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一生着続けられる服を作る!「繕い裁つ人」 [映画]

映画 「繕い裁つ人」 CIMG8044.JPG

繕い裁つ人、これは洋服の仕立屋さんのことだ。

私は今まで何回か洋服屋さんに行って、オーダーメイドのスーツを作ってもらったことがあるが、そういう仕立て屋さんにも、それぞれドラマがあるのだろう。

映画では祖母が始めた洋服屋さんの後を継いで、地道に仕立てをする人がいた。先代の仕事に対するこだわりをも引き継いで、一生着られる服をつくるという試みだ。

着る人に寄り添って作られている服、
一針、一針心を込めて作る。

その人の人生と10年、20年寄り添っていく
これ以上の幸せはないと市江(いちえ=中谷美紀)は思っていた。
そこへ、その服をブランドにしないかと話を持ちかける男がいた。彼は藤井さん(=三浦貴大)という人で、市江が作る服を見て
ハッとしたという、「自分は本当に服が好きなのか?」と自分の職業に疑問を持ったようだ。勿論、その服が個性的で人を引きつける何かがあると感じたからだ。

それ以来藤井は何度も市江の所に通いブランド化を説得した。
市江の答えはいつも同じかった。
「そのつもりはありません」と。

しかし、徐々に彼女にも変化があった。
「誰かのための一着を作りたい、そしてそれは先代を越えて。」
と思うようになっていった。

映画を見終わって私は石川啄木の短歌を思い出した。

こころよく
我に働く仕事あれ
それをし遂げて死なんと思う




監督:三島有紀子
原作:池辺葵
脚本:林民夫
製作:横澤良雄
   水口昌彦

キャスト 配役
中谷美紀:南市江
三浦貴大:藤井

製作年:2015年
製作国:日本
配給 :ギャガ

心の詩に乗った風景、DVD映画「人間の証明」 [サスペンス]

映画「人間の証明」

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昭和の時代、森村誠一の書いた推理小説に「人間の証明」なるものがある。これが映画化されている。

日本とアメリカニューヨークを飛び回った刑事(=松田優作)と戦後の混乱とアメリカ進駐軍兵士の関係、その間の母性的な心情を西条八十(さいじょうやそ)の詩に託して叙情詩的な日本人の感性をきれいに描いた「人間の証明」は当時、大変な好評を博し、戦後とバブル崩壊の間にあった元気な昭和時代を象徴する映画になった。
角川書店は大変な意気込みだった。テレビでこのCMを何回もみて、「あの麦わら帽子はどうしたでしょうね」と台詞まで覚えてしまった。

登場人物に有名な人たちがこれほどそろったのかと驚く。
今は亡き人、引退した人、まだ現役の人もいる。
とても懐かしく観せてもらった。

キリズミで投げた帽子が、とても優雅に、心の詩に乗った風景はいつまでもいつまでも人の心に残るだろう。


監督 :佐藤純彌
脚本 :松山善三
製作 :角川春樹
    吉田達
    サイモン・ツェー
出演者:岡田茉莉子
    松田優作
    ジョージ・ケネディ
音楽 :大野雄二
主題歌:ジョー山中
   「人間の証明のテーマ」
撮影 :姫田真佐久
編集 :鍋島惇
製作 :角川春樹事務所
配給 :東映
公開 :1977年10月8日


胸がキューンDVD映画「シンデレラ」愛と勇気 [映画]

シンデレラ
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ディズニィー映画で「シンデレラ」の実写版を観ました。

子供の頃、絵本で読んでもらった内容より、一つ前の場面から始まっていて、シンデレラと意地悪な姉妹や継母の関係がわかり、なぜあんなに意地悪なのか判りました。

それから杖をふるってさまざまな魔法を起こす力を持っている素敵なゴッドマザー。
シンデレラの実の母親がゴッドマザーを信じて敬っていた。
ゴッドマザーは意外とそそっかしく、時にはミスをする。が、
魔法でエラを美しく変身させ、舞踏会に送ってくれる。

しいたげられていたシンデレラ(=エラ)が、王子様に見初められ、宮殿での舞踏会、そして求婚という、最低の場所から最高の場所に上り詰めたこの落差の浄化作用、ここが見所なんですね。

ストーリーも知っているのに、この場面になると胸がキューンとなってしまうのは不思議ですね。
さすがディズニーですね。もしかしたら、ここでハンカチが必要かも知れません。

「ありのまま」に続いて今回の言葉は「勇気と愛」ですね。

ディズニー映画は安心して見ていられるので、こういうのもたまにはいいですね。


監督 :ケネス・ブラナー
脚本 :クリス・ワイツ
製作 :サイモン・キンバーグ
    デヴィッド・バロン
    アリソン・シェアマー
出演者:リリー・ジェームズ
    ケイト・ブランシェット
    リチャード・マッデン
    ステラン・スカルスガルド
    ホリデイ・グレインジャー(英語版)
    デレク・ジャコビ
    ベン・チャップリン
    ソフィー・マクシェラ(英語版)
    ヘイリー・アトウェル
    ヘレナ・ボナム=カーター

音楽 :パトリック・ドイル
撮影 :ハリス・ザンバーラウコス
編集 :マーティン・ウォルシュ
製作 :ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
配給 :ウォルト・ディズニー・スタジオ・
    モーション・ピクチャーズ
公開 : 2015年
製作国:アメリカ



恋は人生の花 DVD映画「香華」岡田茉莉子の魅力 [映画]

映画「香華」(こうげ)
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映画の中で岡田茉莉子が恋人のことを胸に抱き(=頭に思い)一目散に小走りに走る様は女優らしい一面であり、思いを躰全体で表現している、言葉はいらない、特に「香華」や「秋津温泉」では絶妙である。

仕事とは言え、実生活の家族、家庭のことは頭から消えて、配役になりきることは考えようによっては役者にとって過酷なものではないでしょうか? 身は一つであるのに配役ごとに、いくつもの人生を行うからです。

以前、岡田茉莉子のインタビュー映画の中で、岡田さんは「演じているときは他のことは頭にない」とのことでした。
配役を演じることナシに演じることができる俳優は理想ではありますが、多くの役柄は受け持てないでしょう、まあ、それでいいのかも知れない。監督の方はこの役だったら彼に、こちらの役だったら彼女にと振り分ければいいのだから。

前置きが長くなりましたが、本題に入ります。
香華(こうげ)とは辞書を引けば、仏前にそなえる香と花と説明されています。
映画の中でも朋子(=岡田茉莉子)が最後に庭に咲いた花の枝を2つ子供に折ってもらい、仏前に手向けました。
死んでからしか思う人は自分の中に納まらないと思えるようでした。

映画は彼女が物心つく頃から(明治末)始まって晩年(昭和39年)までの波乱の人生を描いたものです。
売り飛ばされるような形で花柳界に入り、芸子になるため芸を習い覚え、芸者の頂点まで上り詰め、若い軍人に恋をして、結婚を約束するが、彼女の親がかつて遊女であったことから破談となり、日陰の身で生きるのは金輪際いやだと、旅館の女将となって生きる。

かつての恋人、心に一人いた軍人に会うため百度参りをして巣鴨の拘置所に駆けつけたが、言葉も交わさず一目見ることしか許されなかった女の悲しみを追います。

「恋は人生の花、それ以外花はない」とは坂口安吾の言った言葉ですが、朋子の人生はこの「花」を求めた一生でした

この映画は岡田茉莉子の代表作としてもいいのではないでしょうか。
監督はさすがの、木下恵介です。


スタッフ
• 監督・製作・脚本:木下惠介
• 製作:白井昌夫
• 原作:有吉佐和子
• 撮影:楠田浩之
• 音楽:木下忠司
• 美術監督:伊藤熹朔
• 照明:豊島良三
• 録音:大野久男
• 編集:杉原よ志
キャスト
• 朋子:岡田茉莉子
• 郁代:乙羽信子(東宝)
• つな:田中絹代
• 太郎丸:杉村春子
• 江崎:加藤剛
• 野沢:岡田英次
• 敬助:北村和夫
• 叶楼々主:柳永二郎
• 女将:市川翠扇
• 杉浦:菅原文太
• 呉服屋の番頭:桂小金治
• 神波伯爵:宇佐美淳也
• 大叔父:村上冬樹
• 宇治みさ子
• 北見治一
• 草野大悟
• 野村昭子
• 中村たつ
• 赤沢亜沙子
• 関口銀三
• 大滝:新克利
• 長山藍子
• 青山万里子
• 八郎:田中晋二→三木のり平(東宝)
• 村田:内藤武敏
• 安子:岩崎加根子
• 江崎の妻:奈良岡朋子
• 江崎の息子:田村正和,松川勉
• 万代峯子(東宝)
• 野々村潔
• 平松淑美
• 浜村純
• 稲葉義男
• 可知靖之
• 林家珍平

• 作成会社:松竹
• 公開:1964年

世界を救うDVD映画「流れる」(花柳界を垣間見る) [映画]

流れる
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ウィキペディアの解説は以下の5行である。

『流れる』(ながれる)は、1955年に出版された幸田文の小説。1954年にデビューした幸田の、作家としての名声を確立した傑作である。自身の体験を踏まえ、華やかな花柳界と零落する置屋の内実を描ききった作品。新潮社文学賞と日本芸術院賞を受賞した。

1956年、成瀬巳喜男監督によって映画化された。出演は田中絹代、山田五十鈴、栗島すみ子、杉村春子、岡田茉莉子など。


この中で、一番の主演は置屋のお母さん役を勤める山田五十鈴であろう。山田五十鈴の三味線の確かさ、歌の風流さは今聴いても見事である。花柳界の歴史と叙情、癒やしを垣間見せてくれる。これを聴くだけでも映画を観て良かったというものである。
江戸後期の流行歌謡の端唄などは日本文化としてもっと幅を広げても良いのではないでしょうか。
山田五十鈴は2000年、文化勲章受章している。



監督:成瀬巳喜男
脚本:田中澄江、井手俊郎
製作:藤本真澄
出演:田中絹代
   山田五十鈴
   高峰秀子
音楽:斎藤一郎
撮影:玉井正夫
編集:大井英史
配給:東宝
公開:1956年

世界を救うDVD映画「秋津温泉」(岡田茉莉子の世界) [映画]

<秋津温泉>
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孤立感を深める
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 死を決意した新子

岡田茉莉子は1933年の生まれだから、今からちょうど70年前の今日、天皇陛下の玉音放送はきける年齢だ。計算すれば12歳頃にあたる。

映画の中で演じている新子はもうちょっと年上だが(17歳)玉音放送をききながら「むずかしくてわからないわ」と言っている。100%わかった人はごく一握りだろう。しかし、戦争が終ったということは理解できたようだ。

