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世界を救うDVD映画「ファーゴ」 [映画]

ファーゴ
第1話

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あんたをいじめた男だぞ!
世の中のルールに捕らわれるな
ルールなど無い
人間は元々はゴリラだ
戦っては守り生きてきた
あんたは昨日よりも強くなった
俺たちの人生は赤潮だ
くその集まりだ
上司とか妻とかくそみたいな奴らのせいで
すり減っていく
立ち向かえ
魂は今でもゴリラだと思い知らせてやれ
でなきゃ、押し流される

  << この考えは、容易に日常を変えてしまうのだろうか?? >>

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What if you're right
and they're wrong?

あなたが正しくて、
みんなが間違っていたら?

今の地図には「怪物がいると」と書いてない
が、怪物は存在する。

<映画の最後の音楽を聴いていると、困難はあるだろうが乗り越えてゆけ
と言っているように思えた。>

世界を救うDVD映画 アラン・チューリング [映画]

映画「イミテーション・ゲーム」
(エニグマと天才数学者の秘密)
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偉業を成し遂げたアラン・チューリング
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この映画は、第二次世界大戦中にイギリスのチューリング等の研究グループによって、当時解読不能とされていた、ナチスドイツの暗号を解き、戦争終結を早めたドキュメント映画です。

以下は、ウィキペディアによる「エニグマ」の解説です。

エニグマ(Enigma)とは、第二次世界大戦のときにナチス・ドイツが用いていたことで有名なローター式暗号機のこと。その暗号機の暗号も広義にはエニグマと呼ばれる。

エニグマ暗号機は、1918年にドイツの発明家アルトゥール・シェルビウスによって発明された電気機械式暗号機械で、1925年にはドイツ軍が正式採用し約3万台が軍用として使用された。

暗号方式は換字式であり、詳しくは順変多表式である。エニグマはM-209(英語版)と同様な反転暗号となり、暗号文を同じ鍵で再暗号化すると平文が得られる特徴がある。

大戦中に連合国側はエニグマ解読に成功したが、その事実は徹底して秘密にされ、ドイツ軍は終戦までエニグマを使用し続けた。


以上はウィキペディアの解説ですが、この映画の主演は
アラン・チューリングに扮するベネディクト・カンバーバッチです。

アランは現在我々が便利に、その恩恵を被っているコンピュータの生みの親とも言える存在で、早くから世の中の多くのことを機械に肩代わりさせることを研究していたようだ。

彼は個人的に特異な性格を持ち、人と相容れないことは普通であった。国からドイツに勝利するため暗号解読の研究を課せられたとき研究グループの中で一人浮き上がってしまっていた。
彼自身もそのことには悩み、時の首相、チャーチルに直談判しそのグループの長にしてもらった。そこで、自分の思い通りに研究を進めた。

全国から選ばれた数学者は6人だった。毎日のように、国民はナチスに殺されていった。何とかエニグマを解読し敵の暗号を理解し先手を打ってナチスを壊滅しようというのである。

研究は昼となく夜となく続けられ、思いがけない事から解明の糸口が見つかり、とうとうナチスのエニグマ解読に成功する。彼らは互いに抱き合って喜びに酔った。
これは戦争終結を早め、1400万人以上の命を救った。

また彼は、同性愛者でもあった。今なら許されるであろうが、当時は即、刑務所行きの厳罰が待っていた。彼の性格から隠し通すことも出来ず警察に告白してしまう。
政府は彼の功績を考慮して終生ホルモン治療を施すことにした。が、副作用も多く彼は41歳の若さで1954年6月7日自殺してしまう。

彼にも愛した女性がいた。
彼女はアラン・チューリングに言った。
あなたはものの見方が普通の人とは違ったから多くの人の命を救えたんだわ。
あなたは十分世界に貢献したんだわ。
ホルモン治療のため、脱け殻のようになった彼にそう言った。

彼は自ら作った計算機、それをクリストファーと名付け
「僕はずっとおまえと一緒だ」とつぶやいた。
そして電灯を消した。

彼は荒涼とした世界に一人きり、クリストファーと共にいたのだろうか?

監督 :モルティン・ティルドゥム
総指揮:グレアム・ムーア
出演 :ベネディクト・カンバーバッチ、
    キーラ・ナイトレイ、
    マシュー・グード、
    マーク・ストロング
配給 :GAGA

世界を救うDVD映画「上意討ち(拝領妻始末)」 [映画]

拝領妻始末(はいりょうつましまつ)
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映画の題名は「上意討ち」(=主君の命を受けて罪人を討つこと)です。
小説の原作題名は「拝領妻始末」です。

私はいままで「拝領」という言葉を物品にだけ使うものだと理解していた。例えば江戸時代に殿様から刀や領地をもらった時に、拝領という言葉を使うのだと思っていた。ところが違うのである。

殿様が家臣に自分の妻を与えるとき、家臣側から見て拝領したと表現するのである。言葉の使い方一つとっても時代の考え方をうかがい知ることが出来る。つまり妻は物品なのでしょうか。

物語に出てくる殿様は、会津若松23万石の主、松平正容(まさかた)である。
この時代、世継ぎがいなければお家断絶となる。そのためお殿様にも側室がいたわけだが松平正容は2人の男子に恵まれた。一人は正室の間に、もう一人は側室の間に。側室は名前を市(いち)といった。殿様はある事件があり、そのとき気性の激しい市に愛想を尽かして暇を出した。

殿様の妻を拝領したのは、300石家臣の笹原家の嫡男、25才になる与五郎である。与五郎へ拝領妻の話がきたとき、やはり、もめにもめた。
(どうして殿様のお下がりをもらわなければならないの?)

当時殿様の話を受け入れなければ、大幅な減給がある、最悪なことになれば、その家がお取りつぶしにもなりかねない。

与五郎は笹原家を考え嫡男らしく妻を拝領した。
与五郎の妻となった市(いち)は、予想以上に夫に、舅、姑によく仕えた。
トラブルがあればそれはみんな自分が至らないからだと徹底していた。

そんな妻を与五郎は可愛く思い、愛した。「お殿様が市に愛想つきされて、そのおかげでこんないい妻をもらった」と喜んでいた。
どこからみても市は嫁の鑑であった。
しばらくして、二人の間には女の子(とみ)が生まれた。笹原家は笑いに包まれた。

こんな幸福のただ中に、不幸が飛び込んできた。
お殿様の正室との間に生まれは世継ぎの男子が病死してしまった。ついては、拝領させた市を返してくれと言うのである。
殿様の言い分でもあまりに身勝手と笹原家では思うのだが、これを聞き入れなければお家取りつぶしとなることは必定だった。

笹原家の中で、与五郎(加藤剛)、その父、伊三郎(三船敏郎)、与五郎の妻、市(司葉子)の3人が大反対であった。一族の大事とあって議論に議論を重ねた。一族郎党すべてお取りつぶしとあって、与五郎はとうとう市に頭を下げ松平家に戻ってくれと言う。

ところがである。今まで静かだった父親の伊三郎は断固反対した。
笹原家の養子となって一生女房の尻に敷かれてきた伊三郎が
一生一度の意地立てをする気になったのである。
伊三郎も嫁としての市を気に入っていたのである。

「こんな300石、惜しいか?」
「与五郎、どんなことがあっても市を離すな!」

ーーー見ている者にとって、こんなスカットする台詞はあるでしょうか?
ーーーさすが滝口康彦です。

周りは伊三郎が気が狂ったのではないかと思った。
笹原家親類の最長老、笹原監物はもはや反対できないと見るや
「笹原家をみごとつぶせ!」と捨て台詞をはいた。

伊三郎、与五郎は城内きっての剣客である。対する大勢の家臣、
屍の山を築くことになるのか?
市は間に挟まれて自殺するのでは?
結末はどうなるでしょうか?


以下の資料は株式会社キネマ旬報社のものです。

スタッフ
監督:小林正樹
脚色:橋本忍
原作:滝口康彦
製作:田中友幸
撮影:山田一夫

キャスト
三船敏郎 笹原伊三郎
加藤剛  笹原与五郎
江原達怡 笹原文蔵
大塚道子 笹原すが
司葉子  笹原いち

製作年  1967年
製作国  日本
配給   東宝


世界を救うDVD映画 婦系図(おんなけいず) [映画]

婦系図(おんなけいず)
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初めこの題名を見たとき、婦の字を「オンナ」とは読めなかった。耳からは、泉鏡花の代表作「オンナケイズ」と聞いてはいたが。

しかし、泉鏡花は女ではなく婦(オンナ)と読ませたかったのだろう。ここに、作者の婦(オンナ)に対するこだわりがあると想像される。

話は明治40年の昔にさかのぼる。1907年だから日露戦争が終わって間もない時代だ。

作者のオンナに対する身分が当時は受け入れられなく、そのギャップを描いたのがこの作品だと思える。それは時代がまだ民主主義の思想が幼かったせいでもある。

昔、スリの少年が先生の懐中時計をすったところを発見され、その先生は少年を書生として自分の手元に置いて教育した。

少年は先生の理想通り成長して、今やドイツ文学を修め、明治時代の官僚、参謀本部に就職が決まった。世の中に出て、どこから見ても当時は立派な地位である。

書生時代、先生の家には娘がいて、この娘も母親の育て方が立派であったことから、よくできた人(=良妻賢母の鏡)に成長した。良い女性はどの時代でも良い。

当然の事ながら、この二人は結婚の道に進んでも良かったのであるが、作者はそうは考えなかった。市井(しせい)の芸者に恋をしたのである。これが悲恋物語になっていく。

ここからの展開は皆さんにお任せすることにしたい。

泉鏡花は文字から魔法のような文章を作る神様のような人だが、映像にするとその良さが薄れてしまいがちだ。が、この婦系図の映画は成功した作品といえる。これも監督の腕前かも知れない。

この中に息づいている人々の心の思いは、時代が変わっても今の時代に通じるものが有る。

映画の中に市川雷蔵が出てくるが、「大菩薩峠」や「眠狂四郎」とは違った面が見れて面白い。



スタッフ
監督:三隅研次
脚色:依田義賢
原作:泉鏡花
企画:鈴木晰
成製:作永田雅一

キャスト
市川雷蔵  早瀬主税(はやせちから)
万里昌代  お蔦 (おつた)
船越英二  めの惣
三条魔子  妙子
木暮実千代 小芳

製作年:1962年
製作国:日本
配給 :大映
資料 :株式会社キネマ旬報社資料参照






世界を救うDVD映画「四万十川」(しまんとがわ) [映画]

