は夫に手紙を書く。

「あなたの意地悪を許すわ、出来たら私のことも許して」

つながった乳母からの電話に「朝、子供たちが起きたら私の代わりにキスをしてやって、ママはいつもあなたたちを愛しているということを伝えて欲しい」と告げて電話を切る。

その後、開発している新薬の実験室に足を進める。
観ている者はどこまでもバーグマンの味方だ。


監督:ロベルト・ロッセリーニ
脚本:セルジオ・アミディフランツ・トロイベルク
原作:ステファン・ツバイク
製作:ヨッヘン・ゲンゾー
主演:イングリッド・バーグマン
   マチアス・ヴィーマン
製作年:1954年
製作国:イタリア・西ドイツ合作


地球を救うDVD映画「マラソンマン」 [サスペンス]

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 マラソンマン
 Marathon Man
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主演はコロンビア大学に籍を置き、歴史学者であった父親の無念をはらすために論文(マッカーシズムの研究)を書いているダスティン・ホフマンだ。

彼はニューヨークに住み、毎日マラソンを行って体を鍛えている。これは題名にもあるように、後半、鍛えた脚力が彼を救ってくれる。

話はナチスドイツの親衛隊のことになるが、当時ユダヤ人から、命と引き替えに純金、ダイヤモンドを集めていたクリスチャン・ゼルという、強制収容所では別名「白い天使」と呼ばれていた元親衛隊員が登場する。

彼は戦後の連合国側の追求から逃れてウルグアイに隠れ家をもっていた。ゼルはそのダイヤをダスティン・ホフマンの兄に預けていた。そしてそのダイヤはニューヨークの銀行に鍵を一つずつ兄とゼルが持っていた。

兄はゼルの刺客によって追われ、最後に虫の息で弟のところへたどり着き息絶える。ゼルは、ダスティン・ホフマンをとらえ拷問してダイヤのありかを吐かせようとする。

その拷問のやり方が強烈である。広い白い部屋にダスティン・ホフマンをイスに縛り付けておく。歯科医の使う器具をテーブルにずらりと並べる。当時のナチスの拷問を再現するようだ。

ゼルは歯科医であったので、健康な歯に穴を開けるという荒技を実行する。こんな場面はとても見ていられない。絶叫する我がヒーロー。

(外野:どのくらい痛いのかしら? ばかやろう!)

悪役仲間も刺客の応戦によって、最終的にゼルがダイヤを手にする。そこに我がヒーロー、ダスティン・ホフマンの登場だ。

彼はゼルを水利施設に追い込む。ゼルは鞄を開けて、多量の大粒のダイヤモンドを見せる。が、わがヒーローはそんなもの、物ともせず、まるで豆まきの鬼は外とでも言うように、大粒のダイヤモンドを水の中にまくのである。あれは見ていて小気味よい。そしてゼルに向かいそのダイヤモンドを飲み込めと命令する。

(外野:ええ? ほんとに飲むの? 一粒何千万円だったら私、飲むわ? オレだったら10粒飲む。その後、焼きイモを食べる)

後は、見てのお楽しみ。 

監督 : ジョン・シュレシンジャー
脚本 : ウィリアム・ゴールドマン
原作 : ウィリアム・ゴールドマン
製作 : ロバート・エヴァンス
     シドニー・ベッカーマン
出演者: ダスティン・ホフマン
     ローレンス・オリヴィエ

1976年制作のアメリカ映画である。


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骨のあるDVD映画「私は殺される」 [サスペンス]

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今日は「私は殺される」について。

昔の映画はどうしてこのように骨のあるしっかりした作品がつくれるのでしょうか? 
やはり作る人間がしっかりしているからでしょうか?

監督はアナトール・リトバック
女優:バーバラ・スタンウイック
男優:バート・ランカスター


電話の混線から、悪事の一端を知ってしまうバーバラ・
スタンウイック。11時15分に殺人が行われる!
そして、暗号のような B02-1000とは?

夫を自分の持ち物のようにしたい金満家の娘の婿に
入ったバート・ランカスター。位は副社長だが、飼い殺しに
飽き足らず一計を案ずる。計画は失敗に終わるが、果たして
夫のほんとうの意図はどこにあったのか?

映画は、全てのことが明らかにされないまま突然終わる。
後は自由に想像あれということだ。

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■□■□ 映画DVD 逃亡者 ■□■□■
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1993年公開された米国映画、ハリソン・フォードの逃亡者を観る。
子供の頃見たデビッド・ジャンセンのテレビドラマの逃亡者は、手に汗握って、かじり付いてみていた記憶がある。

その頃、その時間帯は風呂屋がガラ空きになったほどだ。デビッド・ジャンセンの台詞のまねや、振る舞い方をまねすると、友達によく受けたものだった。

ところで、今日観たハリソン・フォードは印象深かったデビット・ジャンセンからは違った雰囲気だったが、公開されてからもう21年という歳月がたっている。

昔、初めて見た逃亡者からは50年はたっているだろう。今、観ても面白い。ストーリー性、逃亡者の果敢な行動と優しさ、彼を執拗に追いかける連邦保安官。悪くないのに無実の罪で追われることの同情、すべてがぴったりと鑑賞するものの心をつかんでいる。全くいいできだ。

その後、これと類似のドラマは数限りなく作られて放映された。
米国は改めてすごい国だと思う。

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