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途方もない使命感に誘われた若者達「桜田門外ノ変」 [映画]

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桜田門外ノ変

これは水戸藩士だった関鉄之介の視点から見た「桜田門外ノ変」です。
最近、討たれた井伊直弼(なおすけ)の側近で仕えていた彦根藩士、志村金吾の視点から見た
「石榴坂の仇討」という映画ができましたね。
きっと視点が変わるとこうなる、ということですね。これもまた楽しみです。

さて、現在の国会議事堂のすぐ隣で、今から154年ほど前の1860年「桜田門外ノ変」が起こりました。
当時は列強の外国勢力が中国の清朝政府をアヘン戦争でズタズタにして、半植民地化し、次は日本を餌食にしようとしていました。産業革命を経て、科学技術によって強くなった列強に対して、日本人は、次は日本が清朝政府の二の舞になると懸念していました。 

ペリー提督が黒船に乗って浦賀沖に来て、大統領の国書により通商を迫り、もし応じないなら武力に訴えると、大砲を撃ちました。日本はどんなに驚いたでしょうか。日本が植民地になる? そんな中で日本の進むべき道を模索中に起きた事件がこの「桜田門外ノ変」でした。

当時、江戸幕府に勢力を持っていた水戸藩主徳川斉昭(なりあき)の考えは尊皇攘夷でした。
尊王とは、幕府が国の主人として天皇を敬い尊ぶこと、
攘夷とは攻めよせる外敵を打ち払うことである。


井伊直弼は事件の目前に問題を2つ抱ええいました。
ひとつは第13代将軍・徳川家定の後継をめぐって、
南紀派の会津藩主(松平容保)、高松藩主(松平頼胤)と
一橋派の水戸前藩主(徳川斉昭)福井藩主(松平春嶽)の
二大勢力の政権争いでした。

一橋派は、英明で知られた当時21歳の一橋慶喜(よしのぶ)を推挙していたが、それに対し南紀派は、家定の従弟で当時12歳の紀州藩主・徳川慶福(よしとみ)を推しています、結局慶福が養子と決められました。後に慶福は第14代将軍となり家茂(いえもち)を名乗りました。

もうひとつの問題は早期締結要求も強まる日米修好通商条約でした。井伊直弼は天皇の勅許を得ないままに日米修好通商条約をはじめとする安政の五ヶ国条約の調印を実行してしまいました。

彼は先進的な考えを持ち、富国強兵を考えていました、そのためにはアメリカの要求を一時的に受け入れて、他の列強国を抑えて、アメリカから優れたところを取り入れ強くなろうとしていました、それを独断で進めてしまいました。これには天皇を始め尊王攘夷派も怒りました。井伊直弼は先走りだったのでしょうか?

この二つの問題に対して尊皇攘夷論者は反対運動を激化させました。井伊大老はこれを弾圧、幕政を批判する政治運動に関わった多くの人を処刑し(100人以上)、その中には吉田松陰、橋本佐内らもいました。また水戸藩の徳川斉昭、春嶽らを蟄居させてしまいました。世に言う安政の大獄です。

これらによって、水戸藩内に井伊直弼打つべしの過激勢力が集まり、直弼暗殺の計画が立てられ、総指揮に金子孫二郎、現場指揮に関鉄之介が任ぜられ、3月3日桜田門外で暗殺が実行されました。

この日は季節はずれだとはいえ、早朝からことのほか雪が多く降っていました、時には牡丹雪にもなったそうです。

午前9時ごろ、江戸城へ登城する井伊直弼の駕籠(かご)行列が橋にかかろうとした直後、先頭に陳情を装って斬りかかり駕籠を止めました、護衛は、なんだなんだと駕籠を離れたとたん拳銃を井伊の駕籠めがけて発砲し、それが合図で、両側面から一斉に斬りかかりました。

護衛の侍は雪が降っていたので刀に覆いをかぶせていました。そのためこんな大事なとき刀がさやから抜けません。中にはサヤを付けたまま応戦した侍もいました。

白い雪にすさまじい鮮血、耳が斬られ飛び、指斬られ飛び、腕が斬られ飛び、壮絶な斬りあいだったといいます。それでも十数分で井伊直弼の首は、はねられてしまいました。

彦根藩からは護衛が26名、足軽が40名、対して暗殺側の水戸浪士17名、薩摩から1名の18名でした。後に主君を守れなかったと言うことで彦根藩の共の護衛は切腹。水戸浪士らは闘死、自害、斬首等で明治まで生き延びたのは2,3人でした。

この映画は関鉄之介(大沢たかお)に視点が置かれ描かれています。
この桜田門外ノ変は当時すぐには評価されませんでしたが、その8年後は明治維新となります。直接的で、はっきりした起点がこの桜田門外ノ変であり、明治維新を早めたと評価されています。

関鉄之介は後日こう語っています。
「桜田烈士、桜田門外の同志達の死は無駄ではなかった。」また、
「われわれは井伊直弼の首ひとつのためにどれだけ多くの命を道連れにしたのでしょうか?」

江戸幕府の権力の中枢を崩したということ、これには犠牲が多い。
坂本龍馬はこの時点ではまだ時期尚早と考えていたようです。

みんな日本の将来を思って、考えていたのに、なぜ多くの若者が死ななくてはならなかったのでしょう。この時代の若者は途方もない使命感に誘われて死に赴いたのでしょうか?
桜田烈士の中には妻もあり、恋人もいたでしょう。彼女たちは死んでいった彼に向かってただ泣くしかない。主題歌の「悲しみは雪に眠る」は運命に翻弄された彼女たちの嘆きでしょうか? 歴史は尊い犠牲の上に成り立っていると思えば、彼らに感謝し私達は良心の襟を正します。


関鉄之介は桜田門外の変から2年後享年38歳で斬首されました、
その6年後大政奉還となり明治政府が成立しました。



監督:佐藤純彌
脚本:江良至
   佐藤純彌
原作:吉村昭
出演者:
大沢たかお
長谷川京子
伊武雅刀
北大路欣也
音楽:長岡成貢
主題歌:alan『悲しみは雪に眠る』
撮影:川上皓市
編集:川島章正
製作会社:「桜田門外ノ変」製作委員会
配給:東映
公開:2010年10月16日

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地球を救うDVD映画「デビッド・ゲイルの人生」 [サスペンス]

THE LIFE OF DAVID GALE
 デビッド・ゲイルの人生
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一本木のモモバラ.png
<信州中野バラ祭り>

2003年にアメリカ合衆国で作られた映画です。
今ネットで500円で購入できるDVD映画です。

映画の題名を「デビッド・ゲイルの人生」と
訳してもいいでしょうか。

ゲイルは自分の意思をこの世に残すために
あることを企て実行して死にました。
全てが計画的です。

哲学という人間の生死を研究する学問を修めた人の
最後の行動がこのことだったのかと思うと、
ゲイルの人生を垣間見たくなります。


始めに、この映画の主な登場人物を紹介します。

デビッド・ゲイル に扮する ケヴィン・スペイシー
ビッツィー     に扮する ケイト・ウィンスレット
コンスタンス   に扮する ローラ・リニー
ザック       に扮する ガブリエル・マン


簡単に登場人物を説明すると、
ゲイル   は 主役で元大学の哲学教授で死刑になります。
ビッツィー は 新聞記者でゲイルの手記を取材する役目で
        後半ゲイルに同情します。
コンスタンスは ゲイルと志を同じくする仲間です。
ザック   は よきビッツィーの助手です。


さて、本題に入ります。

あと4日で死刑を控えた男が、どんな風に生き、どんな風に人生の幕引きを行うのか
記録してもらいたいと、ビッツィーを名指しで刑務所に呼びます。

ゲイルは日頃大学で教鞭を執る傍ら、死刑廃止を強く世に訴える
活動家でもあります。

大学で学生を前に、こんなことを話しています。

自分の心の中を正直にじっくり見つめて、どんな夢を自分は描いている?
金満家? 孤島の人? 世界的な名声?

夢は非現実的でなければならない。それは得られたらたちまち興味が失せるからだ。

欲望を維持するには、永遠に自分の求める対象を手に入れてはならない、だって、必要なのはそれ自体ではなく夢みることだからだ。

パスカルは言っている、「人間が幸福なのは夢を見るときだ。」
身近な例で言えば、欲しいもののカタログを見ているときが幸せでしょう。

獲物は仕留めるより、追うのが楽しい。
願い事は実現したとたん、どうでもよくなるでしょう。

欲望に生きていては幸せになれない。

生活の中で、ちょっとしたときに見せる理性、ちょっとした誠意で人間性の価値が出る。

まあ、こんなことを話しています。


ゲイルはテレビ討論会で知事と「死刑廃止」について、激論を交わす。そして、有名人になる。

また、学生の落第させたという腹いせから、レイプ事件にはめられ訴えられたりもする。
それが元で妻子とは別居、離婚となる。

ゲイルと志をともにする女性コンスタンスと親交を重ね、
ひょんなことから彼女は余命幾ばくもない白血病だと知らされる。

コンスタンスはその事実をひた隠しにしていたが、
症状が出て病院でそれを知ったゲイルはショックを受ける。

ゲイルは、彼女が残りの人生を「死刑廃止」に全力を捧げていることに心を寄せ、また彼は家族を失ってしまったこともあり、次第にコンスタンスに接近し、一計を案じる。

これは、この映画を見ている方もだまされてしまうという企てで、手が込んでいる。最後のどんでん返しでそのことがわかるが、わかったときは後の祭りである。ビッツィーも悔し涙にくれる。

さて、その真相を聞きたくない人は、ここでこの画面を消してしまった方がいいでしょう。でも、聞きたい人は、つぎを読んでください。

コンスタンスは服毒自殺をします。そして、死んだ原因はゲイルにレイプされたからだと細工をします。それを証明する証拠も残します。そしてこの事件の一部始終を撮影したビデオも残します。

裁判所はレイプ事件を立証したとし、ゲイルを死刑にします。

死刑の終わった後、真相のビデオが公表されます。

ねらいは、世の中には犯人でない人が犯人にされる「えん罪」もあり得ることを
実証したかったのです。

そして、 「死刑廃止」を身をもって訴えたかったのです。

あなたは「死刑廃止」に賛成ですか? 反対ですか?




監督   :アラン・パーカー
脚本   :チャールズ・ランドルフ
製作   :ニコラス・ケイジ
      アラン・パーカー
製作総指揮:モリッツ・ボーマン
      ガイ・イースト
      ナイジェル・シンクレア
音楽   :アレックス・パーカー
撮影   :マイケル・セレシン
編集   :ジェリー・ハンブリング


神がお好きな愛「愛の嵐」 [映画]

深紅のバラ.jpg
愛の嵐

Il Portiere di notte
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もう十数年の昔のことになるが、私は当時ナチスの親衛隊の一人で偉大なる第三帝国の建設に大いなる誇りと揺るぎない自信を持って邁進していた。しかし歴史に刻まれているとおり、その結果は惨憺たるものであった。私は当時の牙はことごとく抜かれ、身分を隠し身を隠し、世の中のすみにひっそりと息を殺して生きていた。私はかつての栄光など望むべくもなく、再興などとんでもない、つつましく息ができればもうそれで良かった。昔のことは全て忘れたいと思っていた。

私はホテルマンの仕事を見つけ、礼儀正しく、身だしなみも整えよく働いた。日々の生活にも満足して生きていた。時は1957年、ホテル、オペラである。
私の名前は、マクシミリアン・アドルファ通称マックス。

ところが........