四万十川
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この映画が製作されてから久しい。
古き良き昭和時代(昭和30年代を撮影したもの)の傑作と言える。
アツと呼ばれる少年、これは私の少年時代だ! 
これはちょっと言いすぎか。

少年時代には、それ相応の人生がある。
成人した人にも勝るとも劣らない世界がある。
監督はそれをよく引き出してくれた。

映画の底流には四万十川が大きく影響している。
心が折れそうになったとき、
川の流れる橋の土管の中で自分の心を解き放つ。
自分の心と正直に向き合える、
四万十の自然が優しく包んでくれる、無言で。
また、台風で家が壊され流れそうにもなる。

喜びも悲しみも四万十川に守られて
人の心が揺れ動き、たくましくなっていく。

あなたもきっとこの映画を見て、一時的にも
時間を忘れるでしょう。


(以下は weblio辞書 参照)
製作国: 日本
製作年: 1991
配給: ヘラルド・エース=日本へラルド映画

スタッフ
監督: 恩地日出夫 オンチヒデオ
製作: 鍋島壽夫 ナベシマトシオ
プロデューサー: 猪崎宣昭 イザキノブアキ
原作: 笹山久三 
脚本: 古田求 フルタモトム
撮影: 安藤庄平 アンドウショウヘイ
音楽: 毛利蔵人 
美術: 斉藤岩男 サイトウイワオ
編集: 小川信夫 オガワノブオ
録音: 辻井一郎 ツジイイチロウ
スチール: 笹田和俊 
助監督: 三池崇史 ミイケタカシ
照明: 佐藤幸次郎 

キャスト(役名)
樋口可南子 ヒグチカナコ (山本スミ)
小林薫 コバヤシカオル (山本秀男)
山田哲平 ヤマダテッペイ (山本篤義)=アツ
高橋かおり タカハシカオリ (山本朝子)
小島幸子 コジマサチコ (浅野千代子)
石橋蓮司 イシバシレンジ (青木先生)
菅井きん スガイキン (ハル)
佐野史郎 サノシロウ (田村)
ベンガル ベンガル (杜夫)
絵沢萠子 エザワモエコ (はる江)
中島葵 ナカジマアオイ (タケ)
奥村公延 オクムラコウエン (義一)
芹明香 セリメイカ (邦子)


世界を救うDVD映画「セッション」 [映画]

セッション

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どういう間違えか、「セッション」というDVD映画を借りてしまった。アクションものと思って借りたのだが。

私は、ジャズが音楽の一分類としか思っていない、
ジャズには全くの、ど素人ですが、
このDVDを見て思いが変わった。

演奏は生き物だという認識になった。
一人のドラマーが曲に食い込んでいく。
すると今まで寝ていた曲の主がムックリと起き上がり踊り出す。

また、演奏の環境は戦場だとも言える。
駆け引き、出し抜き、暴言の数々、
しかしそこで戦って、曲の主を踊らせてしまったらこっちのもの。
指揮者も他の演奏者も曲の主について行くしかない。

また、これをみて、どんなに張り詰めた思いで演奏しているのか、
本物になるには、どのような心の葛藤があるのか少しわかりました。

監督:デミアン・チャゼル
脚本:デミアン・チャゼル
製作:ジェイソン・ブラム
   ヘレン・エスタブルック
   ミシェル・リトヴァク
   デヴィッド・ランカスター
指揮:ジェイソン・ライトマン
   コウパー・サミュエルソン
   ゲイリー・マイケル・ウォルターズ
出演:マイルズ・テラー
   J・K・シモンズ
音楽:ジャスティン・ヒューウィッツ
撮影:シャロン・メール
編集:トム・クロス
製作:ボールド・フィルムズ
   ライト・オブ・ウェイ・フィルムズ
   ブラムハウス・プロダクションズ
配給:ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
公開:2014年10月10日
製作国:アメリカ合衆国

配役:
アンドリュー・ニーマン - マイルズ・テラー
テレンス・フレッチャー - J・K・シモンズ
ジム・ニーマン - ポール・ライザー
ニコル - メリッサ・ブノワ
ライアン・コノリー - オースティン・ストウェル
カール・タナー - ネイト・ラング

「アメリカン・クライム」いじめの生成 [映画]

アメリカン・クライム

An American Crime

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アメリカの母親と少年少女たちが起こした事実に基づく映画です。
映画の内容は今から50年ほど昔のものです。

夫と離婚した女性(=ガートルード)が6人の子供を大事に育てていたのだが、
ある時から、あらぬ方向に事態が進んで行ってしまった。

自分の子供は少女が4人、少年が1人、赤ん坊1人。
そこへ女の子2人を預かり、計8人となった。
一番上が長女で16才。
2人を預かった理由は、ほとんど週20ドルが入るという金目的。
預けた両親の仕事は、カーニバルなどで菓子を売る仕事で忙しい。

ガートルードはぜんそくの病があった。
毎日咳き込んでは薬を飲んでいた。
夫がいなく収入源は隣人のアイロンかけ、長女のアルバイト。
それで8人の世話をしなくてはならない。
元恋人は金の無心と性欲の色男でダニのよう。

ガートルードはまだ36才で女盛り。
現状を顧みれば金の無心など断ってもいいのだが、
それが出来ない口惜しさ、ズルズルと引き込まれる。

これらは彼女を心身共にむしばんでいった。

ある日、長女の娘が妻子ある男と関係し妊娠してしまった。
彼女は話の分かるシルヴィアに告白した。

この事が原因で、いろんなデマが飛び結果的にシルヴィアが
いじめの対象になった。

いじめは、母親が率先して行った。
周りの子供達はそれになびいた。
たばこの火を身体に押し当てることは日常に行われた。
シルヴィアは地下室で何度も身体的苦痛を伴ういじめに遭い、
最後に焼け火箸で、みにくい忌まわしい毒舌を胸に書かれた。
その跡はケロイド状になって残った。

シルヴィアは助けもあって、かろうじて命からがら家から
脱出できた。

そして26日間の裁判が始まった。
子供達は素直に自分たちの罪を告白したが
母親は自分を守ろうと嘘を最後までつき通した。
結果、彼女は第一級殺人の無期懲役。
しかし、服役20年で釈放された。

一体この映画は何だろう?
いじめが生成されていく過程を物語っているようでもある。
人間の弱さもある。
一人一人はみんな良い人間であるのになぜ?
集団となるとお互いの心理の権勢から思いもかけない行動にでる。
みんながやっているから普段の束縛から自由になり悪魔になれるのか?

みんなは、いじめを生成する要素を小さい芽の頃から
つぶしていかなければならないのだろう。

いじめの心理は結果的に何もかも破壊してしまう。
物も、人間も、人間の良心をも、社会も。
その内、人間の存在もなくなってしまう。
戦争になれば。



配役:シルヴィア (エレン・ペイジが演じる)=いじめられる側
   ガートルード(キャサリン・キーナが演じる)=いじめる側

監督:トミー・オヘイヴァー
脚本:トミー・オヘイヴァー
   アイリーン・ターナー
製作:ケイティ・ルーメル
   ジョスリン・ヘイズ・シンプソン
   クリスティーン・ヴェイコン
   ヘンリー・ウィンタースターン
   ケヴィン・チューレン
指揮:パメラ・コフラー
   ジョン・ウェルズ
   ルース・ヴィターレ
   リチャード・ショア
音楽:アラン・レイザー
撮影:バイロン・シャー
編集:メリッサ・ケント
製作:ファースト・ルック・スタジオ
公開:2007年1月
製作:アメリカ合衆国




「日本の悲劇」仲代達矢と北村一輝 [映画]

日本の悲劇2
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最初の「日本の悲劇」として、挙げられたのは
戦後一所懸命、戦中戦後を生きてきた母親が、
子供に見捨てられるという孤独感から自殺を
したことでした。

今回は、平成の世にあって、生活習慣病に
見舞われた老人(仲代達矢)が、孫を腕に抱き久々に
笑顔を見せていたが、何十年も連れ添った
妻が買い物中スーパーで倒れ病院に搬送される。

妻は数日後にあっけなく他界してしまう。
息子は会社の残業苦から会社を退職し、
妻子からも離れ、父の介護をする。

生活の窮乏から離婚の話も出、そこへ
東北の津波災害に見舞われる。

息子はハローワークに通いながら、父親の
面倒を見、父親の年金で暮らしている。
月6万円のやりくり、命がつながる最低
金額だ。

そこで父親(=仲代達矢)は現状に絶望し
一週間飲まず食わずで死のうと。
あるはかりごとを腹に、死ぬことを決心したからだ。


妻の位牌と共に一室にこもり
扉を釘で打ち付け、外からの侵入を避けた。
もし開けようとしたら中でノミを喉に刺し
自殺すすると言い放ち。

日にちが過ぎ、息子(北村一輝)も声を張り上げ父親に
泣きながら懇願した。出てきてくれと。
(ここには今までなかった北村一輝がいた)

数日後、テーブルの上に父親の遺影が
たっている。
息子は、そそくさと朝食を済ませ
ハローワークへ出かける。

映画の最後に次の数字が表示される。

年間自殺者27,766人(2012年)、非正規雇用率50パーセント以上(正社員に対して)、最近では「無縁死」「就活自殺」という新たな死が報じられ、うつ病患者数100万人を越えているといわれる。
日本の政治、経済、教育活動の結果として、うつ病患者100万人を発生させたと言える。
これが日本の悲劇だ。


監督:小林政広
脚本:小林政広
製作:小林直子
出演:仲代達矢 (不二男)
   北村一輝 (義男)
   寺島しのぶ(ともこ)
   大森暁美 (良子)
撮影:大木スミオ
編集:金子尚樹
製作:モンキータウンプロダクション
配給:太秦
公開:2013年8月


家族「日本の悲劇」 [映画]

日本の悲劇
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この映画は1953年に作られたと言うから既に62年の歳月がたっている。
終戦後8年目に作られた映画だ。

戦後8年と言ってもまだまだ戦争の傷跡は残っていた。
人間の心は戦争が終わっても、まだその余韻が残っている。

戦時中は食料がなく人々の心は荒涼とならざるを得ない。
人間、衣食住がまともでないと、心がすさんでしまう。

主演の春子(=望月優子)は子供2人を育てるために必死に生きたと言える。
食べるために、ヤミの食料を手に入れ、警察に追いかけられ、
子供のために身体を張った。
模範的な母親像ではないが、2人の子供の成長を楽しみに生きてきた。

このような教育もない、ごく普通の女性が大人になった子供から見放されたとき
どのような行動に出るだろうか?