この辺のことについて、後年の手記めいたもの(「女優岡田茉莉子」)を読むと、疎開先の新潟で空襲を体験されたそうだが、B29の機銃掃射の音に次の瞬間は自分も死ぬのだと思い死を覚悟されたようだ。また「私たちの世代は、あの忌まわしい戦争を背負わされ、生涯にわたって解き放たれることがないのだろう。」と語っている。
戦争は、たとえ生き残っても、癒やしがたい爪痕を残す。

終戦を知った後、どうしてあんなに泣いて涙が出るのだろうかと映画の中で川本周作(=長門裕之)が話していたが、実際どのような涙であったのか監督も明らかにしていない。
この情熱の持ち主が恋愛に正面から体当たりしていくのだから、その結果はプラスの方向に行ってもマイナスの方向に行ってもいかに波乱な展開があるのだろうと想像される。

周作は一目ぼれのように新子にひかれていく。しかし自分は喀血するほどの病気持ちだ。自分には望むべきでないと自身を制していた。が、新子の天真爛漫な生命の躍動のような女性にずるずると引き込まれていく。周作の心情も耐え難い葛藤がある。しかも新子の母親に避けられている。(肺病やみの男に娘をやろうとは思わない)

周作は暇さえあれば、たばこを吸う、酒を飲む、自分の体を考えればそんなことはできないはずだ。こんな自堕落な彼は意志が弱い証拠だ。
新子はこの青年を自分の力で直してみせると彼に入れ込んだ。こうして二人は互いに親密になっていく。

あるとき、二人が高原に遊んで、新子は周作の姿が見えなくなり真剣に「周作さん~、周作さん~」と呼んで探したことがあった。周作は寝転んで空を見ながら、新子の自分の名前が呼ばれるのを聴いて楽しんでいた。「俺は新子に愛されている、俺も新子を愛している!」と感じながら。

この時点では二人とも絵に描かれたような相思相愛の関係だった。周作の身体は次第に健康を取り戻し、心も前向きになり、生きることを謳歌したいと思うようになった。

彼は東京に出て作家の仕事を進めようとするが、それは容易に芽が出ない。そんなことで彼は人生にひがみをもつ性格がつのっていく。

そして別な女性と結婚、子を設ける。が、新子を忘れることができなく彼女のいる秋津温泉へ出向く。二人の結婚を反対していた新子の母親は既に他界していた。
新子が秋津荘の女将になっていた。ここで温泉旅館をやっていく決心をしたようだ。

彼が訪れると小娘のように喜び、彼を出迎え、帰っていくと魂が抜けたようになる。そんな繰り返しが何回か続いた。17歳の時彼と出会って、既に同じ17年間が過ぎた、しかし彼は新子のもとには落ち着かない。次第に新子はこんな人生を忌み嫌うようになっていった。

あるとき、周作が新子に会いに来て、泊まって帰るとき、新子は心中を持ちかける。彼は応じない、かつて周作が新子に心中を持ちかけた事があったが、周作はそんなことは一時の気の迷いだとさとすが、ならば私一人で死ぬと新子は思い詰める。まるで死に挑む(いどむ)かのようだ。

新子は死を覚悟した。
人間は自然の中に孤独に融け入らなければならないのか?
新子は愛人と別れ、人と別れ、自分自身からも離れ、自然の一部になろうと、
自然の懐に入って行った。

二人は路上でいったん別れたものの、異変に気が付いた周作は急いで駆け付けたが新子は手首を切って川に流されようとしていた。もっと積極的に新子に向かい合おうとすればよかったと後悔するが、もう遅い。なんとバカな男だと観ている方でやきもきする。新子の気持ちを理解できないのは男のクズだと思う。が、これが映画だ。

死を決意したときの新子の顔は美しすぎる。
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• 監督・脚本:吉田喜重
• 製作:白井昌夫
• 企画・衣裳:岡田茉莉子
• 撮影:成島東一郎
• 美術:浜田辰雄
• 編集:杉原よ志
• 音楽:林光
• 録音:吉田庄太郎
• 現像:東洋現像所
• 協力:津山市、奥津市

• 主な配役:
• 新子:岡田茉莉子
• 河本周作:長門裕之

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世界を救うDVD映画「今年の恋」(映画の中の岡田茉莉子) [映画]

今年の恋
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これは昭和37年に発表された木下恵介作品で
正月に観るとちょうどいいのかも知れない。

作品名も「今年の恋」とあり、正月早々希望の抱ける映画だ。

この時代はいやな戦争もすっかり終わり平和憲法の下、
人々は人生に潤いを持ち始めたのではないだろうか?

また、自然な日常生活の中に、人間味を帯びた穏やかな生活も
始まって、高度成長期の一つ手前の空気がうかがえる。

注目すべきは、若い岡田茉莉子のさわやかさだ。
田村正和も高校生で登場している。
眠狂四郎の幼い版だ。

この時代の映画は妙に人間味のあるのどかな映画が多い。
小津安二郎の映画の雰囲気にも似ている。


監督 :木下惠介
脚本 :木下惠介
製作 :月森仙之助
    木下惠介
出演者:岡田茉莉子
    吉田輝雄
    田村正和
音楽 :木下忠司
撮影 :楠田浩之
編集 :杉原よ志
製作 :松竹
公開 :1962年1月14日

世界を救うDVD映画「日本のいちばん長い日」昭和42年度版 [映画]

日本のいちばん長い日
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大宅壮一 編の「日本のいちばん長い日」が映画化されたのは、
1967年(昭和42年)、戦後22年たってからであった。
今から48年ほど前、東宝によって製作・配給された白黒の
日本映画である。この時の陸軍大臣は三船敏郎が扮した。


この映画は8月14日正午から、日本の進むべき道を政治家等が
決めた24時間の様子をまとめたものである。

簡単に言ってしまえば、ポツダム宣言を受諾して、終戦のため
天皇の発する公文書(=詔勅)をみんなで考えまとめ、それを
天皇が自ら読んでレコード盤にし、8月15日正午に玉音放送
として国民全体に聴かせようとしたことである。勿論
その流れはスムーズではなく、政治家の意見の相違、軍部の
葛藤などを時間に沿って描いてある。

映画の中で当時の若い将校達の切迫した状況が知れる。
例えば、井田中佐(=高橋悦史)が近衛師団長に戦争続行を説得するくだりで、

「現に今も飛行基地から敵の機動部隊を目指し特攻機は帰らぬ戦いを続けております。本土決戦も行わずこんな中途半端な形で戦争を止めるなら我々は前線で散った三百万以上の英霊をことごとく欺いていたことにならないでしょうか?  最後の一兵まで戦うならともかく天皇が止めると言われるからその命令を守って止める、聞こえはいいがこれは一種の責任逃れです。 国民はこの軍の態度を打算的でご都合主義のこの軍の態度をいったいどう思うでしょうか? 今こそ全ての軍人は死を賭して立つときであり、近衛師団はその中核となるべきです。 どうか閣下のご決意を。」

これは意気込みはよく解るが、このように考えたのは軍部上層部の一部の人間で、国民の多くは一日も早くこんな戦争は止めたかったのだろう。平和で安心してできる生活が一番だ。


最後の所でこの太平洋戦争で被った数字をまとめている。
1)兵士として参加した日本人=1000万人
  (日本人男子の1/4)
2)戦死者         =200万人
3)一般国民の死者     =100万人

今私たちはこのようなおびただしい同胞の血と涙と汗で
あがなった平和を確かめ、日本と日本人の上に再びこのような
日が訪れないことを願うのみであると結んでいる。

戦争を知らないで生まれた私たちは、貴い犠牲の上に今の 平和があることを自覚して生きよということである。

監督 :岡本喜八
脚本 :橋本忍
原作 :大宅壮一
製作 :藤本真澄
    田中友幸
出演者:三船敏郎
    加山雄三
    黒沢年男
    佐藤允
    中丸忠雄
音楽 :佐藤勝
撮影 :村井博
編集 :黒岩義民
公開 :1967年8月3日
配役 :
内閣
鈴木貫太郎男爵(内閣総理大臣) - 笠智衆
東郷茂徳(外務大臣) - 宮口精二
米内光政(海軍大臣) - 山村聰
阿南惟幾(陸軍大臣) - 三船敏郎
岡田忠彦(厚生大臣) - 小杉義男
下村宏(情報局総裁) - 志村喬
石黒忠篤(農商務大臣) - 香川良介
広瀬豊作(大蔵大臣) - 北沢彪
松阪広政(司法大臣) - 村上冬樹
豊田貞次郎(軍需大臣) - 飯田覚三
大臣 - 山田圭介
大臣 - 田中志幸

官邸
迫水久常(内閣書記官長) - 加藤武
木原通雄(内閣嘱託) - 川辺久造
佐藤朝生(内閣官房総務課長) - 北村和夫
佐野小門太(内閣理事官) - 上田忠好
鈴木一(総理秘書官) - 笠徹
小林海軍軍医 - 武内亨
首相官邸警護の巡査 - 小川安三

外務省
松本俊一(外務次官) - 戸浦六宏
大江晃(電信課長) - 堤康久

宮内省
石渡荘太郎(宮内大臣) - 竜岡晋
加藤進(総務局長) - 神山繁
筧素彦(庶務課長) - 浜村純
佐野恵作(総務課員) - 佐田豊

情報局
川本信正(情報局総裁秘書官) - 江原達怡

陸軍関係者[編集]

陸軍省
若松只一中将(陸軍次官) - 小瀬格
吉積正雄中将(軍務局長) - 大友伸※[4]
荒尾興功大佐(軍事課長) - 玉川伊佐男
井田正孝中佐(軍務課員) - 高橋悦史
椎崎二郎中佐(軍事課員) - 中丸忠雄
竹下正彦中佐(軍事課員) - 井上孝雄
畑中健二少佐(軍事課員) - 黒沢年男
小林四男治中佐(陸軍大臣副官) - 田中浩

参謀本部
梅津美治郎大将(参謀総長) - 吉頂寺晃

第一総軍
杉山元元帥(司令官) - 岩谷壮

第二総軍
畑俊六元帥(司令官) - 今福正雄
白石通教中佐(参謀兼司令官副官) - 勝部演之

東部軍
田中静壱大将(司令官) - 石山健二郎
高嶋辰彦少将(参謀長) - 森幹太
不破博大佐(高級参謀) - 土屋嘉男
稲留勝彦大佐(参謀) - 宮部昭夫
板垣徹中佐(参謀) - 伊吹徹
神野敏夫少佐(参謀) - 関田裕
塚本清少佐(司令官副官) - 滝恵一