ここウィーンでコンサートが開かれ、その指揮者夫婦がこのホテルに宿泊を求めてきたのである。

夫人の方の顔を見たとき、私は雷に打たれたような衝撃が走った。これは大げさでも何でもない、それほど驚いたのである。相手も、すぐ私だと気がついて、一時呆然としていた。一瞬ではあったがお互いに目をそらすことはできなかった。彼女はすぐ夫について部屋に上がっていった。

今思い返せば、かつての忌まわしいナチスの時代に、私が唯一愛したルチアだった。私は親衛隊の軍服を着ながら彼女に心を奪われていた。

最初にルチアに会ったのは、ユダヤ人の身体検査をやっていたとき、男も女も全裸のままで並ばせていたが、その中にルチアは恥ずかしそうに肩をすぼめていた。私は彼女の美しさに一目見て動けなくなってしまった。

私は彼女だけを一室に連れ込んで、拳銃を撃った。彼女は部屋中逃げ惑い、恐怖におののいていた。私は、その戦慄した顔が肢体がたまらなくなり、こともあろうか写真を撮り始めたのである。私はその時、私の中にある暗い性向を垣間見たのである。これは、抑圧された環境の中に出てくる、悪魔の叫びかもしれない。

戦後私は元親衛隊員のグループに属していた。勿論世をはばかるグループでお互いに協力して当局の執拗な追っ手から逃れようとするものだった。資料があって、300名の同士のうち200名は目撃者による告発、100名は戦犯委員会の摘発である。

私たちのグループは、時々査問委員会なるものを開き、そのような兆候が現れると対象と証拠を摘み取っていた。これによって、お互いの身の安全を確保しようというものである。

近く親衛隊将校の8万名のファイルが手に入る。今ここにマックスの致命的証拠がある。査問委員会の中で話は始まった。

我々は過去を徹底的に洗い、何事も恐れずに語り合うこと。
もし罪悪感に取り付かれ他ものがいた場合、それを正さなくてはならない。
罪悪感は心の病だ。つまりノイローゼだ。

我々を密告するのは目と指だ。1000の証拠よりも一人の生き証人のほうが価値が大きい。彼らほど危険な存在はない。だからこそ、探し出して口を封じなければならない。

マックスを密告する生き証人は、マックスが愛したユダヤ人であり、
彼女は今や楽団指揮者の妻になっている。

マックスは語った、「おそらく証人は既に死んでいるだろうが、もし生きていたらそっとしておきたい」と。

しかし査問委員会は、証人と対峙して初めて身を守る方法がわかる。これは戦いだ。戦争はまだ終わっていない。と、詰め寄る。

マックスはとうとう昔の恋人ルチアをホテルの部屋に訪ねた。
彼女は始め逃げ回った、が.........


理性で押し殺し、心の牢獄につないでおいた魔物が牢屋から出て息を吹き返した。

ルチアは「あなたが欲しい」と叫び、マックスは「私の天使」と言う。

これを離す手立てはあるだろうか?
今テレビドラマで「昼顔」をやっているが、こちらの「愛の嵐」の方が、強烈で、直線的だ。思案というものがなく、勢いがすさまじい。

これは日本文化とヨーロッパ文化、あるいは農耕民族文化と狩猟民族文化の違いとでも言いたい。

マックスは言う。
「忘れた過去が再び甦った。
亡霊が再び私を支配しようとしている。
私はあの声と肉体から逃れられない。」

ここで、当時の親衛隊員の前でルチアが踊った場面が出てくる。
ここが、この映画のサビの部分だろう。

歌の内容はたいしたものではない。ただ、親衛隊の帽子とズボンを身につけ、独特なリズムで歌い始めると、見るものはクギズケにされる。細めの裸身はなぜ親衛隊の軍服が合うのだろうと不思議な思いを抱く。抑圧された環境から、にじり出るエロティシズムだろうか。そのうちに、この歌は映画全体を包み込む、この時代を包み込むのかもしれない。

マックスは聖書の話、サロメを思い出す。ルチアがいやな男とさけていた思いを逆手にとって一計を案じた。マックスはなんとその男の首をはねて、箱に入れルチアの前に披露するのである。ルチアはそれを見て声も出なくじっとマックスを見る。心の傷は計り知れない。勿論、二人のである。

この場面が終わると、話は坂道を転げるように終末に向う。

マックスは彼の天使をどこまでもかばう。査問委員会はそれを許さず二人を追い射殺する。 再び、あの歌が全体を覆う。


監督:リリアーナ・カヴァーニ
脚本:リリアーナ・カヴァーニ
   イタロ・モスカーティ
原作:リリアーナ・カヴァーニ
   バルバラ・アルベルティ
   アメディオ・パガーニ
製作:ロバート・ゴードン・エドワーズ
製作総指揮:ジョゼフ・E・レヴィン
音楽:ダニエレ・パリス
撮影:アルフィーオ・コンティーニ
編集:フランコ・アルカッリ
製作国:イタリア 1975年
キャスト:
ダーク・ボガード:マクシミリアン
シャーロット・ランプリング:ルチア
フィリップ・ルロワ:クラウス




地球を救うDVD映画「鑑定士と顔のない依頼人」 [サスペンス]

鑑定士と顔のない依頼人

  La migliore offerta
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最後のどんでん返しで、今まで見てきた映画ががっかりする人もいるだろうし、
「さもありなん」と思う御仁もいらっしゃるだろう。

がっかりする人は、ヴァージルにとっぷり感情移入されている人であり、
ヴァージルがかわいそうだと思う気持ちがある人であり、
人生に美しい満ち足りた幻想を壊したくないと思う人であり、
もう少しハピーエンドにしてもらいたかった。
考え方を切り替えれば、もしかして、これがハピーエンドかも?

世界の名だたる芸術家が愛した女性を手元に置くという、
きわめて贅沢な試みを長年味わって、そのような行為をいささか異常だとも思うが
現代の若者は、その老人の手からスルリとすべてを奪い取った。

でも、彼の愛した絵画の女性はすべて彼の頭の中にあるのだから、
実際になくなっても精神の支柱を揺るがすことではないだろう。
それは生涯をかけて集めた絵画が莫大な金額であったことは寂しい気がするが。

これらの結果は彼があまりに女性に対して美意識を強すぎるほど持っていたからだろうか?
それは彼が母親を早く失い、母親の愛情なしで今まで生きてきたからだろうか?


監督 : ジュゼッペ・トルナトーレ
脚本 : ジュゼッペ・トルナトーレ
製作 : Isabella Cocuzza
     Arturo Paglia
出演者: ジェフリー・ラッシュ
     ジム・スタージェス
     シルヴィア・フークス
  ドナルド・サザーランド

音楽 : エンニオ・モリコーネ
撮影   : ファビオ・ザマリオン
編集 : マッシモ・クアッリア
公開 :2013年
製作国 イタリア
役名 俳優:
ヴァージル・オールドマン/ ジェフリー・ラッシュ
ロバート/ ジム・スタージェス
クレア・イベットソン/ シルヴィア・フークス
ビリー・ホイッスラー/ ドナルド・サザーランド
フレッド/ フィリップ・ジャクソン
ランバート/ ダーモット・クロウリー
バーの女/ キルナ・スタメル
サラ/ リヤ・ケベデ



地球を救うDVD映画「大脱出」 [サスペンス]

大脱出
Escape Plan
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昔スティーブ・マックウィーンの大脱走という映画があったが、
あれはあれで面白かったが、今回はハイテク技術が巧妙に入ってくる。

シルベスター・スタローンとアーノルド・シュワルツネッガーという2大キャストの共演だ。

シルベスター・スタローンはレイ・ブレスリンという男を演じる。
(以後、レイと呼ぶ)

彼は脱獄に優れた才能を発揮し、自ら本を書いている。
「Compromising Correctional Institution Security」
訳してみれば、「セキュリティ構造物の矯正を約束する」とでもいうことか。
彼の著作は有名になり、これを元に監獄が作られているというところもある。

彼は民間のセキュリティ会社に勤めているが、
重犯罪刑務所の管理体制を調査し弱点を指摘してきた。
彼の仕事はこの7年間脱獄不可能といわれる全国の監獄を見事に脱獄してきた。
そしてとうとうアメリカの中央情報局にまで評価されるに至った。

そこに新しい仕事が舞い込んだ。報酬は500万ドル。
それは、危険な凶悪犯を拘束する方法を確立するため、ある試作中の監獄に
レイを投獄し、見事脱獄したら、そこを分析して更に強固な監獄をつくるという
話につながっていく。

ある日レイは拉致され、ある監獄に投獄される。その監獄がどこにあるか不明だ。
レイには脱獄するに必要な3つの条件があるという。
①施設の構造を十分観察する。
②看守の行動の把握
③協力者

レイは①②をクリアーした。
その結果、この監獄はタンカーのような船がそのまま改造されたもので、
要するに海に浮かぶ監獄である。これには驚きだ。
レイは船の位置を知るため、手製の六分儀を製作し、その結果、船は大西洋、
アフリカのモロッコ沖であることをつきとめる。


③は既に投獄されていたアーノルド・シュワルツネッガーである。
彼は監獄の内外に人脈が豊富で、先走って言ってしまえば、この仕事を
与えたCIA ジェシカ・マイヤーの父親でもある。


映画は派手な立ち回りの末、ハピー・エンドになるが、一番の見所は
監獄が船だったということである。

安全で住みやすい国をつくるために、各方面でいろんな人が
力を尽くしているというところだ。


監督:ミカエル・ハフストローム
脚本:マイルズ・チャップマン
ジェイソン・ケラー(英語版)
原案:マイルズ・チャップマン
製作:ロビー・ブレナー(英語版)
マーク・キャントン(英語版)
ランドール・エメット
レミントン・チェイス
ケヴィン・キング・テンプルトン

出演者:シルヴェスター・スタローン
アーノルド・シュワルツェネッガー
音楽:アレックス・ヘッフェス(英語版)
撮影:ブレンダン・ガルヴィン
編集:エリオット・グリーンバーグ
製作会社:Atmosphere Entertainment
      Emmett/Furla Films
製作国:アメリカ合衆国 2013年

地球を救うDVD映画「ミッシング・ポイント」 [映画]

水底の高み.jpg
<水底の高み>
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ミッシング・ポイント

THE RELUCTANT FUNDAMENTALIST
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「よき音楽は死をやわらげる」

と、ここパキスタンでインド風、イスラム風の歌が
数人の人々によって高らかに歌い上げられ、映画は始まる。
まるでこれからのストーリーを象徴するかのようだ。


主演のチャンゲスはパキスタンの青年で、アメリカで働いた
経験がある。彼のいたニューヨークの会社では、対象の企業の
現社会での価値を調べ、その価値を増進させる方法を提案して収入を得ていた。
逆もある、それは価値がゼロの場合だ。整理ということになる。


彼は対象を観察してその本質を見抜き今に適応させる
という一連の流れを把握する能力に優れていた。
この様な能力があれば、どこにいても生きていけるだろう。
この技能は訓練さえすれば、だれでも身に付くだろうか?
ちょっと話が脇道にそれてしまった。


彼は、テレビで 9.11を見た。それで不謹慎とは言いながらも
天才だけが無慈悲な行為に打ち勝てると言い、更に
良心が目覚める直前、一瞬喜びを感じなかったか?
というのである。
一瞬にして、3000人の命が奪われ、その家族、友人に
多大な不幸を与えた行為に対してである。
何とも答え難い発言だ。少なくとも喜びなどあり得ない。


映画の概要は、パキスタンでアメリカの教授が拉致され
生死が危うくなった事にアメリカCIAが動き、救出する
という事件である。


チャンゲスは初め、心からアメリカを理想の国と思い
アメリカが好きだった。しかし 9.11以降のアメリカの
外国人に対する振舞い方、企業の殺伐とした合理主義、
失恋、等々によって、アメリカを離れることになる。


ある本屋の主人がこんな話をした。
「私は42年間、本を作ってきた。この会社から中東の
偉大な作家が世界へ物語を届けた。」
要するに自分の仕事に自信と価値を見出していた
ということだ。これは見習うべき言葉だが、
この会社が存続できない。


また、
「キリスト教徒の少年がオスマントルコの兵士にさせられ
数年後、生みの親を殺し、家を破壊する命令が下され、
少年は育ての親に傾倒し帝国に仕えた。」


これは、比喩なのでしょうか?
パキスタンの人間が、アメリカで育てられ、数年して
戻ってきて、、、、、、、ということ?

また、その老人は言う。
「若者が戦うには大義が必要だ。自分の立場を決めれば
君の世界に色が戻る。」
これは、地に足をつけて生きろということ?


これは、チャンゲスにパキスタンに戻れと言っているのでしょうか?