これは木下恵介の言葉を待つまでもなく「日本の悲劇」である。
日本は平和を勝ち取るために多くの命を犠牲にした。
戦争はまた同時に、多くの人の心を逼塞(ひっそく)させた。
人間の精神はもっと豊かになれるはずだ。

あと5年、3人とも頑張って生きたらきっと幸せになれたろうにと思う。

こんな結果になっては、子供達もぬぐいきれない人生を生きていかねばならない。


監督:木下惠介
脚本:木下惠介
製作:小出孝
   桑田良太郎
出演:望月優子
   桂木洋子
   佐田啓二
   高橋貞二
   上原謙
音楽:木下忠司
撮影:楠田浩之
配給:松竹
公開:1953年6月17日

シベリアの「爆走機関車」 [映画]

爆走機関車
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ロシアには時々とてもすばらしい映画が出現する。

映画の最後に次の歌声が
美しいシベリア平原とともに心に響く。

-----*-----*-----*-----

私の愛しい人
私を連れて行って
遠い彼方へ
他人の振りをするから。

僕の愛しい人
遠くへ連れて行ってあげるよ
でも遠い彼方で
他人など必要ない

私の愛しい人
私を連れて行って
遠い彼方へ
あなたの妻になるから
遠い彼方へ
あなたの妻になるから
-----*-----*-----*-----

私がロシアと言えば、
小学校時代に音楽の時間に歌った「トロイカ」とか、
中学校時代に歌った「ボルガの舟歌」などから
感性的には「しっとりしたいい感じ」で通ってきた。
また、「地球は青かった」で知られるガガーリン少佐も
科学の進んだすごい国だと印象が残った。

でも、社会科で大戦中の日ソ不可侵条約破棄とか北方領土問題が出てくると、ロシアに対する見方が少し変わってくる。

でも「罪と罰」、「悪霊」などに接すると人間の本質に迫ろうとする試みにすごいなあと思う。

また最近読み始めた「チェルノブイリの祈り」で、放射能の悲惨さを知った。まだ読み始めたばかりですが。

きょうは、映画「爆走機関車」の感想を書きたい。

一言で言えば、極寒の僻地シベリアにおける人間の愛の強さを歌い上げたものだと解釈した。

第2次大戦中1000万人以上のソ連人がナチスドイツの捕虜となった。戦後帰還した者の多くはシベリアの僻地(へきち)に強制労働に追いやられたり、或いは収容所送りとなった。ドイツの手先となった反逆者がいると思われたからだ。
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映画は1945年シベリアのクライ駅に主演のイグナトが到着する所から始まる。彼は大戦中功労賞を受けた軍人上がりの機関車修理長として、ここに派遣された。
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機関車はシベリアを開拓する心強い機械であった。機関車も見るからに頼もしく見える。

機関車にニワトリを飼うほどのおおらかさもある。朝食には卵をスコップに置いて石炭の釜の中へ入れて目玉焼きを作って食べる。

ある日、イグナトは線路を夜通し歩き朝方、古い機関車を発見する。鉄橋が川の流水のため壊され、そのため動けなくなってしまったようだ。

その機関車の中に人間が一人住んでいた。それは若い女性で、父親(ハネケ)はドイツ人技師。夫(グスタフ)もドイツ人の機関車整備技師、このシベリアで開拓に手を貸していた。しかし、軍部から彼らがドイツスパイと疑われ殺されてしまう。それで女性だけが命からがら逃げてこの森の中で機関車に住み、銃を持って生活していたのだ。

イグナトは初めその女性と敵対関係にあったが、森の中に2人しかいないことから次第に仲良くなっていった。そして2人で鉄橋を修理して、また機関車も修理して、村へ帰って来たのである。
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この2人の努力は並大抵のものではない。イグナトが機関車に対して並々ならぬ情熱を持っていたからだ。しかし村に帰ってきても2人は歓迎されなかった。
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この村では連れがドイツ人であることから憎まれた。
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ある日、線路にヒグマが入って機関車にひかれて死んだ。そのヒグマを村に持ち帰り、村中でその肉を食べた。村中の人達には大変なごちそうであった。こんな時は、誰も彼も愉快に時を過ごせた。

この村を仕切っている軍人、フィッシュマンがいた。
村人全員を集めこう言った。
「おまえ等は国に養ってもらっているくせに機関車を壊しドイツ人をかくまった。反逆者め!同士スターリンはおまえ等を哀れみ守ってくれた。ドイツ人を一掃せよ!」
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ある日、フィッシュマンはドイツ人の子供を助けようとした女性をピストルで撃って殺してしまう。村人達はそれを見て怒り心頭、フィッシュマンにみんな背を向ける。

フィッシュマンが家に帰るため機関車に乗るが、運転手も彼には背を向け、自分で運転しろと言って機関車から降りてしまう。
仕方なく彼は自分で機関車を運転する。
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そこに出てきたのが我らのイグナト、彼はフィッシュマンに戦いを挑み機関車の競争をする。
「おまえの機関車は50kも出まい!」とフィッシュマンにけなされるが、イグナトは頑張る。これが映画の題名の「爆走機関車」である。

手に汗握る機関車どうしの戦いになるが、結果的にイグナトの勝利、フィッシュマンの機関車は壊れる。

最後にシベリアの美しい自然と歌声が流れ、
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イグナト、その妻エルザ、ドイツ人の孤児パーシャの3人家族でこれから過ごしていくというところで幕が下りる。
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シベリアの厳しい自然の中で「ボルガの舟歌」のような人々のたくましさと力強さを感じる、また3人家族の幸せも見えてくる。



スタッフ
監督:アレクセイ・ウチーチェリ
脚本:アレクサンドル・ゴノロフスキー
撮影:ユーリー・クリメンコ
音楽:デビッド・ホームズ

キャスト
ウラジミール・マシコフ
アンジョルカ・ストレチェル
バチェスラフ・クリコノフ
ユリア・ペレシルド
セルゲイ・ガルマッシュ

原題:Kray
製作年:2010年
製作国:ロシア


喜びも悲しみも幾年月 [映画]

喜びも悲しみも幾年月
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灯台から嵐の海を見るきよ子
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灯台の四郎ときよ子
この映画のウィキペディアの解説はつぎのとおりである。

海の安全を守るため、日本各地の辺地に点在する灯台を転々としながら厳しい駐在生活を送る灯台守夫婦の、戦前から戦後に至る25年間を描いた長編ドラマである。

1956年に雑誌掲載された福島県塩屋埼灯台長(当時)田中績の妻・きよの手記から題材を得て、木下監督自身が脚本を執筆した。全編に渡りカラー映像で撮影され、単なるホームドラマの枠を超えて日本各地の美しく厳しい風景を活写した大作で、公開当時大ヒット作となり、同年の芸術祭賞を受賞した。

若山彰の歌唱による同名主題歌の「喜びも悲しみも幾歳月」も大ヒットし、後世でも過去の著名なヒット曲としてしばしば紹介されている。

観音崎、御前崎、安乗崎、野寒布岬、三原山、五島列島、瀬戸内海の男木島、女木島など全国でロケーション撮影を敢行し、ロードムービーの一種としても楽しめる作品である。

後年、3度に渡りテレビドラマ化されたほか、1986年には木下監督自身により時代の変化を加味したリメイク版『新・喜びも悲しみも幾歳月』も映画化されている。


以上がウィキペディアの解説である。誠にこれ以上申し上げる事はないのであるが、私の感想を付け加えたい。

最初の「喜びも悲しみも幾年月」が製作されたのは1957年(昭和32年)で今から58年も昔のことである。

昭和生まれの人間にしかこの感動は伝わらないのだろうか?
戦前、戦中、戦後と激動の時代を生きて、まさに、まさに喜びも悲しみも幾年月である。

戦争は殺し合いでしょ、戦争をしてない私や子供まで死ななきゃならないのでしょうか?
子供は私たちから遠く離れても、どこかで幸せになっていればいいじゃありませんか?
これらの疑問は、まさにその通りできよ子の心根がこちらに響き渡る。
まことに共感できる心情です。

ドラマチックに回転する灯台のレンズと灯り、 それとともにこの歌が流れると胸がキューとなってしまう。

年を数えて波の音聞いて、
共に過ごした幾年月の、
喜び悲しみ目に浮かぶ、目に浮かぶ。

キャスト[編集]
有沢四郎  :佐田啓二
有沢きよ子 :高峰秀子 
有沢雪野  :有沢正子
有沢光太郎 :中村賀津雄
野津    :田村高広
真砂子   :伊藤弘子
名取    :北竜二
名取進吾  :仲谷昇
進吾の母  :夏川静江
藤井たつ子 :桂木洋子
観音埼手塚台長:小林十九二
郵便局長  :坂本武
金牧    :三井弘次
糸子    :井川邦子
きよ子の母 :岡田和子
金牧の妻  :桜むつ子
石狩灯台木村台長:明石潮
佐渡大場台長:夏川大二郎
二川無電士 :磯野秋雄

スタッフ[編集]
監督・脚本:木下惠介
撮影   :楠田浩之
音楽   :木下忠司
美術   :伊藤熹朔、梅田千代夫
主題歌  :「喜びも悲しみも幾歳月」
作詞・作曲:木下忠司
歌    :若山彰
後援   :海上保安庁


一生着続けられる服を作る!「繕い裁つ人」 [映画]

映画 「繕い裁つ人」 CIMG8044.JPG

繕い裁つ人、これは洋服の仕立屋さんのことだ。

私は今まで何回か洋服屋さんに行って、オーダーメイドのスーツを作ってもらったことがあるが、そういう仕立て屋さんにも、それぞれドラマがあるのだろう。

映画では祖母が始めた洋服屋さんの後を継いで、地道に仕立てをする人がいた。先代の仕事に対するこだわりをも引き継いで、一生着られる服をつくるという試みだ。

着る人に寄り添って作られている服、
一針、一針心を込めて作る。

その人の人生と10年、20年寄り添っていく
これ以上の幸せはないと市江(いちえ=中谷美紀)は思っていた。
そこへ、その服をブランドにしないかと話を持ちかける男がいた。彼は藤井さん(=三浦貴大)という人で、市江が作る服を見て
ハッとしたという、「自分は本当に服が好きなのか?」と自分の職業に疑問を持ったようだ。勿論、その服が個性的で人を引きつける何かがあると感じたからだ。