近衛師団
森赳中将(第一師団長) - 島田正吾
水谷一生大佐(参謀長) - 若宮忠三郎
渡辺多粮大佐(歩兵第一連隊長) - 田島義文
芳賀豊次郎大佐(歩兵第二連隊長) - 藤田進
古賀秀正少佐(参謀) - 佐藤允
石原貞吉少佐(参謀) - 久保明
大隊長 - 久野征四郎
宮城衛兵司令所の伍長 - 山本廉
徳川侍従を殴る師団兵 - 荒木保夫
師団兵 - 桐野洋雄
師団兵 - 中山豊

児玉基地(陸海混成第27飛行集団)
野中俊雄大佐(飛行団長) - 伊藤雄之助
児玉基地副長 - 長谷川弘
少年飛行兵 - 大沢健三郎

横浜警備隊
佐々木武雄大尉(隊長) - 天本英世

航空士官学校
黒田大尉 - 中谷一郎

憲兵隊
NHK愛宕山スタジオ警備の憲兵中尉 - 井川比佐志


世界を救うDVD映画「イースタン・プロミス」(ロシアン・マフィアを垣間見る) [サスペンス]

イースタン・プロミス
CIMG7525.JPG CIMG7526.JPG 私の名前はタチアナ 父は故郷の炭鉱で 死んだけど、 死ぬ前から土に埋もれていた。 私たちは皆そうだ ロシアの地に埋もれてる だから私は故郷を出た ましな暮らしがしたくて。

以上の言葉で映画を締めくくる。


人類の歴史の中でロシア民族の
営々と培ってきた人々の生命を感じる

地球上の人、誰もが経験する
恋、愛、苦しみ、非情、悪、善、美、
映画の中にこれらを見て取れる。

舞台はロンドンだがロシア風な
スパイスを感じる。

ロシアン・マフィアを垣間見る。
それは目を覆いたくなる残虐性。

これも人間の歴史として
間違いなく事実だ。

タチアナは14歳でレイプされて殺された。
彼女の日記を通して事件が展開していく。

怒りというのは危険だ、
人に馬鹿な行動を起こさせる。
(これはイワンの言葉だが実に名言だ!)


<タチアナの日記より>
明日は生きているかどうかわからない、
毎日ヘロインを注射される、
ここは窓がないから身を投げることもできない、
何もかも幻なの?

間違いなく私は妊娠している、
まだ目立たないけれど、レイプされた後、
薬を飲まされたが遅かった、
新しい命が産まれてくる。

でもまず、何か方法を探して
自分の命を断ちたい
産まれてくるこの子に
辛い思いはさせたくない。


<ニコライのこと>
父親は車の修理工だった。
15歳の時から父親を手伝って
役人の車の部品を横流ししていた。

シベリアの刑務所に入った。
その内2年間懲罰房に入った。
サンクトペテルブルクの刑務所では
12回独房に入った。
更正せず、通称「切り株」と言われた。

ロシアン・マフィアに入るため問われる、
「父親は政府に出入りしていた腰抜けの犬、
母親は売春婦、そうだな!」
ニコライはそうですと答える。

続けて言う、
俺には両親はいませんでした。
「法の泥棒」の掟だけが唯一の教えでした。
俺は15歳で死んだ。それ以来、
一切の感情は捨てて生きてきました。
(これがイワンだ。)


映画の最後に
赤ん坊が救われる。
まだ人の心が生きていた。



監督:デビッド・クローネンバーグ
脚本:スティーブン・ナイト
撮影:ピーター・サシツキー
音楽:ハワード・ショア

キャスト
ビゴ・モーテンセン
ナオミ・ワッツ
バンサン・カッセル
アーミン・ミューラー=スタール

公開:2008/06/14

世界を救うDVD映画「ブルーバレンタイン」 [映画]

ブルーバレンタイン
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相思相愛で結婚してもそれがいつまでも続くとは限らない。
元彼の間に設けた女の子、フランキー。
妻は先々のことを考えて堕胎しようとしたが、
手術中直前に思い直しフランキーを産んだ。

夫は、自分の子供のようにかわいがり、フランキー自身も
彼になついていた。

夫も仕事を持ち、妻も仕事を持っていた。
子供は小学生、平和な3人暮らし。
しかし、夫と妻の間に少しずつ亀裂が入ってきた。

何が原因かわからない。
夫の猜疑心?
いまいち不満足な夫婦生活?

愛しているのだけれど愛せない。

それは、お互いに興味ある対象を持っていないからではないだろうか?
人生は夫婦の生活だけではない。

それは仕事でも趣味でもいい。
夫婦生活が理由なく傾き始めたら、それは
対面している時間が長すぎるのではないだろうか?

夫婦それぞれ、自分の没頭できる対象に(趣味や仕事)
のめりこんで、それがよい状態にいったらまたお互いに
関心をもちあえばいいのではないだろうか?
人の心は勝手なものだから。

世界を救うDVD映画「ホリデイ」 [映画]

ホリデイ
The Holiday
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一つの映画を見て、こんなにウキウキできるのも久しぶりだ。
心をウキウキさせるサプリメントでも飲んだのかしら?

恋愛をして世の中の絶望の淵にたった二組の男女が、年末の
イギリスで新しい恋人と、和気あいあいで、
大晦日を迎えるというもの。

4人のスマイルは世界を救うほどにさわやかだ!

また、4人のメンバーはどこか別の映画でも見たことがある、
一人一人みんな活躍している有名人だ。
だけど名前は思い出せない。

事の始まりは、失恋した二人の女性がネットで家を交換
するという展開だ。
イギリスとアメリカという距離感も映画では可能だ。
まだ見てない人は、また失恋した人は是非見てください。


役名    俳優
アマンダ: キャメロン・ディアス
アイリス: ケイト・ウィンスレット
グレアム: ジュード・ロウ
マイルズ: ジャック・ブラック

キャッチコピーは
「人生に一度だけ、誰にでも運命の休暇がある」
というもの。


監督   :ナンシー・マイヤーズ
脚本   :ナンシー・マイヤーズ
製作   :ナンシー・マイヤーズ
      ブルース・A・ブロック
製作総指揮:スザンヌ・ファーウェル
音楽   :ハンス・ジマー
撮影   :ディーン・カンディ
編集   :ジョー・ハッシング
製作   :アメリカ、2006年12月

世界を救うDVD映画「処女の泉」 [ベルイマン映画]

処女の泉
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2015年5月31日「バラ祭り」にて。
この上の写真は現在長野県中野市の毎年行われている「バラ祭り」のお気に入りの一枚です。
下の写真は今年の私の個人的偏見に満ちた傑作の一枚です。
6月20日まで開催しているようです。
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本題に入ります。
これは、スウェーデンの映画監督イングマール・ベルイマンのもとで製作された映画です。

題名の由来は、かわいがっていた娘の死んだ場所から、泉が湧き出てきたことです。

ベルイマン映画は人間の生きる根本的な問題に真っ正面から取り組んでいます。
そして見ている側にその問題提起をしています。

いずれにしても、このような問題の前で、見る側の私たちは、もしこのような渦中に自分がいたらどう対応したらよいかということを考えずには、いられない様になります。

話の内容を簡単に説明すると、
親もかわいがり、娘も甘えん坊で育った親子関係がありました。
親は敬虔な信者で、神を信じて神と共に生きることを生活のリズムとしていました。
そういう中世の時代の出来事です。

ある日、教会にロウソクを届けるという役目をその娘が負って、
お供を一人付け、馬に乗って出かけました。
ところが、途中で暴漢におそわれてしまいます。そして、棒で叩かれ死んでしまいます。

またある日、その暴漢は、事もあろうにその親に身ぐるみ剥いだ娘の服を売りに来ます。

親は娘の死を知り、逆上して怒り狂い暴漢を剣で殺し復讐をとげます。

その後、娘が森の中で死んでいるのを捜し当て、悲しみに沈みます。
そこで父親は神に誓いを立てます。
「どんなことがあろうとも、この手で娘の亡くなったこの場所に教会を建てます。」

するとその娘が死んだ場所から、不思議なことに水がわき出てきました。


あなたがこの両親の立場だったら、どういう行動をとりますか?


監督 :イングマール・ベルイマン
脚本 :ウラ・イザクソン
製作 :イングマール・ベルイマン
    アラン・エーケルンド
出演者:マックス・フォン・シドー
    ビルギッタ・ヴァルベルイ
    グンネル・リンドブロム
    ビルギッタ・ペテルソン
製作 :スウェーデン 1960年

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世界を救うDVD映画「恥」 [ベルイマン映画]


shame
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昔、高校生の時テレビでベルイマンの映画を宣伝していたのをみた。その時の映像で海におびただしい程の兵士の死体がプカプカと浮かび、これ以上の地獄はないと思った。

映画の題名も監督の名前もよく知らず、一瞬見たテレビの映像とベルイマンという聞き覚えのない名前だけが記憶に残った。

そして最近DVDで借りた中に「恥」という題名の映画を観た。
これが昔、私が高校生の時見た映画だった。

多くの兵士が水に浮かんでいる様子は忘れられなかった。
何十年も前の映画だったが、映画の主題や表現の方法に古さは感じられなかった。

第一の印象は、戦争は自然も町も家も家族も破壊していくが、人間の心も破壊してしまうのだなあと思った。

破壊された心、人間性、ここからは何も良いことは生まれない。
戦争しているのは、戦争を動かしてる一部の政治家、豪族であってほとんどの人間は彼らの犠牲者になっている。



1966年,スウェーデン

監督:イングマール・ベルイマン
脚本:イングマール・ベルイマン
撮影:スヴェン・ニクヴィスト
出演:マックス・フォン・シドー(ヤーン)
   リヴ・ウルマン(エーヴァ)
   グンナール・ビョルンストランド(市長)
   ブリジッタ・ヴァルベルグ
   ハンス・アルフレッドソン
   ベント・エクルンド

地球を救うDVD映画「石榴坂の仇討ち」 [映画]

柘榴坂の仇討
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以前私のブログの中でご紹介した、
「途方もない使命感に誘われた若者達、桜田門外ノ変」(原作:吉村昭)なるものがありますが、それは、
水戸藩士の視点に立った映画でしたが、今回は彦根藩士の視点から捉えた映画です。
それがこれからご紹介する「石榴(ざくろ)坂の仇討ち」(原作:浅田次郎)です。


大老、井伊直弼(いいなおすけ)は朝廷の許しを得ぬまま1858年アメリカと通商条約を結んでしまった、その上、攘夷をけちらし吉田松陰の首もはねてしまった。
世に言う「安政の大獄」です。ために国中の幕府に対する反発はかつてない程、勢いを増してきた。
対外的には列強が徳川幕府ののど元まで迫ってきている。大老、井伊直弼の心境はいかばかりかと想像する。

井伊直弼は国中では赤鬼と称せられているが、「あたたかく風流で優しいお方」と評して、「おれは嘉門の守さまが好きだ、政(まつりごと)がどうあれ、茶、和歌、鼓(つづみ)に通じているお殿様が好きだ。」という。

この男、井伊大老の命を守る近習(きんじゅう)という役目を仰せつかり、お殿様を守ることに全精力を費やそうとしている。名は志村金吾(しむらきんご)。

3月3日は慣習となっていた上巳(じょうし)の節句にて井伊直弼は登城する予定であったが、その朝「大老襲撃の企てあり」との情報が入り家臣は登城を取りやめるよう進言したが、井伊直弼は大老としての役目を重んじ、それを圧して登城した。

すべて天命、天が逝けというならそれもよし、生きろというならそれもよしと、人生を達観した直弼の言葉は不穏を告げるかのようである。

人の命は天の差配によって決められている。

その時が来るまでは人は懸命に生きよということだ。

雪の降りしきる登城中、井伊直弼は水戸浪士らに命を奪われてしまう。
金吾は命に代えても殿を守ると心に決めていたがそれが果たせなかった。
これこそ断腸の思いというのだろう。

そして水戸浪士一味を捕えることが金吾に下された命令となった。
金吾の父母は自害、また金吾は妻を離縁しようとするが、
妻(セツ=広末涼子)は「ご本懐をやり遂げるまで、おそばに置いていただきます。」
と、まあなんとけなげな言葉だろう。
こういう言葉、心情が、かつての日本には生きていたのだ!