CIAの救出作戦、発砲もあり、チャンゲスの友人が死亡する。
大きな複雑な問題が潮の様に寄せては返し、返しては寄せる。

最後の所で、抒情的な女性の声と言葉で、見ている人に
心迫って来るものが有る。


「神よ、私の声をお聞きください、 神は言って下さった、 おまえは世界の王だ、 神は私を立派にしてくださった、 打ちのめされても、優雅に耐える方法を教えて下さった。 私はこの王国を望みません、 私が望むものは、ほんの少しの敬意。 神よ、私の声をお聞きください、 願いがかなうなら、神に従います、 もし私が誓いを破れば、災いを与えてください。」

チャンゲスは最後に言う。

 コーランの原理に忠実であるべきだ


人を2者択一で選ぶべきでない。
労働者か責任者か、アメリカ人かパキスタン人か
殉教者か不信心者か、生者か死者か。
削減にはうんざりだ。


知らない人の運命を高見から左右したくない。
僕はパキスタン人でムスリムだ。
(ムスリム:イスラム教徒、アッラーの教えに帰依する者)
君らの攻撃に反対しているが、それがすべてではない。
僕は実力行使はしない、だから家族に手は出すな。


また、
我々は太陽の光に頼ることなく、自らの光で輝かねばなりません。

これを読んだあなた、これはとてもいい言葉だと思いませんか?座右の銘にしてもいいですね。これが本当の自立ですね。世界中の人々がこう思って行動にしたら世界は変わりますね。いい方向に。

そして、アメリカが好きだ。

日本では宗教を持っていなくても生きていける訳ですが
私は、般若心経の解釈もままならないけれど
少しコーランに興味を持ちました。
人間の人生を確定してしまうという点において。


監督   :ミーラー・ナーイル
製作総指揮:ハニ・ファルシ
製作   :リディア・ディーン・ピルチャー
音楽   :マイケル・アンドリュース
キャスト
リズ・アーメッド    :チャンゲス
リーヴ・シュレイバー  :ボビー
ケイト・ハドソン    :エリカ
キーファー・サザーランド:ジム

2012年 アメリカ、イギリス、カタール制作映画です。


世界を救うDVD映画「4分間のピアニスト」 [映画]

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4分間のピアニスト
(Vier Minuten)
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『4分間のピアニスト』はクリス・クラウス監督、モニカ・ブライプトロイ、ハンナー・ヘルツシュプルング主演の2006年のドイツ映画です。

ーーー*---*---*---

ジェニー・ホーン・レーベン
彼女は、
鉄格子の向こうで
煮えたぎる心をもっていた。

クリューガーは彼女を表舞台に立たせるために命を懸ける、
最後の自分の仕事だと思って。

第二次世界大戦中、クリューガーは心通じ合える女性を知る。
そして、その友ハンナのことをジェニーにうちあける。

「ハンナは憎しみを知ってた、
そして本物の愛も。
ハンナはこの世で何もしないうちに殺されてしまった。」

「人は、自分の才能を生かすために努力すべきです、
人生ほかに何がある?!
何もないでしょ!
人になすべき使命がある。」

Gertrud Kruger
1917-2004

監督・脚本:クリス・クラウス
音楽   :アネッテ・フォックス
俳優:
ジェニー・フォン・レーベン(収監中の女囚):ハンナー・ヘルツシュプルング
トラウデ・クリューガー(ピアノ教師)   :モニカ・ブライブトロイ
製作:アレクサンドラ・コルデス
  :マイク・コルデス
撮影:ユーディット・カウフマン
編集:ウータ・シュミット


地球を救うDVD映画「リアル スティール」 [映画]

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 リアル スティール

 REAL STEEL
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この映画の中の時代は2020年というから近未来の映画だ。
主な登場人物は、
    ヒロイン :マックス・ケントン(11歳)、
    その父親 :チャールズ・ケントン(愛称チャーリー)
    親しい女性:ベイリー、それから、
    ファイティングロボット:ATOM(アトム)だ。

時代は今と違って、人間のボクシングはすたれてしまった。
それは観客が、より暴力的で派手なものを求めたからだ。
ブラジルのグレイシーやマチャド、日本柔道、
ムエタイ(タイ国)など、
それ以上にルール無用の激しい格闘技がはやった。

要するに人間の戦いに満足できなくなってきたのだ。
人間の体じゃ、底なしの暴力には耐えられなかった。

そして、無限の暴力をマシンに求めた。
かくして、人間はリングから退場するはめになり、
それ以降、ボクシングはマシンに移った。

今や第5世代のコンピュータを駆使したロボットが乱立していた。
我がATOMは、第2世代のスパーリング用のロボットで、
長い間鉄くずのごみ溜めに埋もれていたものだ。

マックス少年はATOMを改良し訓練に励んだ。
そして、改良に改良を重ね、とうとうロボットに
音声解読器をつけ、目で見て人間のまねをするよう
シャドウ機能を改良した。
これで、ロボットへの指令は声で伝え、
またそれが破壊されてもシャドウ機能で戦えた。

というのは、父親のチャールズ・ケントンは元ボクサーで
世界ランキングで2位まで上り詰めた男だった。
彼がATOMにボクサーとしての動きをシャドウで伝え
最強のマシンにするつもりだ。

現在彼はかつての輝きを失っていた。
そして父と子の信頼も失いかけていた。
マックスに言う「お前にはもっといい未来がある、俺みたいになるな!
おまえがとてもつらい思いをしていた時、俺はそばにいなかった。
お前のママは世界最高のママだった、本当に残念だ。
死んでしまった。

おれは、今お前のために戦う、おまえにやる気があるなら、戦う準備はできている。

こうして、二人は無敵といわれていた「ゼウス」と戦うことになっていく。
マックス少年はリング上で言う、
「みんな! 小さなロボットが、王者決定戦でゼウスと戦うのを見たくないか?」
それは、無敵のゼウスに対する挑戦状だった。観客はどよめいた。

4階まである会場は、怒涛のように沸きに沸いた。
無敵の王者ゼウスか? 新星のように現れたATOMか?



*****----- 今宵のメインイベント! -----*****

リングの王者ゼウス 対 希望の星 ATOM!

誰にも敗れない、はるか時空を超えた支配者、
無敵のゼウスに頭を垂れろ! ひれ伏せ!

挑戦者は新星 ATOMU!!!!!

世界ロボットボクシングの王者決定戦、
リ ア ル ス テ ィ ー ル 開始!!!!!

これがボクシングだ!
ゼウスいきなり猛攻撃!
ATOMは、全戦全勝してきたゼウスに反撃できるのか!


金属 対 金属、 鋼鉄 対 鋼鉄、これぞ力のぶつかり合いだ!!

チャーリー、シャドウに切り替えたぞ!
チャーリー行け行け、勝てる!勝つんだ!
左ボディ、右ボディ、左!、右!、左!
右アッパー、左アッパー、かわせ、
右カウンター、チャーリー、スペシャルコンボだ!!
そうだ、逃がすな! 頭に一発!行け行け行け!!!!

賢く戦い、じっと耐える、そして祈る!
マジで祈れ、本気で祈れ!

さあー、 いよいよクライマックスだ!





監督   :ショーン・レヴィ
脚本   :ジョン・ゲイティンズ
原案   :ダン・ギルロイ
      ジェレミー・レヴェン
原作   :リチャード・マシスン
製作   :ショーン・レヴィ
      スーザン・モントフォード
      ドン・マーフィ
      ロバート・ゼメキス
製作総指揮:ダン・リン
      ジョシュ・マクラグレン
      メアリー・マクラグレン
      ジャック・ラプケ
      スティーヴン・スピルバーグ
      スティーヴ・スターキー
出演者  :ヒュー・ジャックマン
音楽   :ダニー・エルフマン
撮影   :マウロ・フィオーレ
編集   :ディーン・ジマーマン
俳優
チャーリー・ケントン: ヒュー・ジャックマン
マックス・ケントン : ダコタ・ゴヨ
ベイリー       : エヴァンジェリン・リリー
フィン        : アンソニー・マッキー
リッキー      : ケヴィン・デュランド
タク・マシド     : カール・ユーン
ファラ・レンコヴァ : オルガ・フォンダ
デブラ       : ホープ・デイヴィス
マーヴィン     : ジェームズ・レブホーン
キングピン     : ジョン・ゲイティンズ

製作国:2011年、アメリカ合衆国です。

地球を救うDVD映画「麦の穂をゆらす風」 [映画]

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<2014年度信州なかのバラ祭り>
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 麦の穂をゆらす風

 THE WIND
 THAT SHAKES THE BARLEY
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この映画を観て、昔私が高校生の時、社会科の先生が少しばかり興奮した面持ちで、
憲法第9条から始まって戦争に関する資料をひたすら読み上げている姿を思い出した。
口をぱくぱくとして読み上げていくだけで、先生自身の意見も感想も言わなければ、解説すらしなかった。強いて言えば単語の意味くらいの説明だけだった。

教壇のすぐ下の席には女の子が座っていたが、気の毒にも先生のツバキの洗礼を受けただろう。

先生の読み上げのおかげで、私は、国際紛争の問題を解決する手段として軍事暴力を使ってはいけないのだな、ということだけ頭の隅に残った。今思えば解説なしの読み上げだけで、かえって良かったのかもしれない。後は自分の頭で考えろという教育方針だったのだろう。

前置きが長くなってしまった。
「麦の穂をゆらす風」これは、アイルランドの悲劇を扱った映画だ。
アイルランド独立戦争とその後の アイルランド内戦を描いている。

山懐に抱かれた所で高校生がクリケットに興じているところから映画は始まる。
ここは自然の豊かな北アイルランド、1920年(大正9年)の話だ。

始めは殴り合いぐらいの喧嘩だったものが、次第にエスカレートして銃を使って相手を殺し合う所まで行っている。一時、休戦協定がしかれたが、今度はアイルランドの中でもこの休戦協定を受け入れるか、完全自由を勝ち取るかに分かれて、血を血で洗う争いになり、最後は兄と弟が立場の違いから、殺し合うはめになってしまった。

ここに、デミアン(弟)が恋人のシネードにあてた遺書を一部紹介して、悲惨な行為が無くなるよう祈るだけである。死刑の実行を命令したのは兄だった。

-----*****-----*****-----*****-----
愛するシネード

逃れようとしていた戦争に身を投じ、今はもう逃げるに逃げられない。僕らは何という不思議な生き物なんだろう。

今、君をいとおしく思い出している。この最後の瞬間も君の体と心をいとおしく思い出している。君は「私達の子供には自由な暮らしを」と願っていたね。僕もその日が来るのを願っている。それは想像以上に遠い未来かも知れない。

ダンが言っていた。「誰と戦うかは簡単に分かる。それは、何のために戦うのか考えれば答えは出る」僕は今その答えを得て勇気を持った。

テディをよろしく頼む。君がくれたメダルに勇気をもらった。これがあれば君もきっと勇気が涌いてくるだろう。さようならシネード。今もそして永遠に君を愛している。

                          デミアンより

-----*****-----*****-----*****-----

現在でも、世界の至る所で武力闘争が続いている。人間の歴史は戦争の歴史だと誰か言っていたが、全くその通りだなあと思う。

今私が命の危険を考えずに、蛇口をひねればきれいな水が出てくるし、肥満に注意するくらいで飢えに苦しむことすらない。周りの人たちも平和に暮らしていられる。これも先人の尊い犠牲の上に立っているのかと思えば感謝せずにいられない。


今、遠い北アイルランドを想像する。きっと、現地の人の歌のように
柔らかな風が、谷間に吹き渡り、黄金色の麦の穂を揺らしている」のだろう。



監督   :ケン・ローチ
脚本   :ポール・ラヴァーティ
製作   :レベッカ・オブライエン
製作総指揮:アンドリュー・ロウ
      ナイジェル・トーマス
      ウルリッヒ・フェルスベルク
      ポール・トライビッツ
出演者  :キリアン・マーフィー
      ポードリック・ディレーニー
      リアム・カニンガム
      オーラ・フィッツジェラルド
音楽   :ジョージ・フェントン
撮影   :バリー・アクロイド
編集   :ジョナサン・モリス
公開   :2006年
製作国  :イギリス、アイルランド、
      ドイツ、イタリア、スペイン
配役
デミアン : キリアン・マーフィー
テディ  : ポードリック・ディレーニー
ダン   :リアム・カニンガム
シネード : オーラ・フィッツジェラルド


地球を救うDVD映画「マッド」 [映画]