それ以来藤井は何度も市江の所に通いブランド化を説得した。
市江の答えはいつも同じかった。
「そのつもりはありません」と。

しかし、徐々に彼女にも変化があった。
「誰かのための一着を作りたい、そしてそれは先代を越えて。」
と思うようになっていった。

映画を見終わって私は石川啄木の短歌を思い出した。

こころよく
我に働く仕事あれ
それをし遂げて死なんと思う




監督:三島有紀子
原作:池辺葵
脚本:林民夫
製作:横澤良雄
   水口昌彦

キャスト 配役
中谷美紀:南市江
三浦貴大:藤井

製作年:2015年
製作国:日本
配給 :ギャガ

胸がキューンDVD映画「シンデレラ」愛と勇気 [映画]

シンデレラ
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ディズニィー映画で「シンデレラ」の実写版を観ました。

子供の頃、絵本で読んでもらった内容より、一つ前の場面から始まっていて、シンデレラと意地悪な姉妹や継母の関係がわかり、なぜあんなに意地悪なのか判りました。

それから杖をふるってさまざまな魔法を起こす力を持っている素敵なゴッドマザー。
シンデレラの実の母親がゴッドマザーを信じて敬っていた。
ゴッドマザーは意外とそそっかしく、時にはミスをする。が、
魔法でエラを美しく変身させ、舞踏会に送ってくれる。

しいたげられていたシンデレラ(=エラ)が、王子様に見初められ、宮殿での舞踏会、そして求婚という、最低の場所から最高の場所に上り詰めたこの落差の浄化作用、ここが見所なんですね。

ストーリーも知っているのに、この場面になると胸がキューンとなってしまうのは不思議ですね。
さすがディズニーですね。もしかしたら、ここでハンカチが必要かも知れません。

「ありのまま」に続いて今回の言葉は「勇気と愛」ですね。

ディズニー映画は安心して見ていられるので、こういうのもたまにはいいですね。


監督 :ケネス・ブラナー
脚本 :クリス・ワイツ
製作 :サイモン・キンバーグ
    デヴィッド・バロン
    アリソン・シェアマー
出演者:リリー・ジェームズ
    ケイト・ブランシェット
    リチャード・マッデン
    ステラン・スカルスガルド
    ホリデイ・グレインジャー(英語版)
    デレク・ジャコビ
    ベン・チャップリン
    ソフィー・マクシェラ(英語版)
    ヘイリー・アトウェル
    ヘレナ・ボナム=カーター

音楽 :パトリック・ドイル
撮影 :ハリス・ザンバーラウコス
編集 :マーティン・ウォルシュ
製作 :ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
配給 :ウォルト・ディズニー・スタジオ・
    モーション・ピクチャーズ
公開 : 2015年
製作国:アメリカ



恋は人生の花 DVD映画「香華」岡田茉莉子の魅力 [映画]

映画「香華」(こうげ)
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映画の中で岡田茉莉子が恋人のことを胸に抱き(=頭に思い)一目散に小走りに走る様は女優らしい一面であり、思いを躰全体で表現している、言葉はいらない、特に「香華」や「秋津温泉」では絶妙である。

仕事とは言え、実生活の家族、家庭のことは頭から消えて、配役になりきることは考えようによっては役者にとって過酷なものではないでしょうか? 身は一つであるのに配役ごとに、いくつもの人生を行うからです。

以前、岡田茉莉子のインタビュー映画の中で、岡田さんは「演じているときは他のことは頭にない」とのことでした。
配役を演じることナシに演じることができる俳優は理想ではありますが、多くの役柄は受け持てないでしょう、まあ、それでいいのかも知れない。監督の方はこの役だったら彼に、こちらの役だったら彼女にと振り分ければいいのだから。

前置きが長くなりましたが、本題に入ります。
香華(こうげ)とは辞書を引けば、仏前にそなえる香と花と説明されています。
映画の中でも朋子(=岡田茉莉子)が最後に庭に咲いた花の枝を2つ子供に折ってもらい、仏前に手向けました。
死んでからしか思う人は自分の中に納まらないと思えるようでした。

映画は彼女が物心つく頃から(明治末)始まって晩年(昭和39年)までの波乱の人生を描いたものです。
売り飛ばされるような形で花柳界に入り、芸子になるため芸を習い覚え、芸者の頂点まで上り詰め、若い軍人に恋をして、結婚を約束するが、彼女の親がかつて遊女であったことから破談となり、日陰の身で生きるのは金輪際いやだと、旅館の女将となって生きる。

かつての恋人、心に一人いた軍人に会うため百度参りをして巣鴨の拘置所に駆けつけたが、言葉も交わさず一目見ることしか許されなかった女の悲しみを追います。

「恋は人生の花、それ以外花はない」とは坂口安吾の言った言葉ですが、朋子の人生はこの「花」を求めた一生でした

この映画は岡田茉莉子の代表作としてもいいのではないでしょうか。
監督はさすがの、木下恵介です。


スタッフ
• 監督・製作・脚本:木下惠介
• 製作:白井昌夫
• 原作:有吉佐和子
• 撮影:楠田浩之
• 音楽:木下忠司
• 美術監督:伊藤熹朔
• 照明:豊島良三
• 録音:大野久男
• 編集:杉原よ志
キャスト
• 朋子:岡田茉莉子
• 郁代:乙羽信子(東宝)
• つな:田中絹代
• 太郎丸:杉村春子
• 江崎:加藤剛
• 野沢:岡田英次
• 敬助:北村和夫
• 叶楼々主:柳永二郎
• 女将:市川翠扇
• 杉浦:菅原文太
• 呉服屋の番頭:桂小金治
• 神波伯爵:宇佐美淳也
• 大叔父:村上冬樹
• 宇治みさ子
• 北見治一
• 草野大悟
• 野村昭子
• 中村たつ
• 赤沢亜沙子
• 関口銀三
• 大滝:新克利
• 長山藍子
• 青山万里子
• 八郎:田中晋二→三木のり平(東宝)
• 村田:内藤武敏
• 安子:岩崎加根子
• 江崎の妻:奈良岡朋子
• 江崎の息子:田村正和,松川勉
• 万代峯子(東宝)
• 野々村潔
• 平松淑美
• 浜村純
• 稲葉義男
• 可知靖之
• 林家珍平

• 作成会社:松竹
• 公開:1964年

世界を救うDVD映画「流れる」(花柳界を垣間見る) [映画]

流れる
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ウィキペディアの解説は以下の5行である。

『流れる』(ながれる)は、1955年に出版された幸田文の小説。1954年にデビューした幸田の、作家としての名声を確立した傑作である。自身の体験を踏まえ、華やかな花柳界と零落する置屋の内実を描ききった作品。新潮社文学賞と日本芸術院賞を受賞した。

1956年、成瀬巳喜男監督によって映画化された。出演は田中絹代、山田五十鈴、栗島すみ子、杉村春子、岡田茉莉子など。


この中で、一番の主演は置屋のお母さん役を勤める山田五十鈴であろう。山田五十鈴の三味線の確かさ、歌の風流さは今聴いても見事である。花柳界の歴史と叙情、癒やしを垣間見せてくれる。これを聴くだけでも映画を観て良かったというものである。
江戸後期の流行歌謡の端唄などは日本文化としてもっと幅を広げても良いのではないでしょうか。
山田五十鈴は2000年、文化勲章受章している。



監督:成瀬巳喜男
脚本:田中澄江、井手俊郎
製作:藤本真澄
出演:田中絹代
   山田五十鈴
   高峰秀子
音楽:斎藤一郎
撮影:玉井正夫
編集:大井英史
配給:東宝
公開:1956年

世界を救うDVD映画「秋津温泉」(岡田茉莉子の世界) [映画]

<秋津温泉>
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孤立感を深める
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 死を決意した新子

岡田茉莉子は1933年の生まれだから、今からちょうど70年前の今日、天皇陛下の玉音放送はきける年齢だ。計算すれば12歳頃にあたる。

映画の中で演じている新子はもうちょっと年上だが(17歳)玉音放送をききながら「むずかしくてわからないわ」と言っている。100%わかった人はごく一握りだろう。しかし、戦争が終ったということは理解できたようだ。

この辺のことについて、後年の手記めいたもの(「女優岡田茉莉子」)を読むと、疎開先の新潟で空襲を体験されたそうだが、B29の機銃掃射の音に次の瞬間は自分も死ぬのだと思い死を覚悟されたようだ。また「私たちの世代は、あの忌まわしい戦争を背負わされ、生涯にわたって解き放たれることがないのだろう。」と語っている。
戦争は、たとえ生き残っても、癒やしがたい爪痕を残す。

終戦を知った後、どうしてあんなに泣いて涙が出るのだろうかと映画の中で川本周作(=長門裕之)が話していたが、実際どのような涙であったのか監督も明らかにしていない。
この情熱の持ち主が恋愛に正面から体当たりしていくのだから、その結果はプラスの方向に行ってもマイナスの方向に行ってもいかに波乱な展開があるのだろうと想像される。

周作は一目ぼれのように新子にひかれていく。しかし自分は喀血するほどの病気持ちだ。自分には望むべきでないと自身を制していた。が、新子の天真爛漫な生命の躍動のような女性にずるずると引き込まれていく。周作の心情も耐え難い葛藤がある。しかも新子の母親に避けられている。(肺病やみの男に娘をやろうとは思わない)

周作は暇さえあれば、たばこを吸う、酒を飲む、自分の体を考えればそんなことはできないはずだ。こんな自堕落な彼は意志が弱い証拠だ。
新子はこの青年を自分の力で直してみせると彼に入れ込んだ。こうして二人は互いに親密になっていく。

あるとき、二人が高原に遊んで、新子は周作の姿が見えなくなり真剣に「周作さん~、周作さん~」と呼んで探したことがあった。周作は寝転んで空を見ながら、新子の自分の名前が呼ばれるのを聴いて楽しんでいた。「俺は新子に愛されている、俺も新子を愛している!」と感じながら。

この時点では二人とも絵に描かれたような相思相愛の関係だった。周作の身体は次第に健康を取り戻し、心も前向きになり、生きることを謳歌したいと思うようになった。

彼は東京に出て作家の仕事を進めようとするが、それは容易に芽が出ない。そんなことで彼は人生にひがみをもつ性格がつのっていく。

そして別な女性と結婚、子を設ける。が、新子を忘れることができなく彼女のいる秋津温泉へ出向く。二人の結婚を反対していた新子の母親は既に他界していた。
新子が秋津荘の女将になっていた。ここで温泉旅館をやっていく決心をしたようだ。

彼が訪れると小娘のように喜び、彼を出迎え、帰っていくと魂が抜けたようになる。そんな繰り返しが何回か続いた。17歳の時彼と出会って、既に同じ17年間が過ぎた、しかし彼は新子のもとには落ち着かない。次第に新子はこんな人生を忌み嫌うようになっていった。