桜田騒動から13年たった。
金吾はいまだに水戸浪士を追っていた。しかしつぎつぎと捕えられ、
あと一人、佐橋十兵衛(さばしじゅうべい)を残すのみとなった。

金吾の友人、内藤は上手に明治維新を乗り切った。軍服を着た内藤は金吾に言う。

内藤)彦根藩などはもうどこにもないのだぞ!
金吾)侍はなくなってしまったわけではない。
   姿かたちは変わってもその心はどこにも生きている。

内藤の上司、秋本夫婦に、こんな会話がある。
夫)志村金吾の父母は自害した。金吾には切腹が許されなかった。一味を捕えるまでは。
  金吾は13年もの間、生き恥をさらさねばならなかった。
妻)お辛かったのはその人一人ではありますまい。
  ご本懐を遂げられた後は、その方はどうなされます?
夫)当然腹を切る。
妻)奥方はどうされます。
夫)あとを追うだろう。
妻)あなたは、その手助けをなさるおつもりですか?
このような女性の台詞を聞いていると、この時代の男も強かったが、女性も良妻賢母ぶりを発揮しているなあと思う。

新しい世を生きよ、ひたむきに生きるのも道だと金吾は秋本に諭される。

金吾が仇討ちを探し当てたその日、明治政府の布告がでて、仇討は禁止となった。

金吾は仇討ちの佐橋十兵衛の前でこう言う。
佐橋殿、時代は変わった、だが武士は変わることはない。 その心を持ったまま、この垣根を越えてはくれまいか?  生きてはくれまいか? わしもそうする故。

佐橋もそれを受け入れた。二人の心は13年間、時間が止まったように生きてきたが和解して新しい世を生きることになる。

監督     :若松節朗
原作    :浅田次郎
配役  
志村金吾   :中井貴一
佐橋十兵衛  :阿部寛
志村セツ   : 広末涼子
内藤新之助  :高嶋政宏
秋元和衛   : 藤竜也
井伊直弼  :中村吉右衛門

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地球を救うDVD映画「トランスフォーマー・ロストエイジ」 [映画]

トランスフォーマー ロストエイジ
Transformers: Age of Extinction
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子供時代にはやったトランスフォーマが映画の中で見らる。
初めて見たトランスフォーマと比べるとずいぶん進化したものだ。
しかし、車がロボットに変身したり、ロボットが怪獣になったり
部品の組み合わせを変えれば他のものになるという考えは変化していない。まあ、それがトランスフォーマーだ。

映画の舞台も、アメリカ、中国と世界を牽引している場所だ。

世界の子供達にもこの映画は歓迎されるだろう。第一、男の子は動くおもちゃが大好きだからだ。大人ももと子供だった。

心のゆくえも、主題がはっきりしていてわかりやすい。
勧善懲悪だ。しかし最後に我々を創造した創造主の所へ行くというくだりはおもしろい発想だ。さしずめ人間界であれば神の所へゆくというところだが、トランスフォーマーはどこへゆくのだろう?

昔から言われている「愛は地球を救う」は「映画は地球を救う」ということになりそうだ。そして私のタイトルにもあるように「地球を救うDVD映画」につながっていく。

どんな映画もこれにつきるだろう。一見、別の方向を目指しているように見えても、それは結論に達するための回り道だ。



監督 :マイケル・ベイ
脚本 :アーレン・クルーガー
製作 :ドン・マーフィ(英語版)
    トム・デサント(英語版)
    ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ
    イアン・ブライス
総指揮:スティーヴン・スピルバーグ
    マーク・ヴァーラディアン
    ブライアン・ゴールドナー
出演者:マーク・ウォールバーグ
    ニコラ・ペルツ
    ジャック・レイナー(英語版)
    ケルシー・グラマー
    T・J・ミラー
    ソフィア・マイルズ
    李冰冰
    スタンリー・トゥッチ
    韓庚
    タイタス・ウェリヴァー
音楽 :スティーブ・ジャブロンスキー
主題歌:イマジン・ドラゴンズ[1]
    「Battle Cry」
撮影 :アミール・モクリ
編集 :ウィリアム・ゴールデンバーグ
製作 :ディ・ボナヴェンチュラ・ピクチャーズ
     ハズブロ
     China Movie Channe[2]
     Jiaflix Enterprises[2]
配給 :パラマウント映画
公開 :2014年
製作国:アメリカ合衆国
    中国


地球を救うDVD映画「偽りの人生」 [映画]

偽りの人生
(TODOS TENEMOS UN PLAN)
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映画の題名は「偽りの人生」と原作の日本語的意訳と思うが、
この題名がこの映画にふさわしいかどうか疑問が残る。

DVDには「Everybody has a plan」とある。これも、さっぱりしていて、
映画の核心にはこだわらない、或いは意味深な良い題名だが、
これも私としては一味違う。

いずれにしても、題名は映画を鑑賞した人が勝手に付けるのが
いいのかも知れない。

前置きが長くなったが、本題に入ります。

主人公のアグスティンは医師で8年前、金満家のグラディアと結婚する。
2人の間には子供がなく、養子を取ろうと妻が積極的に進める。
養子の赤ちゃんが来ることになった時、夫は子供はいらないと言い出し、
夫婦は決別する。

妻は実家に帰り、夫は家にひきこもる。
そんな時、養蜂家の兄が主人公アグスティンを尋ねてくる。
理由は、兄のペドロは末期的なガンで余命いくばくもなく毎日が辛いと言う。
ついては、ここにピストルがあるから殺してくれないかと話し出す、
報酬は良心の呵責代金として7万ペソ用意したという。

弟のアグスティンは突拍子もない話に、勿論否定的で,
兄のガンの様子をX線写真で見るにつけ、
自分も医師の見地から無理からぬことだと納得する、
しかし兄を救いたいという気持ちもある。

ある日、兄のペドロが風呂に入っているとき吐血した。
弟のアグスティンは救急車を呼ぼうとするが、兄が差し止めた。

しかし、兄はますます吐血を激しくする、苦しんでいる兄を見て弟は
とっさに兄を楽にしようと湯船に兄を沈め窒息死させてしまった。
弟は自分のやったことではあるが、事態の結果に驚愕する。

弟は医師をやめて、兄に成り代わろうとする。
それは兄を愛していたからに他ならない。

それとも、映画の題名から察すると、この主人公は人生を2度生きてみたい、
と言う以前から願望があって、兄の代わりの人生を生きてみたいと思ったのかも知れない。

良い映画というのは、鑑賞者を映画の中に引き入れ、
「鑑賞者の自由気ままな想像力にお任せしよう」との意図があるものだ。
これもそれかな?


弟アグスティンは兄の養蜂家として故郷へ帰る。
しかし故郷の地元の人々は兄ペドロを良く思ってない人が多く、迫害を受けた。
実はこの兄と弟は双子の兄弟でほとんど見分けがつかないのだ。

2人が子供時代に遊んだアンドリアンが登場する。彼はよく遊んだ子供仲間だったが、
今は似非(えせ)クリスチャンで聖書はいつも持ち歩き人生の道しるべとしていた。

アンドリアンは「盗賊」の計画を立てていて、(最も最初の計画はペドロとなっている)
その実行をペドロに成りすましたアグスティンに迫る。

ある夜半、助っ人一人を引き入れ盗賊計画を練った。
みんなはこれを了解した。

かつてペドロが養蜂家として働いていたとき唯一の女友達としてロサ(愛称はベビー)がいた。
ロサはペドロを慕っていた。

ペドロに成りすましたアグスティンにもその想いは変わらなかった。
二人の中でこんな会話が取り交わされた。
これは原作のテーマでもある。

ロサ:人は誰も悪い心を持っているわ、でも本当に人を傷つけたら、その悪が膨らむ。 反対に親切にすれば、自分の中の悪や他の人の悪もしぼんでいく。

アグスティン:相手は誰にでもかい?

ロサ:そう、誰にでも親切に。

アグスティン:素敵だね。


その後、盗賊の一件は、アグスティンがドタキャンする。
この辺の展開は映画を見られたし。

最後にアグスティンとロサがボートに乗っている。
彼は銃で撃たれ横たわっている。
ロサは泣いて彼を見ている。

愛しているか? 僕も愛している、心から。
私も愛している。
僕をずっと愛してくれるか?
ずっと愛している。

アグスティンは泣いているロサを前にして
空を見上げている。

この場面は、アグスティンの体から魂が抜け出して
すうっと澄んだ空へ高く登っていくようだ。

ロサは彼が川の上流へ行きたがっているのを思いだした。

ロサはエンジンをかけ、川上に向かってのぼっていった。


監督: アナ・ピーターバーグ
脚本: アナ・ピーターバーグ
製作: マリエラ・ベスイエフスキー 、
    ヘラルド・エレーロ 、
   バネッサ・ラゴーネ

キャスト
アグスティン&ペドロ  (主人公): ヴィゴ・モーテンセン
クラウディア    (主人公の妻): ソレダー・ビヤミル
アドリアン(子供時代の遊んだ仲間): ダニエル・ファネゴ
ロサ       (主人公の恋人): ソフィア・ガラ・カスティリオーネ

製作年 2012年
製作国 アルゼンチン=スペイン=ドイツ
配給 ブロードメディア・スタジオ


孤立無援を生き抜く力 [映画]

地球を救うDVD映画「リディック」
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孤立無援を生き抜く力

仲間意識を持ってみんなと一緒に駆け上ることには賛成だが
時としてそれができない場合がある。

みんなから離れて、自分一人頑張らなくてはならない時がある。
誰の助けもない、
それが孤立無援だ。


リディックが崖をよじ登る、
次々と後ろから、サソリのお化けのような宇宙生物におそわれる、
その数は、おびただしい。

執拗に迫ってくる宇宙生物、
みにくく、素早く、際限なく続く攻撃。

そんな時、リディックは頼もしい戦士に見える、
絶対あきらめない心、
頑張る心、
口から出た言葉は必ず実行する男。

一体,彼を突き動かしていく心はなんだろう?
彼の心に共鳴するものは何?
やさしい人間の愛か?