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 マッド

 MUD
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題名のMUDを英和辞典で調べると次のような解説が載っている。

mud
①湿った、じめじめした。
②泥、ぬかるみ
③つまらぬ(嫌われる)物、人、かす
④(米俗)阿片、安物コーヒー

こんなところだ。この映画ではヒロインの名前だ。
いいのだろうか?mudで。

主な登場人物は、次の4人。
マッド   (ヒロイン)
ジュニパー (ヒロインの恋人)
エリス   (ヒロインの友達14歳)
ネックボーン(エリスの友達14歳)。

ミシシッピー川で遊んでいたエリスとネックボーンが増水して木の上に引っかかったボートを見つける。エンジンを付けて釣りをするのに格好の船だ。

だが、そこには誰か住んでいた。それがマッド。大人と子供の年齢差はあったが3人は友達になった。この辺は、なんだかトムソーヤの冒険を地でやっているように思えた。

マッドはここで恋人を待っているという。この話にエリスはひどく感動して、以後、マッドに協力するようになる。

前半は、いや三分の二くらいまでは、こんな感じで進んでいて退屈のため居眠りしながら映画鑑賞となったが、がぜんアクティブになったのは、終わりから三分の一。

エリスが小川に落ちて毒蛇にかまれた。この辺の毒蛇は命に係わる。マッドは猛然と川からエリスを助け出し応急手当てをし、小型ボートに乗り、バイクに乗り病院へ駆けつけた。エリスを抱いた手の下でハンドルを握りバイクを運転する様は見事というほかない。運動神経抜群だ。われわれもいざというときにはこうありたいものだ。

3人の言葉や行動に見られる友情、恋人や、親たちとの愛情、これがこの映画のテーマだろう。

最後に、木の上にひっかかていたボートの修理が完成した。ボートは滑るようにミシシッピー川に生き返った。最初の運転手はマッドの父親トムだった。ミシシッピー川を北上する景色は申し分ない。穏やかな、顔に吹かれる風、見渡す限りの広々としたミシシッピーの流れ、その向こうの青空と白い雲、誰も誰も笑顔になる。


きっとアメリカ人も、かつてトム・ソーヤーが活動していたこの風景が好きなのであろう。私も好きだ。


監督:ジェフ・ニコルズ
脚本:ジェフ・ニコルズ
製作:リサ・マリア・ファルコーネ
   サラ・グリーン(英語版)
   アーロン・ライダー
製作総指揮:トム・ヘラー
      ギャレス・スミス
      グレン・バスナー
      マイケル・フリン

出演者:
マシュー・マコノヒー   : マッド
リース・ウィザースプーン : ジュニパー
タイ・シェリダン     : エリス
ジェイコブ・ロフランド  : ネックボーン
サム・シェパード     : トム・ブランケンシップ
レイ・マッキノン     : シニア
サラ・ポールソン     : メアリー・リー
マイケル・シャノン    : ガレン
ジョー・ドン・ベイカー  : - キング

音楽:デヴィッド・ウィンゴ
撮影:アダム・ストーン
編集:ジュリー・モンロー
公開
2013年アメリカで制作された映画です。


世界を救うDVD映画「僕のピアノコンチェルト」 [映画]

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 僕のピアノコンチェルト

   VITUS
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この映画はビトスという天才少年を、家族が見守り、育てていく物語で、彼の若い時代を家族がどうかかわりあったかを示している。


家族構成は、祖父、父、母 それとヒロインのビトス少年の4人です。


本当の天才は、精神も天才だということだ。
人類が天才を生んで、天才はより多くの人々を幸せにする。それは、人類が生き続けていく自然の知恵かもしれない。

映画の最後に、祖父の手紙が、彼自身が亡くなってから家族に届いた。
その内容を引用すれば、ここには監督のすべての思いがが含まれているだろう。

親愛なるヘレン、レオ、ビトスへ、


私は今までお前たちを愛しているとあまり言わなかったような気がする。
だからもう一度言おう。お前たちを愛しているよ、心から愛しているよ。


ヘレンとレオ、君たちはこの世で最高の夫婦だ。温かい夫婦の愛があったからこそビトスのような素晴らしい子供が生まれたのだ。


ビトス、お前は最高の友だ、お前と一緒にいると楽しかった。家族みんなを思うと私はいつも幸せな気分でいられた。家族のきずなは互いに思いあう心だ。

ビトス、お前はお前の星をどこまでも追い続けるのだ。
                           
                           おじいちゃんより

監督  :フレディ・M・ムーラー
脚本  :ペーター・ルイジ
      フレディ・M・ムーラー
     ルカス・B・スッター
製作  :クリスティアン・ダヴィ
     クリストフ・ネーラッハー
     フレディ・M・ムーラー
出演者 :テオ・ゲオルギュー
     ブルーノ・ガンツ
     ジュリカ・ジェンキンス
     ウルス・ユッカー
     ファブリツィオ・ボルサニ
     エレニ・ハウプト
     タマラ・スカルペリーニ
     ノルベルト・シュヴィーンテック
音楽  :マリオ・ベレッタ
撮影  :ピオ・コラッディ
編集  :ミリアム・フルーリー

配役:
ヴィトス・フォン・ホルツェン: テオ・ゲオルギュー
祖父            :ブルーノ・ガンツ
ヘレン・フォン・ホルツェン :ジュリカ・ジェンキンス
ヴィトス・フォン・ホルツェン:ファブリツィオ・ボルサニ
レオ・フォン・ホルツェン  : ウルス・ユッカー

公開: 2006年のスイスの映画です。



地球を救うDVD映画「現金に体を張れ」 [サスペンス]

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 現金に体を張れ
 
 The Killing
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大観衆の見守る中、各馬一斉にスタートした。
数万人の観客の怒号は、競馬場をまるで生き物のようにする。7番レーンにいた馬は、見る見るうちに頭角を現し先頭に躍り出た。


その時一発の銃声が聞こえ、先頭馬が崩れ落ちた。


それは、射撃の名手ニッキの仕業だ。彼は競馬売上金強奪に雇われた一人で、この瞬間を狙っていたのだった。
他には、

馬券売場の現金係  :ジョージ
競馬場のバーテンダー:マイク
競馬場警備の警官  :ランディ
元レスラー     :コーラ
軍資金を出す    :マーヴィン

以上1+5=6名の仕業だ。

彼らは、役割分担が決められていて、分単位、秒単位で行動するよう計画され、実際その通り実行した。


首尾良く200万ドル手に入れたマーヴィンは空港で現金を入れたトランクを手荷物として、機内に入れることが出来なかった。仕方なく運搬車に積んだが、子犬をよけようと運転手がハンドルを切った際、トランクが運搬車から落ちてしまった。

落ちたトランクはふたが開き現金200万ドルは風に飛ばされ空高く舞い上がった。呆然とそれを見守っているマーヴィンに警官が近づいていった。


売上金強奪は見事に、あざやかに計画通り実行できたが、最後に子犬のハプニングにより水泡に帰してしまう。

この映画の終わり方も実にあざやかだった。
競馬のスピード感、スリリング感に乗じて、ストーリーの運びもスピード感、スリリング感が重複していて効果満点だ。


この映画の監督がキューブリックとは驚いた。彼は1926年ニューヨーク生まれだから29歳の時の作品だ。しかも1953年「恐怖と欲望」が処女作として認められているので、それから2年でこれほどの作品を作っている。あの「2001年宇宙の旅」や、「シャイニング」、それから、トムクルーズの出てくる「アイズワイドシャット」などを手がけているといえば皆さんも、ご記憶があるでしょう。

監督:スタンリー・キューブリック
製作:ジェームズ・B・ハリス
原作:ライオネル・ホワイト
脚本:スタンリー・キューブリック
台詞:ジム・トンプソン
撮影:ルシアン・バラード
音楽:ジェラルド・フリード

キャスト        :(役名)
スターリング・ヘイドン :(Johnny Clay)
コリーン・グレイ    :(Fay)
ヴィンス・エドワーズ  :(Val Cannon)
ジェイ・C・フリッペン :(Marvin Unger)
マリー・ウィンザー   :(Sherry Peatty)
テッド・デ・コルシア  :(Randy Kennan)
エライシャ・クック   :(George Peatty)
ジョセフ・ソーヤー   :(Mike O Relly)
ティム・カリー     :(Nicky Alane)

製作年: 1955 年の米国映画です。


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地球を救うDVD映画「麻雀放浪記」 [映画]

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 麻雀放浪記

==元気な昭和人、鹿賀丈史の魅力==

妻がだまって、座っている健の鼻先ににコッペパンを差し出す。

健はだまって、妻を見てパンを受け取る。

マージャンで負け越した健さんが、早朝お寺の庭先で何する当てもなく腰を下ろして、さっきまでやっていたマージャンを振り返っていた。
「なぜ俺は負けたんだろう?」

麻雀の負けのカタに住んでいる家まで売り飛ばしてしまった。だから妻は手荷物を持って家を出て来たのだ。
妻と言っても内縁の妻で大竹しのぶが扮している。夫の方は鹿賀丈史、博打で(ばくち)で生計を立てている。

捜しちゃった
「俺のどこがいいんだ?」
「バカ! 家まで売り飛ばしたんだぞ! 何で捜す?」
月並みよ、あんたが私に惚れているからさ

何という、さっぱりとしたな会話でしょうか?
明日から住むところがないというのに、敗戦直後の人たちは、もう何も失うものがないから、その分、やけっぱちな元気なのでしょうか?

時代は、ギブ・ミー・チューインガム と、進駐軍が来ると子供たちは集まってきた。

「日本が負けたって、私は降参した覚えはないよ!」
加賀まりこは、進駐軍に金を取られてしまっていきり立つ。

この界隈ではバラックが建ち並び、子供たちのノミ対策に白い粉(DDT?)をかけて回る。
「テメエらにできることは、長生きだけだ。クソたれて我慢して生きているだけだ」
そんな中で、ドサ健(鹿賀丈史)の頭の中は博打だけが、ギラギラと生きていた

ドサ健は、また言う。
「あいつは俺の女だ、この世でたった一人の俺の女だ。だから俺のために生きなくちゃならねえんだ!」と言って自分の女房まで負けのカタに失ってしまった。
これは、今から70年まえの話だが、現在、これほどの歯切れのいい言葉を吐ける人はいるでしょうか?

「おやっさん、ついてるね」
「誰かが負けるから博打になるんだ。勝ったり負けたりってところだな。」
「勝ち続ける人もいるでしょう?」
「そういうやつは、金を得ても体を壊している」
「勝ち続けて、丈夫な人もいるんでしょ?」
「そういう人間は、勝っても、人間性をなくす」

博打は瞬間的に人を生かすが、後は天国か地獄だ。


青天井、という特別な掛け率の高いルールでドサ健は一世一代の大博打をやる。自分の家も女房も負けたカタに取られてしまったからだ。絶対取り戻してやる!

パイを打つ音だけが空気を裂く。
いよいよ大詰めに入った!


監督・脚本:和田誠
原作   :阿佐田哲也
脚本   :澤井信一郎
出演   :真田広之
      大竹しのぶ
      加賀まりこ
      内藤陳
      吉田良全
      篠原勝之
      高品格ほか。

1984年公開の日本映画です。



地球を救うDVD映画「張り込み」 [サスペンス]

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 張り込み
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松本清張の小説が松竹で映画化された。
事件は1958年だから今から56年前の話だ。

題名の通り刑事が事件を解決するために容疑者の「張り込み」をするわけだが、昭和32年の日本の風景がリアルに表現されている。


現在、舗装されてない道路を見るのはまれだが当時はでこぼこの道が普通だった。庶民の足は電車かバスであり、バスには女性の車掌、いわゆるバスガールがいてテキパキと仕事をするさまは見とれるほどだ。そして喫煙者は幅を利かせ、どこでもたばこは吸えるし、どこでも吸い殻はは捨てられた。また、父親が外で働いて家に帰ってくると、父親は尊敬される時代でもあった。戦争で負けてもまだ男は強かった時代があった。


警視庁捜査一課に勤務する巡査部長の下岡雄次と巡査の柚木隆雄(ゆきたかお)の二人が張り込みをする。江東区深川の三川屋質店に強盗が入り主人を拳銃で殺害した。犯人は2人組で主犯はすぐに捕まったが、もう一人は逃走した。犯人の石川久一(田村高広)は持病を持っていて、3年前の恋人、横川さだ子(高峰秀子)に接触するする可能性があるとして、2人の刑事は東京から九州の佐賀へとんだ。


今は飛行機で2時間足らずだが、当時は汽車で20時間以上かかったようだ。汽車がまたすばらしい。汽車ほど人間に勇気を与える機械はほかにあるだろうか。力ずよく走るさま、汽笛の体中をしびれさせるような音、人間の作った傑作だ。映画の中ではC57とあった。話がそれてしまった。