あるとき、周作が新子に会いに来て、泊まって帰るとき、新子は心中を持ちかける。彼は応じない、かつて周作が新子に心中を持ちかけた事があったが、周作はそんなことは一時の気の迷いだとさとすが、ならば私一人で死ぬと新子は思い詰める。まるで死に挑む(いどむ)かのようだ。

新子は死を覚悟した。
人間は自然の中に孤独に融け入らなければならないのか?
新子は愛人と別れ、人と別れ、自分自身からも離れ、自然の一部になろうと、
自然の懐に入って行った。

二人は路上でいったん別れたものの、異変に気が付いた周作は急いで駆け付けたが新子は手首を切って川に流されようとしていた。もっと積極的に新子に向かい合おうとすればよかったと後悔するが、もう遅い。なんとバカな男だと観ている方でやきもきする。新子の気持ちを理解できないのは男のクズだと思う。が、これが映画だ。

死を決意したときの新子の顔は美しすぎる。
深紅のバラ.jpg
• 監督・脚本:吉田喜重
• 製作:白井昌夫
• 企画・衣裳:岡田茉莉子
• 撮影:成島東一郎
• 美術:浜田辰雄
• 編集:杉原よ志
• 音楽:林光
• 録音:吉田庄太郎
• 現像:東洋現像所
• 協力:津山市、奥津市

• 主な配役:
• 新子:岡田茉莉子
• 河本周作:長門裕之

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世界を救うDVD映画「今年の恋」(映画の中の岡田茉莉子) [映画]

今年の恋
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これは昭和37年に発表された木下恵介作品で
正月に観るとちょうどいいのかも知れない。

作品名も「今年の恋」とあり、正月早々希望の抱ける映画だ。

この時代はいやな戦争もすっかり終わり平和憲法の下、
人々は人生に潤いを持ち始めたのではないだろうか?

また、自然な日常生活の中に、人間味を帯びた穏やかな生活も
始まって、高度成長期の一つ手前の空気がうかがえる。

注目すべきは、若い岡田茉莉子のさわやかさだ。
田村正和も高校生で登場している。
眠狂四郎の幼い版だ。

この時代の映画は妙に人間味のあるのどかな映画が多い。
小津安二郎の映画の雰囲気にも似ている。


監督 :木下惠介
脚本 :木下惠介
製作 :月森仙之助
    木下惠介
出演者:岡田茉莉子
    吉田輝雄
    田村正和
音楽 :木下忠司
撮影 :楠田浩之
編集 :杉原よ志
製作 :松竹
公開 :1962年1月14日

世界を救うDVD映画「日本のいちばん長い日」昭和42年度版 [映画]

日本のいちばん長い日
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大宅壮一 編の「日本のいちばん長い日」が映画化されたのは、
1967年(昭和42年)、戦後22年たってからであった。
今から48年ほど前、東宝によって製作・配給された白黒の
日本映画である。この時の陸軍大臣は三船敏郎が扮した。


この映画は8月14日正午から、日本の進むべき道を政治家等が
決めた24時間の様子をまとめたものである。

簡単に言ってしまえば、ポツダム宣言を受諾して、終戦のため
天皇の発する公文書(=詔勅)をみんなで考えまとめ、それを
天皇が自ら読んでレコード盤にし、8月15日正午に玉音放送
として国民全体に聴かせようとしたことである。勿論
その流れはスムーズではなく、政治家の意見の相違、軍部の
葛藤などを時間に沿って描いてある。

映画の中で当時の若い将校達の切迫した状況が知れる。
例えば、井田中佐(=高橋悦史)が近衛師団長に戦争続行を説得するくだりで、

「現に今も飛行基地から敵の機動部隊を目指し特攻機は帰らぬ戦いを続けております。本土決戦も行わずこんな中途半端な形で戦争を止めるなら我々は前線で散った三百万以上の英霊をことごとく欺いていたことにならないでしょうか?  最後の一兵まで戦うならともかく天皇が止めると言われるからその命令を守って止める、聞こえはいいがこれは一種の責任逃れです。 国民はこの軍の態度を打算的でご都合主義のこの軍の態度をいったいどう思うでしょうか? 今こそ全ての軍人は死を賭して立つときであり、近衛師団はその中核となるべきです。 どうか閣下のご決意を。」

これは意気込みはよく解るが、このように考えたのは軍部上層部の一部の人間で、国民の多くは一日も早くこんな戦争は止めたかったのだろう。平和で安心してできる生活が一番だ。


最後の所でこの太平洋戦争で被った数字をまとめている。
1)兵士として参加した日本人=1000万人
  (日本人男子の1/4)
2)戦死者         =200万人
3)一般国民の死者     =100万人

今私たちはこのようなおびただしい同胞の血と涙と汗で
あがなった平和を確かめ、日本と日本人の上に再びこのような
日が訪れないことを願うのみであると結んでいる。

戦争を知らないで生まれた私たちは、貴い犠牲の上に今の 平和があることを自覚して生きよということである。

監督 :岡本喜八
脚本 :橋本忍
原作 :大宅壮一
製作 :藤本真澄
    田中友幸
出演者:三船敏郎
    加山雄三
    黒沢年男
    佐藤允
    中丸忠雄
音楽 :佐藤勝
撮影 :村井博
編集 :黒岩義民
公開 :1967年8月3日
配役 :
内閣
鈴木貫太郎男爵(内閣総理大臣) - 笠智衆
東郷茂徳(外務大臣) - 宮口精二
米内光政(海軍大臣) - 山村聰
阿南惟幾(陸軍大臣) - 三船敏郎
岡田忠彦(厚生大臣) - 小杉義男
下村宏(情報局総裁) - 志村喬
石黒忠篤(農商務大臣) - 香川良介
広瀬豊作(大蔵大臣) - 北沢彪
松阪広政(司法大臣) - 村上冬樹
豊田貞次郎(軍需大臣) - 飯田覚三
大臣 - 山田圭介
大臣 - 田中志幸

官邸
迫水久常(内閣書記官長) - 加藤武
木原通雄(内閣嘱託) - 川辺久造
佐藤朝生(内閣官房総務課長) - 北村和夫
佐野小門太(内閣理事官) - 上田忠好
鈴木一(総理秘書官) - 笠徹
小林海軍軍医 - 武内亨
首相官邸警護の巡査 - 小川安三

外務省
松本俊一(外務次官) - 戸浦六宏
大江晃(電信課長) - 堤康久

宮内省
石渡荘太郎(宮内大臣) - 竜岡晋
加藤進(総務局長) - 神山繁
筧素彦(庶務課長) - 浜村純
佐野恵作(総務課員) - 佐田豊

情報局
川本信正(情報局総裁秘書官) - 江原達怡

陸軍関係者[編集]

陸軍省
若松只一中将(陸軍次官) - 小瀬格
吉積正雄中将(軍務局長) - 大友伸※[4]
荒尾興功大佐(軍事課長) - 玉川伊佐男
井田正孝中佐(軍務課員) - 高橋悦史
椎崎二郎中佐(軍事課員) - 中丸忠雄
竹下正彦中佐(軍事課員) - 井上孝雄
畑中健二少佐(軍事課員) - 黒沢年男
小林四男治中佐(陸軍大臣副官) - 田中浩

参謀本部
梅津美治郎大将(参謀総長) - 吉頂寺晃

第一総軍
杉山元元帥(司令官) - 岩谷壮

第二総軍
畑俊六元帥(司令官) - 今福正雄
白石通教中佐(参謀兼司令官副官) - 勝部演之

東部軍
田中静壱大将(司令官) - 石山健二郎
高嶋辰彦少将(参謀長) - 森幹太
不破博大佐(高級参謀) - 土屋嘉男
稲留勝彦大佐(参謀) - 宮部昭夫
板垣徹中佐(参謀) - 伊吹徹
神野敏夫少佐(参謀) - 関田裕
塚本清少佐(司令官副官) - 滝恵一

近衛師団
森赳中将(第一師団長) - 島田正吾
水谷一生大佐(参謀長) - 若宮忠三郎
渡辺多粮大佐(歩兵第一連隊長) - 田島義文
芳賀豊次郎大佐(歩兵第二連隊長) - 藤田進
古賀秀正少佐(参謀) - 佐藤允
石原貞吉少佐(参謀) - 久保明
大隊長 - 久野征四郎
宮城衛兵司令所の伍長 - 山本廉
徳川侍従を殴る師団兵 - 荒木保夫
師団兵 - 桐野洋雄
師団兵 - 中山豊

児玉基地(陸海混成第27飛行集団)
野中俊雄大佐(飛行団長) - 伊藤雄之助
児玉基地副長 - 長谷川弘
少年飛行兵 - 大沢健三郎

横浜警備隊
佐々木武雄大尉(隊長) - 天本英世

航空士官学校
黒田大尉 - 中谷一郎

憲兵隊
NHK愛宕山スタジオ警備の憲兵中尉 - 井川比佐志


世界を救うDVD映画「ブルーバレンタイン」 [映画]

ブルーバレンタイン
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相思相愛で結婚してもそれがいつまでも続くとは限らない。
元彼の間に設けた女の子、フランキー。
妻は先々のことを考えて堕胎しようとしたが、
手術中直前に思い直しフランキーを産んだ。

夫は、自分の子供のようにかわいがり、フランキー自身も
彼になついていた。

夫も仕事を持ち、妻も仕事を持っていた。
子供は小学生、平和な3人暮らし。
しかし、夫と妻の間に少しずつ亀裂が入ってきた。

何が原因かわからない。
夫の猜疑心?
いまいち不満足な夫婦生活?

愛しているのだけれど愛せない。

それは、お互いに興味ある対象を持っていないからではないだろうか?
人生は夫婦の生活だけではない。

それは仕事でも趣味でもいい。
夫婦生活が理由なく傾き始めたら、それは
対面している時間が長すぎるのではないだろうか?

夫婦それぞれ、自分の没頭できる対象に(趣味や仕事)
のめりこんで、それがよい状態にいったらまたお互いに
関心をもちあえばいいのではないだろうか?
人の心は勝手なものだから。

世界を救うDVD映画「ホリデイ」 [映画]

ホリデイ
The Holiday
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一つの映画を見て、こんなにウキウキできるのも久しぶりだ。
心をウキウキさせるサプリメントでも飲んだのかしら?

恋愛をして世の中の絶望の淵にたった二組の男女が、年末の
イギリスで新しい恋人と、和気あいあいで、
大晦日を迎えるというもの。

4人のスマイルは世界を救うほどにさわやかだ!