スタッフ
監督デビッド・トゥーヒー
製作ビン・ディーゼルテッド・フィールド
製作総指揮サマンサ・ビンセントマイク・ドレイク

キャスト
ビン・ディーゼルリディック
ジョルディ・モリャサンタナ
マット・ネーブルボス・ジョンズ
ケイティー・サッコフダール
デイブ・バウティスタディアス

原題
Riddick

製作年:2013年
製作国:アメリカ
配給 :プレシディオ


タグ:孤立無援

世界を救う映画 「ツレがうつになりまして」二人の優しい風が私たちの心まで吹いてくる。 [映画]

「ツレがうつになりまして」
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初めにマーラーの音楽が流れた。
映画は二人が住んでいる家を映し出していた。

この曲を初めて聴いたのは「ベニスに死す」の映画のクライマックスのところでだった。
それと共に、その時の美少年の面影も思い出した。もう数十年も前のことだ。

人生の全てを知り尽くしたような音楽、
これがマーラーの交響曲第5番だと知ったのは、
聴いてからずいぶんたってからだった。

横道にそれてしまった。
「ツレがうつになりまして」の話にに戻る。
イグアナがノソノソと家の中を歩き回る。
私もペットとして飼いたいものだ。

夫はコンピュータのソフト会社のサラリーマン。
妻は趣味が高じてマンガを描いて投稿しているようだ。
「つげ義春」のマンガを読んでいる。

私も40年ほど前つげ義春のマンガを読んでいた。
特に「ねじ式」などはこれからのマンガとして異質のものを感じた。
また横道にそれた。

うつは心の風、いたずらに不安がることはない。
二人はお互いにお互いを思いやり、「富めるときも、貧しきときも
お互いに、相手を思いやって、、、、、」
これこそが夫婦だと思う。若い二人の優しさに感動する。

「タイスの瞑想曲」、「トロイメライ」もすばらしい。
妻との小さな言い争い、夫は世界から取り残された感じを受ける。夫は風呂場に行って自殺しようとするが、妻に発見され止められる。
イグアナは二人の全てを知っているような哲学者のような顔をして見守る。

教会で同じ時に結婚した夫婦と同窓会と称して、毎年みんなに近況を発表し合う。

その時妻は「私の隣にツレがいてくれて本当に良かった」と述懐する。
また「人は誰でも、どんな時でも自分の生きていることを誇りに思う」ともいう。

最後の次の言葉は感動ものだ。
二人が天気の良い日に縁側にたたずんでいる。そして、

風が気持ちいいね。 ツレはこれからも宇宙カゼとつきあい続けるだろう。 でも、どんな夜も明けない夜はない。 たとえ明けた空が曇りだとしても、 夜よりはずっと明るいのだから。

二人の優しい風が私たちの心まで吹いてくる。

配役:宮崎あおい
   堺 雅人
原作:細川貂々(ホソカワテンテン)
監督:佐々部 清
東映


理想の先生「いまを生きる」 [映画]

いまを生きる

Dead Poets Society


これはアメリカ合衆国の話である。
一見、イギリスのような錯覚に陥ったが紛れもなくアメリカのもの
KINGS ENGLISHの風貌が現れても不思議ではない。


ここにはアメリカの詩人、ホイットマン、ソロー、フロスト
イギリスの詩人、テニソン、シェリー等々、有名どころの
詩の一節が披露される。

詩はその人の情緒のエッセンス
従って詩情を命の糧として生きている人もいる。

赴任してきてクラスを持った先生ジョン・キーティングは、
情熱を持って生徒に接した。そして詩の神髄を諭した。

例えばこんなエピソードがある。
キーティングは授業中に突然机の上に立って宣言する。
「私はこの机の上に立ち、思い出す。
つねに物事は別の視点で見なければならないことを!
ほら、ここからは世界がまったく違って見える」。


先生は一人一人の個性を重んじ、一人一人の立場に行って話をされた。
これほど懸命に教育を考える先生は少ないだろう。また、これほどの
先生も理想論のようだ。現実には無理っぽい。

現実には居ない先生も、詩人達は実際には存在したので、彼らの詩を
をひもとけば、その精神は伝わってくるだろう。

学校生活、規律と自由と尊重の中で彼らは、個性を発揮しながら生きて
いたが、突然悲劇が起こる。

これは、若さ故の過ちと言える。
親の願いと、自らの生きる道での葛藤。もう少し辛抱して生きていたら
きっと、乗り越えられたのに、あまりに短絡とも言えるが、詩情を
生きる糧として生きている精神には耐えられないのかも知れない。

日本にもこれに似た物語が有り自らの行き詰まりを見せている。
それは、「孝なれば忠ならず、忠なれば孝ならず」と、板挟みである。

映画の最後に、校長に反して生徒達が去って行くキーティング先生の精神が
自分たちの中に生きていると示すことができたのは、先生にとって
報われただろう。学友の死を乗り越えられるというサインでもあった。



監督 :ピーター・ウィアー
脚本 :トム・シュルマン(ドイツ語版)
製作 :スティーヴン・ハーフ
    ポール・ユンガー・ウィット
    トニー・トーマス
出演者:ロビン・ウィリアムズ
    ロバート・ショーン・レナード
    イーサン・ホーク
音楽 :モーリス・ジャール
撮影 :ジョン・シール
編集 :ウィリアム・アンダーソン
製作国:アメリカ合衆国
公開 :1989年

頼もしいリーダー達「超高速!参勤交代」 [映画]

超高速!参勤交代

参勤交代は江戸時代、1635年 江戸幕府が全国の大名を統制するためにもうけられた政策だ。これを行うことによって大名の財政を圧迫させたが、交通の発達や文化の交流として時代に貢献している。

この映画の中では磐城国の小藩・湯長谷藩の藩主・内藤政醇が登場し、田舎大名が実直にこれをこなし地域の人間が平和に幸せに生きていけるよう、模範的な大名ぶりを披露している。

時代を超えて、人々のリーダーなる者はこのような人がいいと、万民が賛成できる善い人のイメージが備わっている。

映画の出だしは、やっと重荷の参勤交代が終了して、ヤレヤレとみんな気が楽になった事から始まる。次の参勤交代までにはあと一年半あるということだ。

ところが、休みもままならないところへ、飛脚が到着し、今すぐもう一度参勤交代をせよ、との命令が届いた。

理由は、この藩で金が採れるのにそれを申告しなかったということだ。これには、裏があって幕府の重臣があらぬ疑いをかけ参勤交代を行わせ、藩を取りつぶそうという意図があった。

藩内で協議が行われ、実直な殿様は、幕府の考えは解ったが、これを実直に実行し幕府に申し開きをするのだ、との考えにまとまった。

就いてはこれを実行するために、家老職にあった相馬兼嗣に知恵を出させこの無理な参勤交代を実行させようとした。

これが、映画の題名の超高速!参勤交代である。

要は、要の関所を通るだけで道のりを省略させ、山越えをし、また行列の人数も足りないので、他藩の行列を借りたり、また即席の行列を雇ったり、見せ場の宿場には2度行列することによって、大きな行列だと思わせたり、とにかく5日間で江戸に到着するよう画策する。

途中で得た女郎を自分の側室にするという人間的な殿様の横顔もうかがえる。

今現在、民主主義が最上の方策と思われるが、その時代時代に合った人々の納得する方策はまだあったのだと思わせる節がある。

人々のリーダーとして、質実剛健、人民愛に深く、人々に慕われる人間。目標を実現させるために突き進む勇気と力、あるべき姿を実現させる推進力。今は存在しないそんなリーダーがいたらいいなあと思わせる映画であった。


キャスト
内藤政醇(湯長谷藩主):佐々木蔵之介
お咲(飯盛り女):深田恭子
雲隠段蔵(抜け忍):伊原剛志
荒木源八郎(湯長谷藩士):寺脇康文
秋山平吾(湯長谷藩士):上地雄輔
鈴木吉之丞(湯長谷藩士):知念侑李(Hey! Say! JUMP)
増田弘忠(湯長谷藩士):柄本時生
今村清右衛門(湯長谷藩士):六角精児
徳川吉宗(征夷大将軍):市川猿之助
松平輝貞(老中首座):石橋蓮司
松平信祝(老中):陣内孝則(特別出演)
相馬兼嗣(湯長谷藩家老):西村雅彦
内藤政樹(磐城平藩主):甲本雅裕
琴姫(政醇の妹):舞羽美海
徳川宗翰(水戸藩主):前田旺志郎
夜叉丸(隠密頭):忍成修吾
高坂小太郎(隠密):冨浦智嗣
瀬川(湯長谷藩江戸家老):近藤公園
虎之助(隠密):和田聰宏
茂吉(農民):神戸浩

スタッフ
製作総指揮 - 大角正
企画 - 深澤宏
プロデューサー - 矢島孝
監督:本木克英
脚本:土橋章宏
音楽:周防義和
主題歌:塩ノ谷早耶香「Like a flower」
撮影:江原祥二
照明:林利夫
美術:倉田智子
録音:山本研二
整音:岸田和美
編集:川瀬功
製作・配給:松竹
製作プロダクション:松竹撮影所
製作:「超高速!参勤交代」製作委員会(松竹、テレビ東京、博報堂、ケイファクトリー、松竹ブロードキャスティング、講談社、キングレコード、福島民報社)

受賞
第38回日本アカデミー賞(2014年)[11] 優秀監督賞(本木克英)
優秀脚本賞(土橋章宏)
優秀主演男優賞(佐々木蔵之介)


死ぬまで意地を通す「クロワッサンで朝食を」 [映画]

クロワッサンで朝食を
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映画の舞台はフランス、パリ。
これは若向きの映画ではない。
でもしみじみとした人生の静かな息づかいを垣間見れる。

登場人物は、朝食にクロワッサンと紅茶しか食さない、
老境のフリーダという女性、一見頑固に見える。

二人目はステファンというカフェの主人、
もとフリーダの恋人でカフェを彼女からもらった。
それで、独り者のフリーダの世話をしている中年男。

三人目の登場人物は、若い頃からパリにあこがれていた老境に
入ったアンヌという家政婦。
ステファンに雇われてリトアニアからパリに出てきた。

フリーダの世話は難しく、何人も家政婦はやめている。
アンヌもフリーダの最初の会話は、朝食をつくって
フリーダの前に現れたとき、
「そんなもの食べないから、さっさとこの家から出て行って」
との言葉。

アンヌは落ち込んでパリの町並みを歩き、エッフェル塔を見に来る。そして、心を落ち着かせて、どうしたらよいか彼女なりに考える。雇い主のステファンに向かって、
「あなたはフリーダが死ぬのを待っているの」と心を見透かされてしまう。

フリーダとアンヌはあることから口争いになり、とうとうアンヌは出て行ってしまう。
フリーダはアンヌを忘れられなく、帰って来ないかと待ちわびる。アンヌの方も国に帰ると言いながらも、帰らず、フリーダの所に戻ってくる。

ここで、この映画のしめくくりにぱっと主題がでてくる、
フリーダの出迎えの言葉、

「アンヌ、ここがあなたの家よ」

その余韻がいつまでも残る。

老境に入ると人は死を待ちわびるのだろうか?
それとも老境を謳歌しようとするのだろうか?