一日かけて目的地の横川さだ子の家のすぐ前に宿をとった。ここで一週間の予定で張り込みを行う。

「さあ、張り込みだ!」と柚木(ゆき)刑事は気合を入れる。二階の障子から24時間交代でずっと見張るのである。恋人の横川さだ子は、20歳も年上の後妻に入ったが、子供3人、夫から一日100円しかもらえない仕切られた主婦。夫は銀行員。

柚木刑事は、さだ子のあまりに生気のない、全く生き生きしたところがない女、毎日掃除、洗濯、ミシン、買い物と十年一日のように暮らしているさだ子に疑問を持った。何かある。

その何かは6日目に起こった。さだ子が家を出て昔の恋人の犯人、石井久一に会いに行ったのである。柚木刑事は見逃さなかった。どこまでもどこまでも追っていった。いつしか柚木はさだ子に同情するようになっていった。毎日見ていると情が移るのだろう。

二人は佐賀の温泉旅館で会った。さだ子は過去を清算して今度こそ石井と一緒に生きようと決心していた。石井の方は持病のためかそれほど積極的でなかった。


柚木刑事は追いつめた。仲間の応援をたのんで慎重に動いた。そして二人をあっけなく確保した。


さだ子の落胆は相当のものだった。結局さだ子は2時間の間、命を燃やして真剣になっただけだった。また、明日からケチな夫と子供たちの生活に戻っていく。明日からはあんな情熱が潜んでいようとは思われない平凡な姿でミシンを踏んでいくのだろう。


石井の方も犯人の手伝いをしただけで刑も軽い。
柚木刑事は石井にさとす。
「済んだことはしようがない、今日からやり直すのだ、やり直そうと思った時、新しい人生が始まる、きっと新しい人生が開けるよ、君も若いんだから」


黒塗りの汽車がホームに入ってきた。3人乗り込む。汽車は東京を目指して力ずよく発車していった。


この作品は、野村芳太郎監督のもとに制作された松竹映画で、昭和32年のリアルな、生きた人間の風景と、柚木刑事の「張り込み」という汽車のような刑事魂が見どころだろう。映画が終わった後、タイムスリップしたように感じた。

監督:野村芳太郎
脚本:橋本忍
製作:小倉武志(企画)
出演者:大木実
     宮口精二
音楽:黛敏郎
撮影:井上晴二
編集:浜村義康
公開:1958年

キャスト
大木実(柚木刑事)
宮口精二(下岡刑事)
高峰秀子(横川さだ子)
田村高広(石井キュウイチ)




地球を救うDVD映画「リトル・チルドレン」 [映画]

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リトル・チルドレン

 Little Children
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登場人物、みんな何らかの問題を抱えて、生活を送っている。
そしてもがいている。みんな愛すべき人間像だ。


中で、一人口ずさむように言葉を紡いでいた言葉が心に残る。

   「あなたは奇跡なのよ

    人間はみんな奇跡

    なぜかわかる?

    なぜなら

    人間は毎日やるべきことをやる。

    やるべきことをやりながら

    誰もがみんなわかっているの。

    私たちが大切にするもの

    私たちが愛する人たちは

    一瞬で消えてしまうかもしれないと

    それを知りながら

    私たちは生きていくの。

    動物にはできないことよ。」


    ----*-----*-----*-----+-----*-----


監督   :トッド・フィールド
脚本   :トッド・フィールド
      トム・ペロッタ
製作   :トッド・フィールド
      アルバード・バーガー
      ロン・イェルザ
製作総指揮:ケント・オルターマン
      トビー・エメリッヒ
      パトリック・パーマー
出演者:
サラ役   :ケイト・ウィンスレット
ブラッド役 :パトリック・ウィルソン
キャシー役 :ジェニファー・コネリー
ロニー役  :ジャッキー・アール・ヘイリー

公開:2006年のアメリカ映画です。


地球を救うDVD映画「アザース」 [サスペンス]

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<2014年度信州なかのバラ祭り>
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 アザース

THE OTHERS
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私はこの映画を見終わって、体中何かしらぐったりしたものを感じました。そして、霊というのは人間の頭の中の産物だとしておいて欲しいと願いました、事実そうなのですから。


登場人物は母親(ニコール・キッドマン)とまだおさない娘(姉)息子(弟)、それから使用人3人が主です。場所はチャネル諸島、ジャージー島、時は1945年です。


地図を広げてみればチャネル諸島はフランスとイギリスの間にある島で、どちらかと言えばフランスに近い島々であり、その中にジャージー島があります。イギリス領です。

舞台は貴族の館という、豪奢な造りですが年代を感じさせる建物の中で繰り広げられる出来事です。
母親に扮しているニコール・キッドマン、彼女の喜怒哀楽の表情を見るだけでも、この映画は見る価値があるのではと思います。


最初から、母親の叫び、その目に、表情に指先に恐怖を表しながら、また再度絶叫です。普通の人の絶叫なら何も驚きはしませんし、むしろ滑稽ですが、これがニコール・キッドマンの手にかかるとこちらにも恐怖が伝わってきて、これから起こる幕開けが興味シンシンとなります。
叫び声の原因は彼女の夢の中の恐怖でしょう。
 

さて、次の登場は使用人に雇うミルズ(年配家政婦)、タルト(老人庭師)、リディア(若い家政婦)が入ってきました。彼らは即座に雇われました。以前ここで働いたことがあるというので。


この部屋ではカーテンを開けてはならないという決まりがあります。どの部屋も常に薄暗いのです。理由は子供2人は光アレルギーで、通常の太陽の光を浴びると、皮膚が炎症を起こし、腫れあがり、命を落としてしまうからです。母親はそれはそれは最新の注意を払っています。


母親は家庭教師の役割も果たし、毎日子供たちと聖書の読み合わせを行っていました。そして神を信じ子供たちにもロザリオをもたせ、お母さんがいない時、怖い目に遭ったらこのロザリオを握ってお祈りをしなさい、そうすれば神様は助けてくださると、さとすのでした。


ある日子供たちに、4つの冥界とは何? と問いただします。

子供は、永遠の罰を受ける地獄、煉獄、正しい人の天国、それからリンボと答えます。


リンボ、これはあまり聞き慣れない単語です。キリスト教の世界で、Limboとは地獄と天国の中間にあり、キリスト降誕以前の善人や洗礼を受けなかった幼児の霊魂が住む所と定義してあります。この映画はリンボを理解することが鍵なのです。


時々物音がするので、この建物の中に誰かいる。という疑いを持ちます。そして母親は昔のアルバムを発見します。そこには、子供、青年、老人達、いろんな人が写っていますが、それはどうしたことか、みんな眠っているようなのです。家政婦に聞いてみました。以前ここに住んでいたという年配の家政婦です。


彼女は答えました。これは死者集と言って、19世紀にはよく作られたもので、愛する人が亡くなった場合、このアルバムの中に魂が生き続けるように死者の写真を撮ってアルバムに収めておくと言うのです。喪失の悲しみは人に妙な行動をとらせるものです。


若い母親は勿論、「気味が悪いから捨てて!」と言います。
年配の家政婦は「はい、奥様」と言いつけに従います。言い忘れましたが、若い家政婦は口がきけません。ですから、始めから最後までしゃべりませんでした。


また、時々変な物音がします。母親は今度猟銃を持って、二階に上がっていきます。目には見えないけど確かに誰かいる!


ある日、起きてみると家中のカーテンが全て取られていました。母親は大変怒りました。子供が死んでしまうからです。そして即刻、使用人達を家から追い出しました。使用人がカーテンを取り除いたと思ったのでしょうか?事実はよくわかりません。


実は使用人3人とも写真があり、1898年、半世紀も前に結核で亡くなっていたのです

そして実は若い母親は恐怖のため2人の子供を殺し自分も死んでいたのです。物音がしていたのはこの家に越してきた、この世の家族、現実の家族だったのです。
何というどんでん返しでしょう。
最後に子供たちはこんな事を言っています。

This house is ours...
This house is ours..
No one can make us leave this house.

母親と子供たちは、天国にも地獄にも行かずここにずっといるということでしょうか。
誰も私達を立ち去らせることは出来ないと言っています。

最後に The Others の意味ですが,
語尾にSが付くとこんな意味になってしまうのですね。知りませんでした。知らない人はどうぞ辞書を引いてみてください。きっと忘れられなくなりますよ。答えは、死後の世界、あの世です。



監督     :アレハンドロ・アメナーバル
脚本     :アレハンドロ・アメナーバル
製作     :フェルナンド・ボバイラ
        ホセ・ルイス・クエルダ
        パーク・サンミン
製作総指揮:トム・クルーズ
        リック・シュウォーツ
        ポーラ・ワグナー
        ボブ・ワインスタイン
        ハーヴェイ・ワインスタイン
出演者   :ニコール・キッドマン
        フィオヌラ・フラナガン
        クリストファー・エクルストン
音楽     :アレハンドロ・アメナーバル
撮影     :ハビエル・アギーレサロベ
編集     :ナチョ・ルイス・カピヤス
製作会社  :クルーズ/ワグナー・プロダクションズ
公開は、 2001年 スペイン、フランス、米国の合作です。


地球を救うDVD映画「ビフォア・サンセット」 [映画]

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ビフォア・サンセット

BEFORE SUNSET
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映画が始まって2時間近くも、休みなく会話が滑らかに続いていくなんて考えられるかい?


それも退屈な会話じゃないんだ。時には至極若者の前向きな思考や、今まで生きてきた先輩たちを批判しながら意見することも。


彼の名前はウオレス、アメリカ テキサスの出身、自分の書いた小説を売るためにパリで販売促進のため読者を集めて本屋さんの中で話をしている。


彼女の名前はセリーヌ。フランス人らしい名前だ。二人は過去に会っていてほとんど恋人どうし。後日、ウィーンで会おうと約束したが、彼女は祖母の葬儀のためいけなかった。彼はずっと待っていたのに。


彼は恨みを抱きながら、彼女は悪いと思いながら数年過ごした。彼は結婚し子供を設け、作家になった。彼女は国際ミドリ十字(環境保護団体)で働き、夢を実現して体を使って実際に行動していた。未婚。


それが、彼の本の宣伝活動でパリで9年ぶりに再会した。かれは、昔の恋人に出会い息がとまるほど興奮した。彼女も昔の恋人に懐かしさを覚えた。


「話は弾むよどこまでも」だ。もし、9年前にウィーンで再会できていたら結婚していただろうと思っている。運命を呪う感じだ。


お互いにこの世で感じた人生観、生活感、社会観を話す、9年間の。
例えば、
「誰も今より上に行きたいと思っている、稼ぎたい、尊敬されたい、認められたい等々、しかし、これは疲れる!」

「トラピスト修道院の人は、だれにも、何も強要しない、ただ生きて、ただ神と平和に暮らして死んでいこうとしている」


セリーヌは、やりたいことが山ほどある、あれも、これもと、だけど何もできないうちに終わってしまうのでは。適当に人生を送るなんてできない」と。


二人は遊覧船に乗る。ノートルダム寺院が美しい。「僕は君と一緒にいられるだけで幸せなんだ」

最後にセリーヌは彼のためにギターを弾きながら彼のためにワルツを歌う。
「私の心は死ぬまであなたのもの」と。

二人は結婚したかったのだ。9年前に、運命を恨んでも仕方がない。しかし二人とも大人になっていた。過去の一つの思い出として、それを懐かしむだけの術を心得ていた。


監督:リチャード・リンクレイター
脚本:リチャード・リンクレイター
   イーサン・ホーク
   ジュリー・デルピー
製作:リチャード・リンクレイター
   アン・ウォーカー=マクベイ
製作総指揮:ジョン・スロス
出演者:イーサン・ホーク
    ジュリー・デルピー
主題歌:ニーナ・シモン
   「Just In Time」
撮影:リー・ダニエル
編集:サンドラ・エイデアー
製作会社:キャッスル・ロック・
     エンターテインメント
配給: ワーナー・ブラザーズ
2004年制作のアメリカ映画です。


地球を救うDVD映画「薔薇の名前」 [映画]

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   薔薇の名前

 THE NAME OF THE ROSE
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「罪深き人生もようやく終わりに近づき白髪になった。」と、西暦1327年北イタリア修道院での出来事を話し始める。


話し手は老人だが、映画の中では当時15歳の少年である。

彼は修道院の中の一輪のバラの存在に気がついた。「この世でたった一人の恋人、その人の名前はもはや永遠に知ることはないだろう。」と、映画終了の最後の言葉は、彼女がバラだと理解される。人生の花は恋だったと言うのだろうか?