また、4人のメンバーはどこか別の映画でも見たことがある、
一人一人みんな活躍している有名人だ。
だけど名前は思い出せない。

事の始まりは、失恋した二人の女性がネットで家を交換
するという展開だ。
イギリスとアメリカという距離感も映画では可能だ。
まだ見てない人は、また失恋した人は是非見てください。


役名    俳優
アマンダ: キャメロン・ディアス
アイリス: ケイト・ウィンスレット
グレアム: ジュード・ロウ
マイルズ: ジャック・ブラック

キャッチコピーは
「人生に一度だけ、誰にでも運命の休暇がある」
というもの。


監督   :ナンシー・マイヤーズ
脚本   :ナンシー・マイヤーズ
製作   :ナンシー・マイヤーズ
      ブルース・A・ブロック
製作総指揮:スザンヌ・ファーウェル
音楽   :ハンス・ジマー
撮影   :ディーン・カンディ
編集   :ジョー・ハッシング
製作   :アメリカ、2006年12月

地球を救うDVD映画「石榴坂の仇討ち」 [映画]

柘榴坂の仇討
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以前私のブログの中でご紹介した、
「途方もない使命感に誘われた若者達、桜田門外ノ変」(原作:吉村昭)なるものがありますが、それは、
水戸藩士の視点に立った映画でしたが、今回は彦根藩士の視点から捉えた映画です。
それがこれからご紹介する「石榴(ざくろ)坂の仇討ち」(原作:浅田次郎)です。


大老、井伊直弼(いいなおすけ)は朝廷の許しを得ぬまま1858年アメリカと通商条約を結んでしまった、その上、攘夷をけちらし吉田松陰の首もはねてしまった。
世に言う「安政の大獄」です。ために国中の幕府に対する反発はかつてない程、勢いを増してきた。
対外的には列強が徳川幕府ののど元まで迫ってきている。大老、井伊直弼の心境はいかばかりかと想像する。

井伊直弼は国中では赤鬼と称せられているが、「あたたかく風流で優しいお方」と評して、「おれは嘉門の守さまが好きだ、政(まつりごと)がどうあれ、茶、和歌、鼓(つづみ)に通じているお殿様が好きだ。」という。

この男、井伊大老の命を守る近習(きんじゅう)という役目を仰せつかり、お殿様を守ることに全精力を費やそうとしている。名は志村金吾(しむらきんご)。

3月3日は慣習となっていた上巳(じょうし)の節句にて井伊直弼は登城する予定であったが、その朝「大老襲撃の企てあり」との情報が入り家臣は登城を取りやめるよう進言したが、井伊直弼は大老としての役目を重んじ、それを圧して登城した。

すべて天命、天が逝けというならそれもよし、生きろというならそれもよしと、人生を達観した直弼の言葉は不穏を告げるかのようである。

人の命は天の差配によって決められている。

その時が来るまでは人は懸命に生きよということだ。

雪の降りしきる登城中、井伊直弼は水戸浪士らに命を奪われてしまう。
金吾は命に代えても殿を守ると心に決めていたがそれが果たせなかった。
これこそ断腸の思いというのだろう。

そして水戸浪士一味を捕えることが金吾に下された命令となった。
金吾の父母は自害、また金吾は妻を離縁しようとするが、
妻(セツ=広末涼子)は「ご本懐をやり遂げるまで、おそばに置いていただきます。」
と、まあなんとけなげな言葉だろう。
こういう言葉、心情が、かつての日本には生きていたのだ!

桜田騒動から13年たった。
金吾はいまだに水戸浪士を追っていた。しかしつぎつぎと捕えられ、
あと一人、佐橋十兵衛(さばしじゅうべい)を残すのみとなった。

金吾の友人、内藤は上手に明治維新を乗り切った。軍服を着た内藤は金吾に言う。

内藤)彦根藩などはもうどこにもないのだぞ!
金吾)侍はなくなってしまったわけではない。
   姿かたちは変わってもその心はどこにも生きている。

内藤の上司、秋本夫婦に、こんな会話がある。
夫)志村金吾の父母は自害した。金吾には切腹が許されなかった。一味を捕えるまでは。
  金吾は13年もの間、生き恥をさらさねばならなかった。
妻)お辛かったのはその人一人ではありますまい。
  ご本懐を遂げられた後は、その方はどうなされます?
夫)当然腹を切る。
妻)奥方はどうされます。
夫)あとを追うだろう。
妻)あなたは、その手助けをなさるおつもりですか?
このような女性の台詞を聞いていると、この時代の男も強かったが、女性も良妻賢母ぶりを発揮しているなあと思う。

新しい世を生きよ、ひたむきに生きるのも道だと金吾は秋本に諭される。

金吾が仇討ちを探し当てたその日、明治政府の布告がでて、仇討は禁止となった。

金吾は仇討ちの佐橋十兵衛の前でこう言う。
佐橋殿、時代は変わった、だが武士は変わることはない。 その心を持ったまま、この垣根を越えてはくれまいか?  生きてはくれまいか? わしもそうする故。

佐橋もそれを受け入れた。二人の心は13年間、時間が止まったように生きてきたが和解して新しい世を生きることになる。

監督     :若松節朗
原作    :浅田次郎
配役  
志村金吾   :中井貴一
佐橋十兵衛  :阿部寛
志村セツ   : 広末涼子
内藤新之助  :高嶋政宏
秋元和衛   : 藤竜也
井伊直弼  :中村吉右衛門

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地球を救うDVD映画「トランスフォーマー・ロストエイジ」 [映画]

トランスフォーマー ロストエイジ
Transformers: Age of Extinction
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子供時代にはやったトランスフォーマが映画の中で見らる。
初めて見たトランスフォーマと比べるとずいぶん進化したものだ。
しかし、車がロボットに変身したり、ロボットが怪獣になったり
部品の組み合わせを変えれば他のものになるという考えは変化していない。まあ、それがトランスフォーマーだ。

映画の舞台も、アメリカ、中国と世界を牽引している場所だ。

世界の子供達にもこの映画は歓迎されるだろう。第一、男の子は動くおもちゃが大好きだからだ。大人ももと子供だった。

心のゆくえも、主題がはっきりしていてわかりやすい。
勧善懲悪だ。しかし最後に我々を創造した創造主の所へ行くというくだりはおもしろい発想だ。さしずめ人間界であれば神の所へゆくというところだが、トランスフォーマーはどこへゆくのだろう?

昔から言われている「愛は地球を救う」は「映画は地球を救う」ということになりそうだ。そして私のタイトルにもあるように「地球を救うDVD映画」につながっていく。

どんな映画もこれにつきるだろう。一見、別の方向を目指しているように見えても、それは結論に達するための回り道だ。



監督 :マイケル・ベイ
脚本 :アーレン・クルーガー
製作 :ドン・マーフィ(英語版)
    トム・デサント(英語版)
    ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ
    イアン・ブライス
総指揮:スティーヴン・スピルバーグ
    マーク・ヴァーラディアン
    ブライアン・ゴールドナー
出演者:マーク・ウォールバーグ
    ニコラ・ペルツ
    ジャック・レイナー(英語版)
    ケルシー・グラマー
    T・J・ミラー
    ソフィア・マイルズ
    李冰冰
    スタンリー・トゥッチ
    韓庚
    タイタス・ウェリヴァー
音楽 :スティーブ・ジャブロンスキー
主題歌:イマジン・ドラゴンズ[1]
    「Battle Cry」
撮影 :アミール・モクリ
編集 :ウィリアム・ゴールデンバーグ
製作 :ディ・ボナヴェンチュラ・ピクチャーズ
     ハズブロ
     China Movie Channe[2]
     Jiaflix Enterprises[2]
配給 :パラマウント映画
公開 :2014年
製作国:アメリカ合衆国
    中国


地球を救うDVD映画「偽りの人生」 [映画]

偽りの人生
(TODOS TENEMOS UN PLAN)
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映画の題名は「偽りの人生」と原作の日本語的意訳と思うが、
この題名がこの映画にふさわしいかどうか疑問が残る。

DVDには「Everybody has a plan」とある。これも、さっぱりしていて、
映画の核心にはこだわらない、或いは意味深な良い題名だが、
これも私としては一味違う。

いずれにしても、題名は映画を鑑賞した人が勝手に付けるのが
いいのかも知れない。

前置きが長くなったが、本題に入ります。

主人公のアグスティンは医師で8年前、金満家のグラディアと結婚する。
2人の間には子供がなく、養子を取ろうと妻が積極的に進める。
養子の赤ちゃんが来ることになった時、夫は子供はいらないと言い出し、
夫婦は決別する。

妻は実家に帰り、夫は家にひきこもる。
そんな時、養蜂家の兄が主人公アグスティンを尋ねてくる。
理由は、兄のペドロは末期的なガンで余命いくばくもなく毎日が辛いと言う。
ついては、ここにピストルがあるから殺してくれないかと話し出す、
報酬は良心の呵責代金として7万ペソ用意したという。

弟のアグスティンは突拍子もない話に、勿論否定的で,
兄のガンの様子をX線写真で見るにつけ、
自分も医師の見地から無理からぬことだと納得する、
しかし兄を救いたいという気持ちもある。

ある日、兄のペドロが風呂に入っているとき吐血した。
弟のアグスティンは救急車を呼ぼうとするが、兄が差し止めた。

しかし、兄はますます吐血を激しくする、苦しんでいる兄を見て弟は
とっさに兄を楽にしようと湯船に兄を沈め窒息死させてしまった。
弟は自分のやったことではあるが、事態の結果に驚愕する。

弟は医師をやめて、兄に成り代わろうとする。
それは兄を愛していたからに他ならない。

それとも、映画の題名から察すると、この主人公は人生を2度生きてみたい、
と言う以前から願望があって、兄の代わりの人生を生きてみたいと思ったのかも知れない。

良い映画というのは、鑑賞者を映画の中に引き入れ、
「鑑賞者の自由気ままな想像力にお任せしよう」との意図があるものだ。
これもそれかな?