----*****-----*****-----*****-----*****-----

監督 イルマル・ラーグ
脚本 イルマル・ラーグ 、 アニエス・フォーヴル 、 リーズ・マシュブフ
製作 ミレナ・ポワヨ 、 ジル・サクト 、 リーナ・スィルドス
共同製作 フィリップ・カウフマン 、 アドリアン・ポリトフスキー 、 ジリー・ウォータークリン
撮影 ロラン・ブルネ
美術 パスカル・コンシニ
音楽 デズ・ムナ
録音 ピエール・メルテンス 、 ボルヌ・ルロワ 、 エマニュエル・ドゥ・ボワッシウ
編集 アンヌ=ロール・ゲガン
衣裳デザイン アン・ダンスフォード
キャスティング ブリジット・モワドン
助監督 ジュリエット・マイヤール

キャストフリーダ ジャンヌ・モロー
アンヌ ライネ・マギ
ステファン パトリック・ピノー

あなたは夫を愛せますか?「魂萌え!」 [映画]

魂萌え!(たまもえ)
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「知らない事も罪なのよ」と隆之が使っていた歯ブラシを投げ、
思いの丈をぶつけた言葉は、分からないこともないが軍配は正妻に挙げたい。
それほど言うなら、もっと堂々と生前に打つ手はあったのではないか?
結局、隆之は正妻の俊子をより愛していたということだ。


      --*--*--*--*--*--*--*--*--*--

関口隆之は退職後3年であっけなくこの世を去る。

残された妻の関口俊子は遺品の整理中に夫が不倫をしていたことを知る。
10年間、夫に女がいたと知って愕然とする。

その後、映写技師の職を見つけて自立するまでのドタバタを
もの語るのがこの映画だ。1947~49年のベビーブーム時代生まれた団塊の世代。
果たしてどんな見せ場があるでしょうか?


夫の関口隆之は10年もの間、妻に隠した女が居たにもかかわらず、
映画の中ではそれほど非難されていない。
みんな一つの現象のように捕らえていて、夫に対する波風は皆無である。
これは寺尾聰の有徳のなせる技か。
見ている者は「そうだったのか」と受け入れてしまい、
非難など出てくる隙もない。監督は適役をしつらえた。

長男の関口彰之。アメリカで失敗してしっぽを巻いて帰ってくるダメな男で、自分勝手なことばかり考えている。これも、我が息子だと思えば仕方がないが、育て方が悪かったと自分を責めるしかない。親にとって最大の仕事はやはり子育てにある。ちゃんと親の背中を見せる生き方をしろ!である。

三田佳子が演じる不倫役の相手、伊藤昭子。
彼女は日陰の身でありながら、善く関口隆之を愛し、そして尽くした。

そのおかげで、「あぶくま」という蕎麦屋も出せたしゴルフの会員権ももらった。
サンダル履きもかわいさが残る。
「知らない事も罪なのよ」と隆之が使っていた歯ブラシを投げ、
思いの丈をぶつけた言葉は、分からないこともないが軍配は正妻に挙げたい。
それほど言うなら、もっと堂々と生前に打つ手はあったのではないか?
結局、隆之は正妻の俊子をより愛していたということだ。

次はカプセルホテルの支配人野田を演じる豊川悦司。
彼のダメ男役を演じるのは妙に決まっている。
いつもとは違ったトヨエツを見せてもらった。グー。

林隆三が演じる蕎麦屋仲間の塚本。俊子に新しい世界を一瞬見せるが、
服もバッグも化粧も新品にした俊子に、あっけなく振られてしまう。
自己嫌悪の末に自分を「バカダー」と言うのは光った。

俊子の同級生仲間、今陽子、藤田弓子、由紀さおり。
俊子に親しい友人がいてよかった。自立した俊子にとって人生の宝と言える。
みなさん若いうち、年をとってからでもいいですが友人を持ちましょう。

最後に風吹ジュンが演じた関口隆之の妻、関口俊子。
夫は一人の女性では満足できなかったのだ。
もし伊藤昭子が正妻になれば関口俊子が不倫相手の女性になるだろう。
夫は10年間も隠しておいたと言うことはそれだけ俊子の方を愛していたのだ。
夫は妻が許してくれるだろうと思って最後の「ありがとう」を言ったのだ。

「人生は苦しいことも多いけれど、捨てたものではないわ。」
と誰かがどこかに書いていた台詞を私は思い出しました。
この言葉に収束するのではないでしょうか?


監督:阪本順治
原作:桐野夏生

キャスト
風吹ジュン:主演で関口隆之の妻。関口俊子役をを演じる。59歳。
寺尾聰  :関口隆之、関口俊子の夫役を演じる。63歳。
田中哲司 :関口夫婦の長男、関口彰之 役を演じる。
常盤貴子 :関口夫婦の長女、関口美保 役を演じる。
林隆三  :俊子の夫が他界した後、夫のそば仲間の一人で
俊子を一瞬ウキウキさせる男、塚本を演じる。
豊川悦司 :カプセルホテルの支配人、俊子の同情をかう野田。
今陽子  :俊子の友人仲間、山田栄子を演じる。
藤田弓子 :俊子の友人仲間、西崎美奈子を演じる。
由紀さおり:俊子の友人仲間、江守和世を演じる。
三田佳子 :関口隆之の不倫相手、伊藤昭子を演じる。

加藤治子 :かとうはるこ。カプセルホテルの知り合いで、
俊子は彼女の話で身につまされる。宮里しげ子を演じる。
麿赤兒  :映写技師の先生を演じる。


地球を救うDVD映画「ビザンチウム」 [映画]

ビザンチウム

BYZANTIUM

死を覚悟した者だけが永遠の命を得る

何とも刺激的な言葉だ。

ほとんどの人たちは、静かなショパンのピアノ曲に聞き耳を立てて心を奪われている。
彼女の名は、エレノア・ウェッブ。

「ここで終わる。」
「何が?」
「時間が。」

彼女が書き連ねた創作物語は、「私が誕生した1804年からの生と死について」と、
いかにも暗く情熱的な激しさで始まる。

エドガー・アラン・ポーとマリー・シエリー二人の「奇妙な子供」といった感じの物語。

赦し(ゆるし)というのは、キリスト教の価値観だ、私の神はより古く、より冷酷だ。
永遠の命は死を覚悟した者だけが得られる。

監督   :ニール・ジョーダン
脚本   :モイラ・バフィーニ
原作   :モイラ・バフィーニ
製作   :スティーヴン・ウーリー
      アラン・モロニー
      エリザベス・カールセン
      ウィリアム・E・ジョンソン
      サム・イングルバート
製作総指揮:マーク・C・マニュエル
      テッド・オニール
      シャロン・ヘイレル=コーエン
      ダニー・パーキンス
      ノーマン・メリー
出演者  :シアーシャ・ローナン
      ジェマ・アータートン
      サム・ライリー
      ジョニー・リー・ミラー
      ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
音楽   :ハビエル・ナバレテ
撮影   :ショーン・ボビット
編集   :トニー・ローソン
製作   :イギリス、アイルランド 2013年


地球を救うDVD映画「善き人のためのソナタ」 [映画]

善き人のためのソナタ
Das Leben der Anderen

「情熱」ベートーベンのこの曲を本気で聴いたものは悪人になれない。 音楽は国境を越え思想を越え、人間を本来の自由の園へ解き放つ。


作者は理解しやすくベルリンの壁のあった東西ドイツを挙げたけれども、
勿論歴史的な監視社会の実在もあるが、これは一例であって、
本題は冒頭に掲げた音楽の比重が大きい。

時代のゆがみのために死んでいった人は数知れない。残った者は彼らに哀悼の意を表し、善き世界をつくらねばならない。


監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
脚本:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
製作:クヴィリン・ベルク
   マックス・ヴィーデマン
音楽:ガブリエル・ヤレド
   ステファン・ムーシャ
撮影:ハーゲン・ボグダンスキー
編集:パトリシア・ロンメル
製作:2006年ドイツ


キャスト
     役名           俳優
ゲルト・ヴィースラー大尉  : ウルリッヒ・ミューエ
クリスタ・マリア・ジーラント: マルティナ・ゲデック
ゲオルク・ドライマン    : セバスチャン・コッホ
アントン・グルビッツ部長  : ウルリッヒ・トゥクル
ブルーノ・ハムプフ大臣   : トーマス・ティーメ
パウル・ハウザー      : ハンス=ウーヴェ・バウアー
アルベルト・イェルスカ   : フォルクマー・クライネルト
カール・ヴァルナー     : マティアス・ブレンナー



かわいい部下「タイピスト!」 [映画]

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これは誠に可愛い映画だ。
たまにはハピーエンドのこのような映画を見るのもいいだろう。
「笑顔は愛されている証拠!」こんな言葉も素直に聞ける。