また、2000年間のキリスト教史の中で考え方の波乱があったことを知ることができる。

例えば、「笑いは罪」という考え方。
笑いによって世界が軽視される。そしてそれが増長され神を笑うことが許されてしまえば、人類は秩序のない混沌とした精神世界に住むことになる。


悪魔を恐れなければ神は必要なくなる。悪魔は人間の持っている邪心と読めばわかりやすい。


「知識とともに憂いも増える。地上に安らぎの場所はない。魂をしゃぶる恐竜がやってくる。」
人間は崇高な精神を持って邪心を追い払えといっているのだろうか?


「信仰と狂気は紙一重」
信仰が過ぎれば、それは近寄りがたい狂気になるということでしょうか?


「禁欲の生活には、平穏と安泰がある」
この言葉はショーン・コネリーが言うのであるが007と対比すれば面白い。


「女は死よりも苦い。神が女を創られたのなら女には何らかの美徳があるはずだ」
これはよく分かる。


「知識の歴史には進歩がない。歴史は絶え間なく続く、歴史は崇高な反復作業にすぎない」


「笑いが恐れを殺せば、もはや信仰は成立しなくなる。民衆が悪魔を恐れなければ神は必要ない。神を笑うことが許されれば世界はカオスに戻る。」


等々、刺激的な言葉が多いが、普段キリスト教など考えていなかったので、物事の本質を考える場合、切り込みが違うのでおもしろい。


キリスト教にはよく出てくる神と悪魔であるが、ほんの少し理解に近づいたように感じた。

いろいろ勝手なことを書いてしまいましたが後で恥ずかしく思うときがあるかもしれません。また少し時間をおいて見ようかと思っています。



監督:ジャン=ジャック・アノー
脚本:アンドリュー・バーキン
   ジェラール・ブラッシュ
   ハワード・フランクリン
  アラン・ゴダール
製作:ベルント・アイヒンガー
出演:ショーン・コネリー
   クリスチャン・スレーター
音楽:ジェームズ・ホーナー
撮影:トニーノ・デリ・コリ
配給:ヘラルド・エース
公開:1986年米国映画です。


地球を救うDVD映画「父、帰る」 [サスペンス]

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 父、帰る

 THE RETURN
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題名は「父、帰る」と、いかにも平凡ですが、内容は平凡ではありません。例えば、父親が寝ている姿などイエス・キリストに構図がよく似ています。これは何かの比喩なのでしょうか? また、作者が意図的にはっきりさせない内容も含まれています。

この映画は2003年ロシアで制作されました。新人の人が作ったらしく、映画の中にはナイフのような鋭さを感じます。今まで見た映画とは少々違った雰囲気を感じました。


最初の映像は子供たちが海辺にある高いヤグラから、海に飛び込むという、子供同士の度胸試しをやっていました。ヤグラの高さは10mくらいあったでしょうか。その数人の男の子の中にアンドレ(兄)とイワン(弟)がいました。実はこれが伏線です。


一番小さいイワンは恐怖のため飛び込めず震えていました。仲間達は先に飛び込んでしまい、早く飛び込めイワン、グズ、マヌケ等々罵声を浴びせられていました。
夕方遅くなったので母親が迎えにやってきます。イワンは結局飛び込めず、怖くて死ぬほどの思いだったと母親に泣きつきます。


12年間家を空けていた父親が帰ってきます。家には妻、祖母、子供たちアンドレ(兄)、イワン(弟)がいます。子供たちは赤ん坊の時か3歳くらいだったので、ほとんど記憶がありません。それでも写真を見たり母親から聞いたりして父親の存在を理解しようとします。

父親と子供2人とで2~3日旅行することになりました。
子供たちは魚釣りが好きだったので釣り竿やカメラなどもってうきうきでした。

行き先も教えてもらえず、車に乗り、海岸からボートに乗りある島に行きました。そこでテントを張り、魚釣りをやって遊びました。父親はその島である場所で穴を掘り何か埋めておいたものを掘り出しました。それは重い箱でした。中身は分かりません。

父親は子供たちと一緒に行動して父親らしくいろいろ教えました。それは、これから子供たちが生きていくために必要な事でした。約束とはどういうものか。意思決定はどういうものか。トラブルにであった際の対処はどうするか等々です。しかしそれは威圧的でした。それゆえ、ボタンの掛け違いという誤解が生じていきました。それもだんだん積み重なっていきました。

そして子供に手を上げたとき、子供たちは一気に爆発してしまいました。

「そんなにいやなら、殺せ!」
「兄貴に触ったら、殺すぞ!」
「こっちへ来るな!近寄るな!」
「お前なんか他人だ!」

と、イワンは叫びながら、その島にあった物見ヤグラに走って行きます。そして一心にヤグラに昇っていきます。父親は誤解を解きたくて追っていきます。


イワンが逃げる頃から、異様な音楽が流れてきます、そしてヤグラに昇るときも流れて、まるで地獄への道にはこのような音が流れているかのようです。このへんの効果は抜群ですね。さすがと言う外ない。


映画の出だしで、海に飛び降りる怖さから、自ら恥じていたイワンは、追いかけてくる父親に叫びます。


「僕にだってやれる!」
「なんだってやれるんだ!」
「こっちへくるな!」
「来ればここから飛び降りるぞ!」

そのヤグラは20m位の高さでしょうか。
イワンはてっぺんに上がって、下からのフタを閉めてしまいました。父親は、頼むから開けてくれと言いましたがイワンは開けません。

父親は、ヤグラの横からはい上がろうとしました。
そして、イワンは父親の顔を見た瞬間、とんでもないことが起きました。


あっという間に、父親は地上に、まっさかさまに、落ちてしまいました。手をかけた板が、腐っていたのでした。父親は死んでしまいました。

思いがけないことに子供たちは呆然としました。

父親は子供たちをとても愛していましたが、理解されず、誤解されたまま死んでしまったのです。子供たちも考えの行き違えはあったとしても憎んではいなかったはずです。

そもそも、なぜ父親は12年も家に帰らなかったのでしょうか? また島で掘り起こしたものは何だったのでしょうか? 父親も、船も海に沈んでしまいました。


この作者も何も明らかにしないまま終わってしまうので見ている方としては気になります。ここも自由に想像してくれということでしょうか?


私はこう思います。
この父親は、金塊の様なものを手に入れそれが為めに、12年の懲役になった。監獄から出てきた父親は隠した宝を島に取りに行って掘り起こした。

みなさんどうでしょうか?この考えは?



監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
脚本:ウラジーミル・モイセエンコ
   アレクサンドル・ノヴォトツキー
配役:
イワンに扮した  :イワン・ドブロヌラヴォフ
アンドレイに扮した:ウラジーミル・ガーリン
父に扮した    :コンスタンチン・ラヴロネンコ
母に扮した    :ナタリヤ・ヴドヴィナ


地球を救うDVD映画「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かも知れない」 [映画]

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 ブラック会社に勤めてるんだが、
 もう俺は限界かもしれない
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映画の出だしは、交差点の真ん中で我らのマ男ちゃんが倒れるのです。普通に倒れるのではなく、とうとう力尽きてもうダメだと、前に向かって倒れるのです。これは一度見たら忘れられない芸術的な倒れ方です。題名にぴったりの倒れ方です。俳優の小池徹平さんは、きっとこの場面を何回も何回も練習したのでしょう。


さて、この会社はいわゆるソフト作成会社で、企業から注文のあったコンピュータにのせるソフトを仕様書に基づいてプログラムを作成する会社です。オフィスオートメーションが叫ばれてから、成長してきた典型的なブラックになりやすい会社です。

何がブラックかと言えば、就業時間はあってないようなもの、仕事が計画通りに行かなければ徹夜はあたりまえ、社員の扱いも人格を無視した言動、仕事を注文する会社も仕様変更などを勝手に気ままに行い、「いやならいいんだよ、他へ回すから」と弱みにつけ込む。


そうすると社員は人間の限界を超えるようなバイタリティで突進して仕事をこなす。そこには涙ぐましい努力の陰がある。また、がけっぷちで、一緒に働いた仲間意識も育っていく。


しかし、このような企業があったからこそ、日本は発展し、仕事の環境も改善されてきたのだろうと思う。
この映画が作られたのは2009年の話であるが、現在はどうなんだろう?


監督:佐藤祐市
脚本:いずみ吉紘
原作:黒井勇人
製作総指揮:豊島雅郎

音楽:菅野祐悟
主題歌:TOKYO MOOD PUNKS『ストロベリー』
撮影:川村明弘
編集:田口拓也
製作会社:ブラック会社限界対策委員会
配給:アスミック・エース エンタテインメント
公開:2009年11月21日
キャスト[編集]
マ男(大根田真男):小池徹平
中西さん(中西亜矢子):マイコ
リーダー(阿部道大):品川祐
藤田さん(藤田巧己):田辺誠一
上原さん(上原学):中村靖日
木村(木村翔太):田中圭
井出(井出哲也):池田鉄洋
瀬古さん(瀬古さだ子):千葉雅子 - 映画版オリジナル人物
柴田:須賀貴匡
とーちゃん(大根田真次):北見敏之
かーちゃん(大根田佳子):朝加真由美
社長(黒井策士):森本レオ

地球を救うDVD映画「見知らぬ乗客」 [サスペンス]

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 見知らぬ乗客

Strangers On A train
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この映画の中で、スワップ「交換する」という言葉がよく出てくる。
これがキーワードだ。スワップマーダー、すなわち交換殺人だ。


「世の中には殺したい人間が一人くらいはいるものだ。動機があるから捕まる、見知らぬ二人が偶然に会って、互いに相手の殺人を請け負って赤の他人を殺す。」と、遊び人のブルーノが列車の中で話し出す。


この映画が作られたのは今から63年も前だ。今でこそ交換殺人と言う単語は誰もが知っているが、63年前に交換殺人の方法を考えた原作者のパトリシア・ハイスミスはすごい。その後この種の殺人をテーマに作られたサスペンスはどれだけ作られただろうか?


この交換殺人を遊び人のブルーノはテニスプレイヤーのガイに冗談半分に話す。
ブルーノは、うとましかった父親を、ガイは離婚相手ミリアムを請け負う、という構図が出来上がる。


偶然列車の中で会った二人であるが、交換殺人の話はガイは全くの冗談で捕らえ、
ブルーノは本気で考えていた。二人の別れ際に、ブルーノはガイに同意を求める。


ブルーノ(遊び人)=「僕の考え気に入ってくれたかな?」
ガイ(テニス選手)=「もちろん、完璧なアイデアだ」


ガイのこの軽い受け答えが後でとんでもないことに発展してしまう。
ガイは冗談で話を合わせただけなのに、ブルーノは早速その話を実行してしまったのだ。


ある日、ミリアムが友達と夕方、遊園地へ遊びに行った時、後をつけ、すきを見て絞殺した。それをガイに報告に行くが、ガイはあまりに突飛なことであったため怒って追い返した。ガイは事の重大さに気が付いた。


ガイは上院議員の娘アンと親しく交際していたので、話がこじれてくるのを恐れた。しかしアンとの関係は互いに相思相愛の間柄で、アンも危険が及ぶことを心配していた。


夜9時30分のアリバイが実証されない限り警察はガイにまとわりつく。


また、ブルーノも交換殺人の約束を守らないガイを責めてきた。ブルーノはガイに拳銃と父の家の鍵を送ってきた。早くこれで父親を始末しろというのである。


ある夜、ガイはブルーノの父親に事の顛末を打ち明けようと出かけた。彼の家に着いて、鍵を使って父親の部屋までたどり着いた。実際そこにいたのはブルーノだった。ガイの真意を確かめたかったからだ。ガイが父親を殺す意思がないことを認めると、ブルーノは反撃に出た。「後悔するぞ!!」と、ガイをおどす。


ブルーノはガイのライターを殺害現場に落としておくことによって、ミリアム殺害の犯人をガイになすりつけようとした。


ブルーノはメトカフの遊園地に到着したが、誤ってライターを側溝に落としてしまう。大事な決め手となる証拠品だ。彼は焦って手を側溝に入れるが、届かない、また焦る。


ガイの方は丁度テニスの試合をしており、互いに接戦だった、しかし3セットで試合を勝利して、遊園地に行って自分のライターを取り戻さなければならない。でないと、犯人にされてしまう。


ヒッチコックの一流の手法がここに見られる。ライターを拾えないブルーノ、早く勝たないと時間が無いガイ、この2つのせめぎ合いを見せることによって、緊迫感を一層高めている。


ガイはすべてを恋人のアンに告白した。アンはガイを信じて事の決着を待つ。


遊園地にガイ、ブルーノ、刑事がそろう。ガイとブルーノは回転木馬のメリーゴーランド上で、とっくみあいの喧嘩になる。刑事は拳銃を抜き発砲した。それが、回転木馬の操作人に当たってしまった。


その時、操作棒が放置されてしまったせいか、回転木馬は異常な早さで回転し始めた。乗客、子供は叫び声をあげ、一瞬のうちに阿鼻叫喚の地獄に変わった。


ある勇敢な老人が回転木馬の下をくぐって操作棒にたどり着きそれを直そうとしたが、事もあろうか、回転木馬が、怒濤の勢いで回転し、ぶっ壊れてしまう。


回転は止まり、ガイは助かったが、ブルーノは木馬の下敷きになってしまった。みんなはブルーノに近寄った。ブルーノは最後までガイを犯人に仕立てようとした。が、ライターがブルーノの手から落ちるのを見て刑事は犯人はブルーノだと認めた。これで一件は落着する。


ガイはアンに電話をする、心配していたアンを安心させるためだ。このときのアンの笑顔はすばらしい。この映画の締めくくりに最高のポイントである。


このDVDは、字幕を英語にしてみると、意外にそれほど難しくない英単語で構成されている。最後の所などは、

Yes,operator,yes,
Of course, I'll be there!
Guy will be back tomorrow!
He wants me to bring him some clothes,

などと、中学生でも分かる英語だ。でもしゃべっている英語を聞いてもよくわからない。こういうもので勉強すれば英語ができるようになるでしょうか?