弟アグスティンは兄の養蜂家として故郷へ帰る。
しかし故郷の地元の人々は兄ペドロを良く思ってない人が多く、迫害を受けた。
実はこの兄と弟は双子の兄弟でほとんど見分けがつかないのだ。

2人が子供時代に遊んだアンドリアンが登場する。彼はよく遊んだ子供仲間だったが、
今は似非(えせ)クリスチャンで聖書はいつも持ち歩き人生の道しるべとしていた。

アンドリアンは「盗賊」の計画を立てていて、(最も最初の計画はペドロとなっている)
その実行をペドロに成りすましたアグスティンに迫る。

ある夜半、助っ人一人を引き入れ盗賊計画を練った。
みんなはこれを了解した。

かつてペドロが養蜂家として働いていたとき唯一の女友達としてロサ(愛称はベビー)がいた。
ロサはペドロを慕っていた。

ペドロに成りすましたアグスティンにもその想いは変わらなかった。
二人の中でこんな会話が取り交わされた。
これは原作のテーマでもある。

ロサ:人は誰も悪い心を持っているわ、でも本当に人を傷つけたら、その悪が膨らむ。 反対に親切にすれば、自分の中の悪や他の人の悪もしぼんでいく。

アグスティン:相手は誰にでもかい?

ロサ:そう、誰にでも親切に。

アグスティン:素敵だね。


その後、盗賊の一件は、アグスティンがドタキャンする。
この辺の展開は映画を見られたし。

最後にアグスティンとロサがボートに乗っている。
彼は銃で撃たれ横たわっている。
ロサは泣いて彼を見ている。

愛しているか? 僕も愛している、心から。
私も愛している。
僕をずっと愛してくれるか?
ずっと愛している。

アグスティンは泣いているロサを前にして
空を見上げている。

この場面は、アグスティンの体から魂が抜け出して
すうっと澄んだ空へ高く登っていくようだ。

ロサは彼が川の上流へ行きたがっているのを思いだした。

ロサはエンジンをかけ、川上に向かってのぼっていった。


監督: アナ・ピーターバーグ
脚本: アナ・ピーターバーグ
製作: マリエラ・ベスイエフスキー 、
    ヘラルド・エレーロ 、
   バネッサ・ラゴーネ

キャスト
アグスティン&ペドロ  (主人公): ヴィゴ・モーテンセン
クラウディア    (主人公の妻): ソレダー・ビヤミル
アドリアン(子供時代の遊んだ仲間): ダニエル・ファネゴ
ロサ       (主人公の恋人): ソフィア・ガラ・カスティリオーネ

製作年 2012年
製作国 アルゼンチン=スペイン=ドイツ
配給 ブロードメディア・スタジオ


孤立無援を生き抜く力 [映画]

地球を救うDVD映画「リディック」
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孤立無援を生き抜く力

仲間意識を持ってみんなと一緒に駆け上ることには賛成だが
時としてそれができない場合がある。

みんなから離れて、自分一人頑張らなくてはならない時がある。
誰の助けもない、
それが孤立無援だ。


リディックが崖をよじ登る、
次々と後ろから、サソリのお化けのような宇宙生物におそわれる、
その数は、おびただしい。

執拗に迫ってくる宇宙生物、
みにくく、素早く、際限なく続く攻撃。

そんな時、リディックは頼もしい戦士に見える、
絶対あきらめない心、
頑張る心、
口から出た言葉は必ず実行する男。

一体,彼を突き動かしていく心はなんだろう?
彼の心に共鳴するものは何?
やさしい人間の愛か?



スタッフ
監督デビッド・トゥーヒー
製作ビン・ディーゼルテッド・フィールド
製作総指揮サマンサ・ビンセントマイク・ドレイク

キャスト
ビン・ディーゼルリディック
ジョルディ・モリャサンタナ
マット・ネーブルボス・ジョンズ
ケイティー・サッコフダール
デイブ・バウティスタディアス

原題
Riddick

製作年:2013年
製作国:アメリカ
配給 :プレシディオ


タグ:孤立無援

世界を救う映画 「ツレがうつになりまして」二人の優しい風が私たちの心まで吹いてくる。 [映画]

「ツレがうつになりまして」
深紅のバラ.jpg
初めにマーラーの音楽が流れた。
映画は二人が住んでいる家を映し出していた。

この曲を初めて聴いたのは「ベニスに死す」の映画のクライマックスのところでだった。
それと共に、その時の美少年の面影も思い出した。もう数十年も前のことだ。

人生の全てを知り尽くしたような音楽、
これがマーラーの交響曲第5番だと知ったのは、
聴いてからずいぶんたってからだった。

横道にそれてしまった。
「ツレがうつになりまして」の話にに戻る。
イグアナがノソノソと家の中を歩き回る。
私もペットとして飼いたいものだ。

夫はコンピュータのソフト会社のサラリーマン。
妻は趣味が高じてマンガを描いて投稿しているようだ。
「つげ義春」のマンガを読んでいる。

私も40年ほど前つげ義春のマンガを読んでいた。
特に「ねじ式」などはこれからのマンガとして異質のものを感じた。
また横道にそれた。

うつは心の風、いたずらに不安がることはない。
二人はお互いにお互いを思いやり、「富めるときも、貧しきときも
お互いに、相手を思いやって、、、、、」
これこそが夫婦だと思う。若い二人の優しさに感動する。

「タイスの瞑想曲」、「トロイメライ」もすばらしい。
妻との小さな言い争い、夫は世界から取り残された感じを受ける。夫は風呂場に行って自殺しようとするが、妻に発見され止められる。
イグアナは二人の全てを知っているような哲学者のような顔をして見守る。

教会で同じ時に結婚した夫婦と同窓会と称して、毎年みんなに近況を発表し合う。

その時妻は「私の隣にツレがいてくれて本当に良かった」と述懐する。
また「人は誰でも、どんな時でも自分の生きていることを誇りに思う」ともいう。

最後の次の言葉は感動ものだ。
二人が天気の良い日に縁側にたたずんでいる。そして、

風が気持ちいいね。 ツレはこれからも宇宙カゼとつきあい続けるだろう。 でも、どんな夜も明けない夜はない。 たとえ明けた空が曇りだとしても、 夜よりはずっと明るいのだから。

二人の優しい風が私たちの心まで吹いてくる。

配役:宮崎あおい
   堺 雅人
原作:細川貂々(ホソカワテンテン)
監督:佐々部 清
東映


理想の先生「いまを生きる」 [映画]

いまを生きる

Dead Poets Society


これはアメリカ合衆国の話である。
一見、イギリスのような錯覚に陥ったが紛れもなくアメリカのもの
KINGS ENGLISHの風貌が現れても不思議ではない。


ここにはアメリカの詩人、ホイットマン、ソロー、フロスト
イギリスの詩人、テニソン、シェリー等々、有名どころの
詩の一節が披露される。

詩はその人の情緒のエッセンス
従って詩情を命の糧として生きている人もいる。

赴任してきてクラスを持った先生ジョン・キーティングは、
情熱を持って生徒に接した。そして詩の神髄を諭した。

例えばこんなエピソードがある。
キーティングは授業中に突然机の上に立って宣言する。
「私はこの机の上に立ち、思い出す。
つねに物事は別の視点で見なければならないことを!
ほら、ここからは世界がまったく違って見える」。


先生は一人一人の個性を重んじ、一人一人の立場に行って話をされた。
これほど懸命に教育を考える先生は少ないだろう。また、これほどの
先生も理想論のようだ。現実には無理っぽい。

現実には居ない先生も、詩人達は実際には存在したので、彼らの詩を
をひもとけば、その精神は伝わってくるだろう。

学校生活、規律と自由と尊重の中で彼らは、個性を発揮しながら生きて
いたが、突然悲劇が起こる。

これは、若さ故の過ちと言える。
親の願いと、自らの生きる道での葛藤。もう少し辛抱して生きていたら
きっと、乗り越えられたのに、あまりに短絡とも言えるが、詩情を
生きる糧として生きている精神には耐えられないのかも知れない。

日本にもこれに似た物語が有り自らの行き詰まりを見せている。
それは、「孝なれば忠ならず、忠なれば孝ならず」と、板挟みである。

映画の最後に、校長に反して生徒達が去って行くキーティング先生の精神が
自分たちの中に生きていると示すことができたのは、先生にとって
報われただろう。学友の死を乗り越えられるというサインでもあった。



監督 :ピーター・ウィアー
脚本 :トム・シュルマン(ドイツ語版)
製作 :スティーヴン・ハーフ
    ポール・ユンガー・ウィット
    トニー・トーマス
出演者:ロビン・ウィリアムズ
    ロバート・ショーン・レナード
    イーサン・ホーク
音楽 :モーリス・ジャール
撮影 :ジョン・シール
編集 :ウィリアム・アンダーソン
製作国:アメリカ合衆国
公開 :1989年

頼もしいリーダー達「超高速!参勤交代」 [映画]

超高速!参勤交代

参勤交代は江戸時代、1635年 江戸幕府が全国の大名を統制するためにもうけられた政策だ。これを行うことによって大名の財政を圧迫させたが、交通の発達や文化の交流として時代に貢献している。

この映画の中では磐城国の小藩・湯長谷藩の藩主・内藤政醇が登場し、田舎大名が実直にこれをこなし地域の人間が平和に幸せに生きていけるよう、模範的な大名ぶりを披露している。

時代を超えて、人々のリーダーなる者はこのような人がいいと、万民が賛成できる善い人のイメージが備わっている。

映画の出だしは、やっと重荷の参勤交代が終了して、ヤレヤレとみんな気が楽になった事から始まる。次の参勤交代までにはあと一年半あるということだ。

ところが、休みもままならないところへ、飛脚が到着し、今すぐもう一度参勤交代をせよ、との命令が届いた。

理由は、この藩で金が採れるのにそれを申告しなかったということだ。これには、裏があって幕府の重臣があらぬ疑いをかけ参勤交代を行わせ、藩を取りつぶそうという意図があった。

藩内で協議が行われ、実直な殿様は、幕府の考えは解ったが、これを実直に実行し幕府に申し開きをするのだ、との考えにまとまった。

就いてはこれを実行するために、家老職にあった相馬兼嗣に知恵を出させこの無理な参勤交代を実行させようとした。

これが、映画の題名の超高速!参勤交代である。

要は、要の関所を通るだけで道のりを省略させ、山越えをし、また行列の人数も足りないので、他藩の行列を借りたり、また即席の行列を雇ったり、見せ場の宿場には2度行列することによって、大きな行列だと思わせたり、とにかく5日間で江戸に到着するよう画策する。

途中で得た女郎を自分の側室にするという人間的な殿様の横顔もうかがえる。

今現在、民主主義が最上の方策と思われるが、その時代時代に合った人々の納得する方策はまだあったのだと思わせる節がある。

人々のリーダーとして、質実剛健、人民愛に深く、人々に慕われる人間。目標を実現させるために突き進む勇気と力、あるべき姿を実現させる推進力。今は存在しないそんなリーダーがいたらいいなあと思わせる映画であった。