タイプライターが好きだった少女、
今まで雑貨店の父の手伝いをしていたが、多感な少女が
保険会社に入社する。当時は女性として花形の職業だ。

彼女はそこで上司の下で秘書としてタイプライターを毎日叩いた。
上司であるルイの指導に耐えながら、どんどん成長していくローズ・パンフィル。
素直にスクスクと育つ。

太陽の光ときれいな空気と肥料とで、まるで植物のように。
彼の愛と周りの人間関係と適切な指導、と言い換えることもできる。

そんなルイに惹かれていくのも道理、戦いは世界選手権まで発展していった。

第一回戦、我らが愛すべきフランスのローズ・パンフィル 
1分間にタイプライターで510文字打てた。
対するアメリカのスーザン・ハンターは509文字。

第二回戦。
アメリカのスーザンの勝ち。

第三回戦。
ここにルイが登場してパンフィルを勇気づける。愛を告白する。
勇気づけられた彼女は世界記録を更新した。なんと515文字打てた。
優勝はパンフィル。

映画を見終わった後は晴れやかに次の行動に移れる、何とも善い映画だった。


監督:レジス・ロワンサル
脚本:レジス・ロワンサル
   ダニエル・プレスリー
   ロマン・コンパン
製作:アラン・アタル
出演者:ロマン・デュリス
    デボラ・フランソワ
音楽:ロブ
   エマニュエル・ドルランド
撮影:ギョーム・シフマン
編集:ソフィー・レンヌ
   ロール・ガルデット
フランス製作:2012年

キャスト
ルイ・エシャール - ロマン・デュリス
ローズ・パンフィル - デボラ・フランソワ
マリー・テイラー - ベレニス・ベジョ
ボブ・テイラー - ショーン・ベンソン
アニー・ルプランス=ランゲ - メラニー・ベルニエ
ジルベール・ジャピー - ニコラ・ブドス
マドレーヌ・エシャール - ミュウ=ミュウ
ジョルジュ・エシャール - エディ・ミッチェル
ジャン・パンフィル - フレデリック・ピエロ
アンドレ・ジャピー - フェオドール・アトキン
ルシアン・エシャール - マリウス・コルッチ

死ぬまで意地を通す「8月の家族たち」 [映画]

8月の家族たち
August: Osage County


北アメリカ大陸、ミシシッピ以西、西経100度線との間のアメリカからカナダにかけて広がる大草原。自然はただこの家族を見守るようだ。ここはオクラホマ州ポーフスカ。

シェイクスピアの悲劇を醸し出すような人間のどろどろした戦い。
これは自然から生まれた人間と人間性との葛藤の物語だ。
中でも母親はひょうひょうと全てを受け入れ飲み込む。
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監督:ジョン・ウェルズ
脚本:トレイシー・レッツ
原作:トレイシー・レッツ
製作:ジョージ・クルーニー
   グラント・ヘスロヴ
   ジーン・ドゥーマニアン
   スティーヴ・トラクスラー
   ボブ・ワインスタイン
   ハーヴェイ・ワインスタイン
出演者:メリル・ストリープ(偉大なる母)
    ジュリア・ロバーツ(長女)
    ユアン・マクレガー(浮気中の夫)
    マーゴ・マーティンデイル(叔母)
    クリス・クーパー (叔父)
ベネディクト・カンバーバッチ(従弟)
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
撮影:アドリアノ・ゴールドマン
編集:スティーヴン・ミリオン
製作会社:スモークハウス・ピクチャーズ
製作:2013年アメリカ合衆国

63歳の心意気「世界最速のインディアン」 [映画]

世界最速のインディアン The World's Fastest Indian
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あのマシンがどれだけのスピードを出せるか この世をおさらばする前に試したい。


これが、バート・マンローの老境に入ってからの願いだった。
生まれは、ニュージーランド、狭心症と前立腺肥大の持病をもち、
バイクが好きで87km/時が最初の記録、改良に改良を重ね、
創意工夫でしかも自分一人で最高のスピードを出すバイクを作りあげた。


医者からは「今度発作が起きたらこの薬を飲んで」とニトログリセリンを服用。

マシンの名前はインディアン、出場させる場所はアメリカ、マサチューセッツ州のスプリングフィールド、ボンヌヴィル塩平原、昔湖だったが干からびて地面が平となる。
ここでは可能な限り思い切りスピードが出せる。


充実した5分間は、それは一生に勝る充実した時間だ。
人生なんてあっという間だ。また、危険というものは人生に味をつける。
リスクを恐れていたらイカン、そうじゃないと生きていてもツマラン。

それが生きるってことだ。夢を追わない人間は野菜と同じだ。
どんな野菜? キャベツだ。
これも彼の信念である。

この歳で立っていられるだけで御の字だ。
やる時にやらないと、後悔してしまうからな。

なぜ、マシンに乗るの?
いい質問だ、乗ることに意味があるんだ。

人間は草に似ている、春が来ると元気に伸びて、
中年を迎えて実り、秋風が吹くと枯れ尽きて、
もう二度と生きられない。
人間も草と同じ、死んだらそれで終わり。


顔はシワだらけだが、心は18歳だ!
スロットルを開いて突っ走る、ただそれだけだ。
一度でいいから321km/時の壁を破りたい。
そうしたら、大人しくニュージーランドへ帰るよ。
年寄りは隅に引っこんでひっそり死ねばいいと思っているんだろうが、
このバート・マンローは、まだまだ死なんぞ!


一か月前に出場登録すること、年齢制限、マシンの安全性もおぼつかない、これでは出場の許可を出せないと審査員は厳しく迫るが、会場に来た応援者の助けもあって出場可能となった。

「規則は大事だが、時としてそれは曲げる必要もある」との見解、
バートも会場の応援者も大喜び、これで25年間の夢がかなった。
みんなの厚意に報いたいとハッスルする。
さすがアメリカ、自由の国アメリカだ。
規則は人間を縛るものではない、人間を活かすためのものだ。


バートはここでなんと、324km/時を出したのだ。


何もかも忘れて、自分の好きなことに打ち込むのだ、
それが天職となったら最高だ、
しかし、
望み通りできなくて、のたれ死にしても悔いはないだろう、
自然はにっこり微笑んで手をさしのべてくれる。
よくやったねと。

最後にこう表示される。

 1000cc以下の流線型マシン部の1967年の記録は今も破られていない。

*************************************

Burt's 1967 record for streamlined

motorcycles under 1000cc's

still stands
.

*************************************


監督:ロジャー・ドナルドソン
脚本:ロジャー・ドナルドソン
製作:ロジャー・ドナルドソン
   ゲーリー・ハナム
製作総指揮:稲葉正治
      チャールズ・ハナー
      深沢恵
      井関惺
      バリー・M・オズボーン
出演者:アンソニー・ホプキンス
    ダイアン・ラッド
    アーロン・ジェームズ・マーフィ
音楽:J・ピーター・ロビンソン
撮影:デイヴィッド・グリブル
編集:ジョン・ギルバート

公開:ニュージーランド 2005年10月13日
   アメリカ合衆国  2005年12月7日
   日本       2007年2月3日
製作国:ニュージーランド
    アメリカ合衆国

終末感を醸し出したメランコリア [SF]

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メランコリア Melancholia

世界の終末を思わせる作品というのはこれが初めてではない。
昔からこれに類するものはいろいろありました。


それはなんだか言ってみなさいと言われても、記憶の底に沈んでしまった断片しか
残っていないので、それはこれだと明確に表現できないのが残念だ。

メランコリーという言葉は、昔、その響きとエキゾチック性から、私はまるで女学生のようにその単語をもて遊んでいました。

終末感は例えば般若心経を読んでも新約聖書の終わりの方を読んでも、また昔テレビで見た「ミステリーゾーン」という番組でも味わえました。そこにマーラーの曲はうってつけですね。

ちょっと横道にそれますが、マーラーという人は極度に自分の死を恐れた人間で、だからあれだけ死の予感をする音色が醸し出すことができるのかなあと思います。


2億数千万年前にティラノサウルスが栄えて弱肉強食を繰り返していた時期、この期間もものすごく長くて人間の歴史など吹けば飛ぶように短いですね。

生物が生まれてから何億年も弱肉強食が続けられてきたのでそれが人間の時代になって
急になくなるとは考えられませんが、それは今の世界のニュースを見渡せば解りますよね。ここにも終末の臭いがします。

まあ、誰だって終末感は心の片隅にあって、いや頭の片隅にあって、なるべくそれに触れないようにして(どうせやってくるんだから)、人と仲良くなったり、ゲームに夢中になったり、山に登って下界を見下ろしたり、お金儲けに奔走したり、アイスクリームを楽しんだりしているのですね。(あまり残り時間を充実させたいという考えに凝らない方が良いかも)

私も終末が来たら、ジャスティンのように静かに心安らかに迎えたいです。


監督:ラース・フォン・トリアー
脚本:ラース・フォン・トリアー
製作:ミタ・ルイーズ・フォルデイガー
   ルイーズ・ヴェス
製作総指揮:ペーター・ガルデ
      ピーター・アールベーク・ジェンセン
出演者:キルスティン・ダンスト
    シャルロット・ゲンズブール
    キーファー・サザーランド


郵便配達人の出てこない「郵便配達は二度ベルを鳴らす」とは? [サスペンス]

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郵便配達は二度ベルを鳴らす Ossessione (妄執)

『郵便配達は二度ベルを鳴らす』
イタリア語: Ossessione, 「妄執」は、1942年(昭和17年)製作のイタリ
ア映画、ルキノ・ヴィスコンティ監督の作品である。


現在テレビなどで放映されているサスペンスドラマのお手本のような作品であ
る。それが1942年イタリアで発表されている。もう、72年も昔の話だ。

      ---+---+---+---+---+---+---+---+---+---

トラックのフロントガラス越しに走っている道が見え、緩やかなカーブにさし
かかった。
左にドライブインらしき建物が見える。
運転手は近づいて車を止め、ドア越しに店主らしき男に声をかける。
「ガソリンを頼む! ブラガーナ! ブラガーナ!」
なじみ客らしい。
そこの店は食堂も酒場も兼ねていた。運転手とその助手は車を降りると、朝食をとろ
うと店に向かった、そしてふと荷台を見た。
「なんだこいつ?」
荷台に足を折り曲げて男が眠っていた。昨夜荷を積み込んでから夕飯を食いに
行ったからその間にもぐり込んだんだろう。浮浪者か?
この浮浪者らしき者がこの映画の主役である。


浮浪者は引きずり下ろされた、特にいさかいはなかった。そんな時代なのだ。
浮浪者はまだ目が良く覚めていなかったが、とぼとぼと店の中に入った。店の
テーブルをすり抜けてそのまま厨房に入っていった。そこには女がいて何やら
料理を作っていた。


二人は初対面にもかかわらず、会話を交わした。
飯はあるか?
  はあ?
食いもんだよ。
  今作っているから、テーブルで待っててよ。

そこへ店主が入ってくる。
男は車の整備工だという、店主はちょうど車が壊れているから直してくれない
かと依頼する、そして水道のポンプも直して欲しいと頼んで、その時来店した
神父と一緒に魚釣りに出かけてしまう。ずいぶんのんきな店主だ。