ガイ・ヘインズ   :ファーリー・グレンジャー
ブルーノ・アントニー: ロバート・ウォーカー
アン・モートン   : ルース・ローマン
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:レイモンド・チャンドラー
   チェンツイ・オルモンド
原作:パトリシア・ハイスミス

これは1951年の米国制作です。

地球を救うDVD映画「雨の午後の降霊祭」 [サスペンス]

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   雨の午後の降霊祭

 SEANCE ON A WET AFTERNOON
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まず降霊祭というものを理解しなければならない。

言葉の意味は、異界の霊が人間の世界に降りてくるとされる現象。また、霊媒師などが霊を呼び寄せること。
或いは、死者の霊魂を呼び寄せること。
というのが普通の解釈である。

霊の世界が通常的に信じられた時代も過去にあったが、
現在では信じる人は希薄である。


さて、話はイギリスのことである。
子供を切望していた母親が、不幸にも死産となってしまった。
母親は気が狂わんばかりの悲しみに沈んだ。


そのうちに彼女の心の中は子供は死んでしまったのだけど生きているという構図がつくられた。

子供の名前はアーサー、降霊祭で母親は彼に会うことが出来、彼の意思も理解できるとしていた。

夫は悲しむ妻を見てあからさまにそれを否定することは出来なかった。


妻の心の中は、どんどん増長して霊媒師なるものになり、近隣の悩める人々を救うために週一回、自宅で降霊祭を開くまでになった。


ろうそくの炎が垂直に昇る静かな部屋で4,5人がテーブルに座り互いの手をつないで輪を作り、邪心をすべて捨て心の中を開くのである。時にはそこに彼女が心を通わせた対象が現れるのである。


彼女自身、霊媒師としての自分を信じていたし、また霊媒師としてみんなから尊敬されたいとも思っていた。


あるとき、彼女は一計を企てた。夫に子供を誘拐させ、身代金を取り、数日家にかくまい、後に解放する、それによって霊媒師として、子供の様子をみんなに話し尊敬を集めるというもので、子供も身代金もあとで返すという事だった。


妻は綿密に計画を立てた。何度も練習し修正し最終的には完璧な華麗な誘拐だと自負していた。夫は戸惑いながらも妻の言うとおりに動いた。

夫は、計画通り巧みに誘拐を実行し、子供や警察、身代金相手と渡り合うが、心中恐ろしさの連続だった。
BGMの木琴の音は夫の心臓の鼓動だ。


妻は夫に話す。
「私の霊媒師としての能力は世間から軽視されてはならない。」
「私を愛している?」
「私の所しかあなた帰るところがないでしょう?」
「アーサーの存在は私だけが感じることが出来るの」
「私を愛している? あなた私が必要なんでしょう?」
「あなたが帰る場所は私の所しか無いの。」
「私に約束したよね、覚えている?」


夫は肯定するが「事態が手遅れになる前に妻を召したまえ」と神に祈る。
妻の言動は常軌を逸していると感じていた。


誘拐は成功した。身代金も奪った。
とうとう罪を犯してしまった。


降霊祭の日、誘拐された少女の母親が出席した。
妻は喜々として「彼女を救えるのは私だけよ。私の実力を証明するときが来たのよ」という。

夫は、私達は異常だ。いや異常どころではない。


アーサーの存在は実は少女が霊媒師とアーサーの間に入ることによって存在していた。
(霊媒師⇔少女⇔アーサー)
要するに、少女はアーサーと霊媒師の媒介だった。
あくまでも妻は死んだアーサーと常に一緒にいたかったのだ。だから、媒介としての少女を殺さねばならなかった。


続けて妻は夫に、
「ビリー、今すぐあの少女をさらってきて!
少女を殺すのよ、アーサーが待っているから。
ビリー彼女を殺して!
アーサーが心待ちにしているのよ! 早く!」

夫は大声で言う。
アーサーは死んだんだ!
この世にはいない! これは言わねばならん
私の話を聞け!
アーサーは死んだんだ!


最後に夫はとうとう自分の手に負えなくなった、
それで警察に妻を助けてもらいたかったのだ。


結果的には、警察の警視なる者が登場し、犯人はこの霊媒師だと予想を付け、巧みに霊媒師の心の中に入って行ったのである。
今すぐ、降霊祭を開いてくれと言う。


霊媒師は、降霊祭を開いた。
彼女は涙を流して心の高揚を見せ、真相を語った。
意識が戻ってから夫に聞くのである。

「私どうだった、ちゃんと行えた?」
「ああ、ちゃんとうまく出来たよ!」


夫は一見弱いように見えるが、実は一番強かった、ずっといつもいつも妻のそばにいて見守って愛していたんだとわかる。
振り返ってみればこれもラブストーリーだ。


監督  :ブライアン・フォーブス
共同製作:リチャード・アッテンボロー
原作  :マーク・マクシェーン
脚本  :ブライアン・フォーブス
撮影  :ジェリー・ターピン
音楽  :ジョン・バリー

出演:
霊媒師である妻マイラに扮する:キム・スタンレー
夫ビリーに扮する :リチャード・アッテンボロー

1974年初公開のイギリス映画です。



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地球を救うDVD映画「きみに読む物語」 [映画]

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<2014年度信州なかのバラ祭り>
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 きみに読む物語

 THE NOTEBOOK
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たまには、米国の詩人、ホイットマンに連れられて散歩するのもいいと思います。

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愛するアリ、

僕たちは本当に終わってしまったんだね

でも、あの愛は本物だったって心から言える

もし将来どこかで大人の女性になった君に会えたら

僕は笑いかけるよ。

そして、緑の中で多くを学び、

愛をはぐくんだ夏を思い出すだろう

最高の愛は魂を目覚めさせ人を成長させる

心に火を付け精神に安らぎを与える

君がそれをくれた

僕も君にあげたかった

愛してる、また会おう

           ノアより


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1940年のアメリカ南部シーブルックで、青年ノアと少女アリーのひと夏の恋から始まった。そしてそれは2人の人生を変えてしまった。

彼女は晩年話します。
人生はあっという間ね、飛ぶように過ぎる。
もう彼が誰だか思い出せない。

監督        :ニック・カサヴェテス
ノア・カルフーン役 : ライアン・ゴズリング
アリー・ハミルトン役: レイチェル・マクアダムス

2004年制作の米国映画です。


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地球を救うDVD映画「息子の部屋」 [映画]

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 息子の部屋

 THE SON'S ROOM
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これはイタリアのモレッティ監督のもとに作られた、平和な家族の生活の中で、息子が事故で死んでしまうことから、家族全員が嘆き悲しみ、その心のどん底から、生きることに一条の光を見いだしたことを表現した作品です。

「この世の中で一番辛いのは人との別れだ」と、私は何十年も前にテレビのドラマでやっていた台詞を思い出しました。

その時は、そんなことあるかいな?と、99%理解できませんでしたが、年齢を重ねるうちに、それは本当のことだと理解できるようになりました。

軽い知り合いとの別れから、友人、親友、恋人、親戚、兄弟、父、母、子供、妻とあり、生き別れ、死に別れ、また不慮の事故、病気、寿命などに分かれます。

いずれにしても、自分が関わった心の量で悲しみの度合いも変わってきます。

特に、心にかけていた人の死による決別ほど、悲しく、苦しいこはなので、そのことを前もって考えておくことは、あながち不謹慎でもないし、無駄でもないだろうと思います。


前置きが長くなりました。この、「息子の部屋」ですが、家族4人、冗談を言いながら親しく食卓を囲う、理想的な家族です。そこへ突然起こった息子の死、耐えられないことです。母親だったら、息子とともに嘆き死んでしまうかと思われるほどの辛さです。人生の無常を思い俗世間を捨て出家(しゅっけ)するかも知れません。

ある日、息子のアンドレア宛てに一通の手紙が来ます。アンドレアに思いを寄せていたガールフレンドからです。
母親のパオラや観ている私達は、愛する息子に思いを寄せていたガールフレンドに好意を持ちます。生きていたときアンドレが愛した女性、ああ、そのようにアンドレも生きていたんだと涙ぐむかも知れません。男友達が下で待っているということを聞くまでは。

この辺の感覚は国際的、人類愛的になれないと感じるのは私だけでしょうか。

また、ガールフレンドから、以前もらった写真だと言ってアンドレアの部屋、アンドレアの懐かしい笑顔、親もまだ知らなかったアンドレアの一面を見せられます。可愛い息子が確かに「青春を生きていた」ことを知ります。

2人(アリアンナとステファノ)は、ヒッチハイクでフランスへ行く予定でしたが、母親パラオから電話があり気になって寄ってみたと言うのです。父親のジョバンニは、家族共々、フランスの国境付近まで数百キロを車で送って行くことになります。この辺の感覚は、かつて息子が愛した女性だったからでしょうか?

明け方、フランス国境まで到着し、みんなは朝の爽やかな風と、広々とした海を見ながら、アンドレアの死から、家族がそれぞれ、安らいだ気持ちになりました。この辺がこの映画の見せ場だと思いますが、きっと強行夜中ドライブからの解放も手伝っているのかと思いました。


父親のジョバンニ:ナンニ・モレッティ
母親のパオラ  : ラウラ・モランテ
娘イレーネ   : ジャスミン・トリンカ
息子のアンドレア: ジュゼッペ・サンフェリーチェ

2001年のイタリア映画です。

地球を救うDVD映画「ミッドナイト・トレイン」 [サスペンス]

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  ミッドナイト・トレイン
  
    NIGHT TRAIN
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「これは人生最悪の出来事だ!!」

「箱の中を見た者は夜明け前に死ぬだろう」

現実に、その言葉通りになった。

日は昇って朝になった。

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吹雪の真夜中、列車は爆走する。

事の起こりは、連結故障のため一時停止した列車に、お客が乗り込んできたところから始まる。

その客は大事そうに小箱を脇に抱えていた。

事件の起こる列車の中には、
1)酒に酔ったセールスマン、
2)女子医学生 
3)囲碁をしている日本人年配
4)囲碁をしている日本人若手
5)犬を連れた老婆
6)小箱を抱えた男
7)その友人と称する男、
8)年配の車掌
9)若い車掌
10)刑事
あと、機関士(運転手)がいるが、事件には関係ない。

この10人で事件が展開する。全員がこの箱を狙っているのだ!!