キャスト
内藤政醇(湯長谷藩主):佐々木蔵之介
お咲(飯盛り女):深田恭子
雲隠段蔵(抜け忍):伊原剛志
荒木源八郎(湯長谷藩士):寺脇康文
秋山平吾(湯長谷藩士):上地雄輔
鈴木吉之丞(湯長谷藩士):知念侑李(Hey! Say! JUMP)
増田弘忠(湯長谷藩士):柄本時生
今村清右衛門(湯長谷藩士):六角精児
徳川吉宗(征夷大将軍):市川猿之助
松平輝貞(老中首座):石橋蓮司
松平信祝(老中):陣内孝則(特別出演)
相馬兼嗣(湯長谷藩家老):西村雅彦
内藤政樹(磐城平藩主):甲本雅裕
琴姫(政醇の妹):舞羽美海
徳川宗翰(水戸藩主):前田旺志郎
夜叉丸(隠密頭):忍成修吾
高坂小太郎(隠密):冨浦智嗣
瀬川(湯長谷藩江戸家老):近藤公園
虎之助(隠密):和田聰宏
茂吉(農民):神戸浩

スタッフ
製作総指揮 - 大角正
企画 - 深澤宏
プロデューサー - 矢島孝
監督:本木克英
脚本:土橋章宏
音楽:周防義和
主題歌:塩ノ谷早耶香「Like a flower」
撮影:江原祥二
照明:林利夫
美術:倉田智子
録音:山本研二
整音:岸田和美
編集:川瀬功
製作・配給:松竹
製作プロダクション:松竹撮影所
製作:「超高速!参勤交代」製作委員会(松竹、テレビ東京、博報堂、ケイファクトリー、松竹ブロードキャスティング、講談社、キングレコード、福島民報社)

受賞
第38回日本アカデミー賞(2014年)[11] 優秀監督賞(本木克英)
優秀脚本賞(土橋章宏)
優秀主演男優賞(佐々木蔵之介)


死ぬまで意地を通す「クロワッサンで朝食を」 [映画]

クロワッサンで朝食を
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映画の舞台はフランス、パリ。
これは若向きの映画ではない。
でもしみじみとした人生の静かな息づかいを垣間見れる。

登場人物は、朝食にクロワッサンと紅茶しか食さない、
老境のフリーダという女性、一見頑固に見える。

二人目はステファンというカフェの主人、
もとフリーダの恋人でカフェを彼女からもらった。
それで、独り者のフリーダの世話をしている中年男。

三人目の登場人物は、若い頃からパリにあこがれていた老境に
入ったアンヌという家政婦。
ステファンに雇われてリトアニアからパリに出てきた。

フリーダの世話は難しく、何人も家政婦はやめている。
アンヌもフリーダの最初の会話は、朝食をつくって
フリーダの前に現れたとき、
「そんなもの食べないから、さっさとこの家から出て行って」
との言葉。

アンヌは落ち込んでパリの町並みを歩き、エッフェル塔を見に来る。そして、心を落ち着かせて、どうしたらよいか彼女なりに考える。雇い主のステファンに向かって、
「あなたはフリーダが死ぬのを待っているの」と心を見透かされてしまう。

フリーダとアンヌはあることから口争いになり、とうとうアンヌは出て行ってしまう。
フリーダはアンヌを忘れられなく、帰って来ないかと待ちわびる。アンヌの方も国に帰ると言いながらも、帰らず、フリーダの所に戻ってくる。

ここで、この映画のしめくくりにぱっと主題がでてくる、
フリーダの出迎えの言葉、

「アンヌ、ここがあなたの家よ」

その余韻がいつまでも残る。

老境に入ると人は死を待ちわびるのだろうか?
それとも老境を謳歌しようとするのだろうか?


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監督 イルマル・ラーグ
脚本 イルマル・ラーグ 、 アニエス・フォーヴル 、 リーズ・マシュブフ
製作 ミレナ・ポワヨ 、 ジル・サクト 、 リーナ・スィルドス
共同製作 フィリップ・カウフマン 、 アドリアン・ポリトフスキー 、 ジリー・ウォータークリン
撮影 ロラン・ブルネ
美術 パスカル・コンシニ
音楽 デズ・ムナ
録音 ピエール・メルテンス 、 ボルヌ・ルロワ 、 エマニュエル・ドゥ・ボワッシウ
編集 アンヌ=ロール・ゲガン
衣裳デザイン アン・ダンスフォード
キャスティング ブリジット・モワドン
助監督 ジュリエット・マイヤール

キャストフリーダ ジャンヌ・モロー
アンヌ ライネ・マギ
ステファン パトリック・ピノー

あなたは夫を愛せますか?「魂萌え!」 [映画]

魂萌え!(たまもえ)
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「知らない事も罪なのよ」と隆之が使っていた歯ブラシを投げ、
思いの丈をぶつけた言葉は、分からないこともないが軍配は正妻に挙げたい。
それほど言うなら、もっと堂々と生前に打つ手はあったのではないか?
結局、隆之は正妻の俊子をより愛していたということだ。


      --*--*--*--*--*--*--*--*--*--

関口隆之は退職後3年であっけなくこの世を去る。

残された妻の関口俊子は遺品の整理中に夫が不倫をしていたことを知る。
10年間、夫に女がいたと知って愕然とする。

その後、映写技師の職を見つけて自立するまでのドタバタを
もの語るのがこの映画だ。1947~49年のベビーブーム時代生まれた団塊の世代。
果たしてどんな見せ場があるでしょうか?


夫の関口隆之は10年もの間、妻に隠した女が居たにもかかわらず、
映画の中ではそれほど非難されていない。
みんな一つの現象のように捕らえていて、夫に対する波風は皆無である。
これは寺尾聰の有徳のなせる技か。
見ている者は「そうだったのか」と受け入れてしまい、
非難など出てくる隙もない。監督は適役をしつらえた。

長男の関口彰之。アメリカで失敗してしっぽを巻いて帰ってくるダメな男で、自分勝手なことばかり考えている。これも、我が息子だと思えば仕方がないが、育て方が悪かったと自分を責めるしかない。親にとって最大の仕事はやはり子育てにある。ちゃんと親の背中を見せる生き方をしろ!である。

三田佳子が演じる不倫役の相手、伊藤昭子。
彼女は日陰の身でありながら、善く関口隆之を愛し、そして尽くした。

そのおかげで、「あぶくま」という蕎麦屋も出せたしゴルフの会員権ももらった。
サンダル履きもかわいさが残る。
「知らない事も罪なのよ」と隆之が使っていた歯ブラシを投げ、
思いの丈をぶつけた言葉は、分からないこともないが軍配は正妻に挙げたい。
それほど言うなら、もっと堂々と生前に打つ手はあったのではないか?
結局、隆之は正妻の俊子をより愛していたということだ。

次はカプセルホテルの支配人野田を演じる豊川悦司。
彼のダメ男役を演じるのは妙に決まっている。
いつもとは違ったトヨエツを見せてもらった。グー。

林隆三が演じる蕎麦屋仲間の塚本。俊子に新しい世界を一瞬見せるが、
服もバッグも化粧も新品にした俊子に、あっけなく振られてしまう。
自己嫌悪の末に自分を「バカダー」と言うのは光った。

俊子の同級生仲間、今陽子、藤田弓子、由紀さおり。
俊子に親しい友人がいてよかった。自立した俊子にとって人生の宝と言える。
みなさん若いうち、年をとってからでもいいですが友人を持ちましょう。

最後に風吹ジュンが演じた関口隆之の妻、関口俊子。
夫は一人の女性では満足できなかったのだ。
もし伊藤昭子が正妻になれば関口俊子が不倫相手の女性になるだろう。
夫は10年間も隠しておいたと言うことはそれだけ俊子の方を愛していたのだ。
夫は妻が許してくれるだろうと思って最後の「ありがとう」を言ったのだ。

「人生は苦しいことも多いけれど、捨てたものではないわ。」
と誰かがどこかに書いていた台詞を私は思い出しました。
この言葉に収束するのではないでしょうか?


監督:阪本順治
原作:桐野夏生

キャスト
風吹ジュン:主演で関口隆之の妻。関口俊子役をを演じる。59歳。
寺尾聰  :関口隆之、関口俊子の夫役を演じる。63歳。
田中哲司 :関口夫婦の長男、関口彰之 役を演じる。
常盤貴子 :関口夫婦の長女、関口美保 役を演じる。
林隆三  :俊子の夫が他界した後、夫のそば仲間の一人で
俊子を一瞬ウキウキさせる男、塚本を演じる。
豊川悦司 :カプセルホテルの支配人、俊子の同情をかう野田。
今陽子  :俊子の友人仲間、山田栄子を演じる。
藤田弓子 :俊子の友人仲間、西崎美奈子を演じる。
由紀さおり:俊子の友人仲間、江守和世を演じる。
三田佳子 :関口隆之の不倫相手、伊藤昭子を演じる。

加藤治子 :かとうはるこ。カプセルホテルの知り合いで、
俊子は彼女の話で身につまされる。宮里しげ子を演じる。
麿赤兒  :映写技師の先生を演じる。


地球を救うDVD映画「ビザンチウム」 [映画]

ビザンチウム

BYZANTIUM

死を覚悟した者だけが永遠の命を得る

何とも刺激的な言葉だ。

ほとんどの人たちは、静かなショパンのピアノ曲に聞き耳を立てて心を奪われている。
彼女の名は、エレノア・ウェッブ。

「ここで終わる。」
「何が?」
「時間が。」

彼女が書き連ねた創作物語は、「私が誕生した1804年からの生と死について」と、
いかにも暗く情熱的な激しさで始まる。

エドガー・アラン・ポーとマリー・シエリー二人の「奇妙な子供」といった感じの物語。

赦し(ゆるし)というのは、キリスト教の価値観だ、私の神はより古く、より冷酷だ。
永遠の命は死を覚悟した者だけが得られる。

監督   :ニール・ジョーダン
脚本   :モイラ・バフィーニ
原作   :モイラ・バフィーニ
製作   :スティーヴン・ウーリー
      アラン・モロニー
      エリザベス・カールセン
      ウィリアム・E・ジョンソン
      サム・イングルバート
製作総指揮:マーク・C・マニュエル
      テッド・オニール
      シャロン・ヘイレル=コーエン
      ダニー・パーキンス
      ノーマン・メリー
出演者  :シアーシャ・ローナン
      ジェマ・アータートン
      サム・ライリー
      ジョニー・リー・ミラー
      ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
音楽   :ハビエル・ナバレテ
撮影   :ショーン・ボビット
編集   :トニー・ローソン
製作   :イギリス、アイルランド 2013年


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