女は女房とはいっても店主とは20も年が離れていた、女は安らぎが欲しかっ
たのだ。家があって私を大事にしてくれる男。
ここの店主と結ばれたが、店主は女を家政婦がわりに扱った。
女は毎日がうんざりしていた。
年取った店主に体を触られるとぞっとした。しかし出て行くところはなかった、

しかし今日ここにたくましい体をした若い男が来た。
彼は私を理解してくれて、優しい。
彼女は彼に望みを託した。

このような事情の流れは普通に違和感もなく進んでいった。
止める杭はない。
男の名前はジーノ、女の名前はジョヴァンナ。
しばらく3人で店を切り盛りした。

店主は2人に嫌われていた、自分勝手で人の気持ちを考えない。
人を思うままにこき使う。こんな店主にうんざりしていた。
そして若い二人は手を取り合って家を出た。

ジョヴァンナは先が見えない生活をするわけに行かないと途中で
立ち止まり、考え込んでしまう。
二人は離ればなれになってしまった。

彼女は貧しさが怖かった。そのため夫も家も捨てられなかった。

ジーノは一人出歩いていく。
しかしジョヴァンナを忘れられなかった。
海に出れば潮風に吹かれてしがらみも忘れられる。
船に乗って海に出ろと人に言われる。
ジョヴァンナの思い断ちがたく、ジーノは遠くには行けない。かといって戻る
わけにも行かない。彼は知り合いの手伝いをしながら日を過ごす。

偶然にも、ジーノはジョヴァンナ、店主と再会した。とある町の祭りに出会っ
たのだ。ジーノとジョヴァンナはすぐに別れていた間のむなしさを暖め合っ
た。が、将来の見えないジーノにはついて行こうとしない。しかしジーノとは
別れたくなかった。

結局三人は連れ添って帰途についた。
店主曰く、金の稼ぎ方を教えてやる、そして金のため方も、
そうやって気楽に生きていけばいいのだと、ジーノをさとす。

店主は帰りの途中、近道だと言って山道に入った、道はくねくねしていて運転
には向かないが、早く家に帰れる。ジョヴァンナは一計を思いついた。

店主は酔っていた、気分が悪いと言って車から降りてしばらく休んだ。ジョヴ
ァンナは危ないからと言ってジーノに運転させた。
この先あと500メートルも行けば崖が見える、二人は決心した。


翌朝、トラックと店主は無残にも崖の下に転がっていた。
警察は二人の事情調書をとり、周りの状況を見て、飲酒運転による事故死、
不慮の事故と結果をだした。二人には咎めなしだった。

二人の企ては成功した。
邪魔者はいなくなって店と家は彼ら二人の所有となった。
(出かけてから5日が過ぎていた。)

暑いわね、何か飲む?
(二人は店のカウンターでリキュールを飲んで喉を潤した)
戻れてうれしくないの?
   想像してたのと違ったよ。
これが現実よ、店を開ければお客も来るし、気持ちも楽になるわ。
   店を開けるのか?
もちろんよ。
何が言いたいの?
   何も。
私は幸せよ、信じられないわ。
あなたと二人になれて本当にうれしい。
これを夢みていたんでしょ?
   そうだな、夢みていたよ。
あくせく働いて泣いていたのよ。
毎日ひとりぽっちで泣いていた。
もう戻りたくない。
   戻らなくていい。
   全て済んだんだ。
あなたに愛されている?
そうじゃなくちゃ全てが無駄になる。
   ここから逃げなきゃ。ジョヴァンナ!
なぜ?
   ここにはあいつの影がある。
   焼き付いているんだ。
   カウンターの後ろに立っているんだ。
   ジョヴァンナ、店を売って別なところへ行こう。
なぜ大声で何をそんなに騒ぎ立てるの?
外に聞こえるわ。

女は現実的で、ちゃんと現実に順応している、男はまだ現実を受け入れられな
くて戸惑っている。
これが男と女の違いだ。

ジョヴァンナは店を切り盛りしながらよく働いた。ジーノは酒を飲みほとんど
ぶらぶらして過ごした。
彼女はしばらく店を繁盛させたいと思っていたが、彼は店を売り
二人で新天地を求めようと考えていた、そしてことあるごとに意見は対立した。


ジーノの昔の友達が訪ねてきた、彼は放浪の生活をしながら祭りの場所に行っ
て売買しながら生計を立てていた。彼は最近のジーノの事情を知って、ジーノ
は腰抜けだと言った。ジーノはジョヴァンナから離れられない、放浪はやめた
と言った。二人はもの別れになった。

ジョヴァンナとジーノの間に意見の対立から、よく口争いをするようになった。
まして店主に保険金がある知ってなおさらだった。

殺人現場を目撃したという運転手が警察に出頭した。警察は店主殺しの殺人で
はないかとジーノを疑うようになった。それで刑事が彼をそれとなく見張るよ
うになった。ジーノもそれに気がついた。

ジョヴァンナは妊娠した。ジーノの態度はそれで一変した。
二人は互いに歩み寄った。子どもが二人の間を和やかにして、
二人に生きる勇気を与えた。


信じられないわ、こんな時が来るなんて。 赤ちゃんがいるのよ。 体は醜くなるけど、でもいいわ、誇らしいわ。 これが人生なのね、ジーノ?   そうだ、人間らしさだ。 あの家から離れて 今頃警察が捜索しているでしょうね 捕まったら一緒にいられないわ   大丈夫だ   全てうまくいく   子供がいる俺たちに不幸は起きないさ   心配するな全部任せろ! (ここが二人の人生で最初で最後の幸福な時間だった、男女二人がお互いを信 じ合い、未来に希望をもって一歩踏み出したのだ、しかし・・・・・・・・)

遅いトラックを追い越そうとして運転を誤りジーノ達は土手下に落ちてしまっ
た。二人の乗っていた車は川に落ち沈んだ、ジーノはジョヴァンナを車から助
け出した。が、彼女は、

ジェームズ・ケインの原文にはその時の描写は次のように記述されている。

I was talking to her and crying, and kissing her.
Those kisses never reached her. She was dead.

監督:ルキノ・ヴィスコンティ
脚本:ルキノ・ヴィスコンティ
マリオ・アリカータ
ジュゼッペ・デ・サンティス
ジャンニ・プッチーニ
原作:ジェームズ・M・ケイン
製作:カミッロ・パガーニ
出演者:マッシモ・ジロッティ
    クララ・カラマイ
音楽:ジュゼッペ・ロゼーティ
撮影:アルド・トンティ
   ドメニコ・スカーラ
編集:マリオ・セランドレイ
公開:イタリア: 1943年5月16日
   日本  : 1979年5月26日


これまで4度映画化されている。
1939年:ピェール・シュナール監督、
    フェルナン・グラベ、
    コリンヌ・リュシエール、
    ミッシェル・シモン
    「最後の曲がり角」と言うタイトルで映画化された。

1942年:ルキノ・ヴィスコンティ監督。
    出演はマッシモ・ジロッティとクララ・カラマイ。
    「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

1946年:テイ・ガーネット監督。
    ジョン・ガーフィールド、
    ラナ・ターナー主演。
    「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

1981年:ボブ・ラフェルソン監督。
    ジャック・ニコルソン、
    ジェシカ・ラング、
    マイケル・ラーナー
    「郵便配達は二度ベルを鳴らす」


読者としては読み落としたのだろうかと、何回か読み返しても郵便配達人はでてこない。
それは当然だ、この作品中に郵便配達は登場しない。この作品は13社から出版を断られ続け
て、14社目で採用が決まった際、出版社からタイトルはなんとつけるかと尋ね
られたケインは、「出版社からの返事の手紙を届ける郵便配達が2度ベルをなら
すので郵便配達だとわかる」ことを引き合いに出してこのタイトルに決めたと言
われる。私は、こんな俗気を脱してさっぱりとした、こだわりのない題名の付け方もあるのだと了解しました。


人は理想の世界のためにどれだけ真剣になれるか? [映画]

エリジウム
Elysium
エリジウム.jpg


人は理想の世界のためにどれだけ真剣になれるだろうか?

Get Up! Get Up! Get Up!
エリジウムの中、マックスは戦う!

下劣な地球人への扱い
これが人間の未来?
電子頭脳はすばらしく進んだが、人間のあたたかい良心は失ってしまったのか?
下劣な人間の生きる環境、選ばれたものだけが息をすることができる世界、
人間はどこまで試練を重ねれば良いのか?
落ちる人間はどこまでも果てしなく落ちる。

エリジウムの中の一人、地球に仕事を持つ人間の頭脳をそっくり
マックスの頭の中にダウンロードする、それが楽園へゆく切符だ!
これができれば、エリジウムを思うがままに扱える。全ての人間に平等に平和にエリジウムの恩恵を受けられるようにする。

マックスは働いている工場内で、致死量の照射線にさらされ被曝する。そのため「壊滅的な臓器不全が起き5日で死に至る」とロボットに宣告された。

マックスは治療のためエリジウムに行く事を決心する。
そこでは瞬時に完治できる医療システムが利用できる。

マックスは第三世代の「エクソ・スーツ」を装着する。体の神経系につなげばアンドロイド並に戦える。そして、地球でビジネスを行っているエリジウムの人間の頭脳をマックスの脳にダウンロードする。そのターゲットはアーマダイン社CEOのカーライルだ。

カーライルの頭脳をダウンロード後、エリジウムの全システムをシャットダウンして、再度起動をかければ、理想的なエリジウムの世界に生まれ変わる。

マックスはダウンロードには成功したが、マックスの頭に入ったデータを再度エリジウムにダウンロードしたら、マックスの命はなくなってしまう。

マックスは自分の命がなくなってもいいから恋人のために、幼い子供のために、未来の人類のために自分は犠牲になろうとする。

これは正に聖書に記されている、「もし一粒の麦が死ななければ多くの命を育むことができない」に準ずるものだろう。

映画の最後のところで次の言葉が流れます。
Everyone has some special thing, Max.
One thing that they are destined to do.
One thing they were born for.

(皆さん自由に翻訳してください、私は次のように訳しました。)

誰でも一つ特別な才能を持っている、マックス! それは天命、(天がその人に与えた命令) そのことをするために生まれてきた。

監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ニール・ブロムカンプ
製作:サイモン・キンバーグ
ビル・ブロック
ニール・ブロムカンプ
製作総指揮:
スー・ベイドン=パウエル
ビル・ブロック
出演者:
マット・デイモン
ジョディ・フォスター
シャールト・コプリー
ヴァグネル・モーラ(英語版)
アリシー・ブラガ
カーリー・ポープ(英語版)


音楽
ライアン・エイモン
配給:コロンビア映画
公開:アメリカ合衆国

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