小脇に箱を抱え込んで乗車した男は、薬をウオッカで飲み、
みんなが気がついた時は死んでいた。なぜ死んだのか不明だ。

しかしその小箱の中には500万ドルと言われるダイヤ(?)が入っていた。
500万ドルに目がくらんだ残りの9人は、爆走する列車の中で次々と事件を引き起こす。

手始めに、セールスマン、医学生、車掌がグルとなり、小箱を抱えたまま死んだ男の後始末だ。
もうすぐ、列車は鉄橋にさしかかるが、死体をトランクに詰めて列車から川に捨てようとする。
死体はトランクに収まりきれない。さてどうするか?

清楚な女子医学生が豹変して事に当たる。
この映画の中で一番の見所は、豹変した女子医学生、リーリー・ソビエスキーだろう。
(彼女はニューヨーク生まれであるが、両親はポーランド出身のようだ)

次に、先に死んだ男の友人と称する男の登場。彼は箱の鍵(=指輪)を持っていて、
中身を知っているらしく、「箱の中を見た者は翌朝までに死ぬ」と謎めいたことを言う。

次に刑事、彼も刑事だと言っているが、怪しい、何でもやりそう。

囲碁をしている日本人2人。彼らも箱を追っていたようだ。

犬を連れた老婆、これは女装していた男、彼も以前から箱を追っていた。

みんなみんな犯人なのか?
箱の中身はいったい何なのか?
(真相を自分で想像して組み立てるのも面白い。すべて矛盾がないように話をつなげる。)

列車は事件におかまいなく(あたりまえだ)吹雪の真夜中を、ただただ爆走する。



女子医学生に扮する   :リーリー・ソビエスキー
セールスマンに扮するする:スティーヴ・ザーン、
車掌に扮する      :ダニー・グローヴァー
監督          :ブライアン・キング
2009年の制作。


地球を救うDVD映画「白いリボン」 [映画]

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  白いリボン
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「黄色いリボン」ではない。
親の目から見て、いわゆるよい子からはずれた子供たちを戒めるための一種の精神的体罰だ。「白いリボン」を親から付けられた子供は、心が直るまで、要するに親の目から見てよい子になるまでそれを外すことはできない。

この映画は数々の賞を取っていて、監督のミヒャエル・ハネケらしく明るい部分というものは少しもない。「サウンドオブミュージック」とは正反対の映画だ。時代は前者は第一次世界大戦前と、後者は第二次世界大戦中、場所は、オーストリアというから、ほぼ同じ場所だ。

「白いリボン」はとにかく暗い。その暗さは中世的なものからくるのだろうか。
神を中心に、農耕とともに生きて働き、生活を過ごしていく。お祈り、糧、教育、そこへ暴力、復讐、性が入り込む。

人間の持つ様々な暗い性状(嫉妬、恨み、怒り、思い上がり、貪欲、猜疑心、邪淫等々)を掘り下げて、強調しても、人間の生きる希望は見いだせるだろうか?生きるに足る地球だと理解できるだろうか?答えはノーだと思う。

私は「サウンドオブミュージック」に軍配を上げる。まだこちらの方がいいという考えだ。

白いリボン:2009年制作。
監督:ミヒャエル・ハネケ。
第62回カンヌ国際映画祭パルム・ドール、
第67回ゴールデングローブ賞外国語映画賞
他、多数の映画賞を受賞。



地球を救うDVD映画「小川の辺」 [映画]

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  小川の辺
 おがわのほとり
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藤沢周平原作「小川の辺」の映画を観る。このような映画は安心してみていられるのと同時に、これで良かったんだと自分で納得するものがあるから不思議だ。

戌井朔之助(いぬいさくのすけ)が、もっと他のやり方があったのでは、と述懐しているように、上意討ちになってしまった佐久間は正しいことであればどこまでも貫き通すというのは思慮が足りないところがある。

事は2年越しの凶作のため、農民も困り果て、それを指導している城中のの農政も混乱していた。そこへ、佐久間という一家来が藩の農政に関する意見書を書き、お上と執政官、鹿沢尭伯を手厳しく批判した。

お上は自らの方策の誤りを認め改革に乗り出した。しかし、無礼千万とお上の怒りは収まらなかった。佐久間は、上意討ちとなって追われる身になった。

討ち手に選ばれたのは戌井朔之助(東山紀之)である。そして、佐久間の妻(田鶴)が、朔之助の妹であるため話がややっこしい。最悪兄と妹が斬り合いをしなければならない修羅場がまっている。

また、定番の山、雲、風、夕日、小川の音、風の音と日本の自然の美しさを見せる。

また、日本の美意識の中には雨が欠くべからざるものだが、雨に濡れた木々や自然の風景は、ことのほか美しい。

普段に飲むお茶やその入れ方、立ち振る舞い、これらも日本の美意識に入れても良いのだろう。

上意討ちで2人が剣を合わせる。太鼓の音が小気味よい。まるで2人の鼓動を表現しているようだ。

結果的には上意討ちが成功し戌井朔之助は故郷へ帰る。この事情を知っていたかのように自宅の庭の花もきれいに咲き始めた。

まことに、藤沢周平作品はお茶の間でお茶を飲みながら自然の美しさや、我々の日常の襟を正すような武家の立ち振る舞い、加えて手に汗は握らないが、どきどきする剣と剣の責め合い、休みの夕飯後を過ごすには格好の家庭映画でした。


戌井朔之助 :東山紀之
佐久間森衛 :片岡愛之助
田鶴    :菊地凛子
新蔵    :勝地涼
幾久    :尾野真千子
戌井忠左衛門:藤竜也
以瀬    :松原智恵子
助川権之丞 :笹野高史
鹿沢尭白  :西岡徳馬

監督:篠原哲雄
脚本:長谷川康夫、
飯田健三郎
原作:藤沢周平
2011年公開された映画です。

地球を救うDVD映画「RAILWAYS] [映画]

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 RAIL WAYS
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最高の夢の場所。
努力すればかなう夢もある。

母親は、子供がうれしそうにしているのが一番。

大手のメーカーを49歳で退職して、地方の電鉄の運転士になった男の物語だ。

安全を維持管理する厳しさの反面、田舎のゆっくりとした時間の中で都会では味わえない、ほのぼのとしたものをを享受できる生活。

また、家族、地域の人たちの心の通った会話、四季折々の自然の風景、トラブルに対してもみんなでよりよい方向に進もうと努力する、そういう生活の中に時間通り電車は走っていく。

日本の原風景だ。

監督:錦織良成
脚本:錦織良成
   ブラジリィー・アン・山田
   小林弘利
製作:加太孝明、百武弘二
   野田助嗣、平城隆司他
製作総指揮:阿部秀司
出演者:中井貴一
    高島礼子
    本仮屋ユイカ
    三浦貴大
    奈良岡朋子
2010年 松竹制作

地球を救うDVD映画「不安」 [サスペンス]

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<2014年度信州なかのバラ祭り>
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 不安
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イングリッド・バーグマンはどんな女優か知らない人はいるでしょうか?

また、この作品で、余す所無く人間の恐怖心、猜疑心、迫害、安心感をコンパクトにまとめた映画の監督、脚本家に脱帽です。

現在の映画作成では、フンダンに文明の機器とお金を使えるけれど、この時代にこれほど充実した作品が作れるのはどうしてでしょうか?


作品は、夫の捕虜生活、療養生活によって寂しさを感じた妻が、不貞な行為に走るという出だしだ。

彼女は製薬会社を経営していて、夫はそこで研究室に入り新薬の開発に精力を費やしている。
この新薬が伏線を張る。

彼女はしばしば、子供2人を育てている乳母の田舎へ夫と共に赴きゆったりと過ごす。

そして、スウェーデンの故郷を思い出す。遠く広がる森、泳いだ湖。無邪気に遊んだ昔は帰らないが、思い出は、生き生きと甦る。そして強いてその楽しみに浸った。それには理由がある。まるで毒がじわじわと体中に回るように、それは自分が破局に向かっている予感があったからだ。

ある日、兄妹がおもちゃの取り合いで喧嘩をする。父親である夫は、原因であった妹を叱る。

「誰でも一時的な感情に流されて過ちを犯す。だけれど過ちを認める勇気も必要だ。」と、まるで妻の浮気を知っていて、それをさとすかのように。

続けて言う、「悪いことをしたのに強情を張るのが一番いけない」と。

子供は自分の過ちを認めた。しかし夫は、
「逃げられないと分かって、初めて白状した、ああいう悪辣な強情さは許せない」と、兄と妹に部屋で謹慎を命じる。

妻は「愛する人の前で自分の罪を告白するのは辛いものだ、もしメードの前だったら、言いやすかったのに。」と、まるで自分の不貞行為の言い訳をするように言う。

数日後、あることが起きる。これは最終場面に向かう、起爆剤のようなものだ。ここは詳しく書かない方がいいだろう。

それがあって、すぐ妻は、
「私は恐ろしい事実を知って絶望のどん底に沈んだ。私は自分の犯した恥ずべき罪の重みに、またその上に夫の卑劣な行為(?)が重なった。私はいつの間にか自分の会社の前に来ていた」

会社で夫が開発していた新薬は、毒を毒で制すという危険な神経系統を麻痺させ、苦しまず、死に至らせるというものだった。

妻は死を覚悟した。夜中、会社から子供たちのいる乳母のところへ電話をかける。
「こちら202349ですが、ピンターヲールの307番へ繋いでください」と交換台に言う。

電話を頼んで、かかってくる前に妻は夫に手紙を書く。

「あなたの意地悪を許すわ、出来たら私のことも許して」

つながった乳母からの電話に「朝、子供たちが起きたら私の代わりにキスをしてやって、ママはいつもあなたたちを愛しているということを伝えて欲しい」と告げて電話を切る。

その後、開発している新薬の実験室に足を進める。
観ている者はどこまでもバーグマンの味方だ。


監督:ロベルト・ロッセリーニ
脚本:セルジオ・アミディフランツ・トロイベルク
原作:ステファン・ツバイク
製作:ヨッヘン・ゲンゾー
主演:イングリッド・バーグマン
   マチアス・ヴィーマン
製作年:1954年
製作国:イタリア・西ドイツ合作


地球を救うDVD映画「コン・ティキ」 [映画]

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 コン・ティキ

  KON-TIKI
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この地球に生まれて、生きて、心の底から、本当に心の底から笑える喜びというものは、どのようにして発生するのか、これは一つの結果である。


トール・ヘイエルダールは当時定説であった、ポリネシア人のアジア渡来説を否定し、南アメリカの人々が1500年前、ポリネシアへ渡ったのだということを証明しようとしていた。

彼は、ポリネシアの祖先であるティキを信じ、バルサ材で組んだ筏と海流と風だけをたよりに1947年、ペルーから8000km離れたポリネシアを目指すという。これを信じて乗組員になった各々は次の命知らずの男達だった。

1)ヘルマン
冷蔵庫を販売していた。

2)トルステイン
戦争の英雄でウィスキーと女に弱い無線技士。

3)クルード
戦争の英雄で伝説の男、無線技士。

4)エリック
仲間の中で唯一、航海の経験あり。

5)ベングド
アマゾンで1年過ごした経験あり。民族史学者。

6)トール
強情で傲慢で馬鹿げた野心家。みんなのリーダー。

雑誌社から資金提供を断られたトールはペルーの大統領に会い、ペルー人が最初にポリネシアに渡ったという仮説を証明しようと資金援助を申し出た。これが受け入れられ、100日の計画でペルーからポリネシアへと筏に乗って旅をするのである。

執拗に追われるサメからの恐怖、筏より大きい魚の不気味な動き、木の葉のように嵐にもまれながら命からがらの戦い。

カミソリのようなラロイヤ環礁を越えようとしていたとき、トールは海に投げ出され、もうこれで死ぬのかと気を失いかけた。そのとき、遠くからトール、トールとかすかに呼ぶ声がした、トールは耳を傾けた。国に残してきた恋人のリヴの声だった。

彼らの友情、それから計画を実現し、仮説を身をもって証明したこと。これを世に問い、今までの定説を塗り替えたこと。

トールは、考古学者作家として探検を続け、2004年87歳でなくなった。
冒険は人の心をときめかす唯一の行為だ。これに真剣になれる人こそが幸福である。
(冒険は様々あるが。)

監督 : ヨアヒム・ローニング
脚本 : アラン・スコット
出演者
ポール・スヴェーレ・ハーゲン
アンドレス・バースモ・クリスティアンセン
オッド・マグナス・ウィリアムソン
アグネス・キッテルセン
グスタフ・スカルスガルド
ヤーコプ・オフテブロ
トビアス・サンテルマン

2012年のノルウェーの歴史映画である。


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